器用な彼女
私の髪は黒で長さは胸の辺りだ。だから授業の時は結わえておこうと髪に手をかけると、コーデリアに声をかけられた。
「ラミア、ピアスつけてるの?」
「あ、うん。お母さんに貰ったんだ。」
由緒正しいものらしく、母から娘へ受け継いでいくものなのだという。
黒のような青い石のついたピアス。
「ラミアの目と同じ色ね」
「ほんとだ!綺麗!」
「…………ありがと」
コーデリアは思ったことをすぐに口にする。数日でわかったことだ。こちらがすごく照れる。
「髪、結ぶの?」
「うん。授業受けるのには少し邪魔だからね。」
「じゃあ、私にやらせてもらってもいいかしら。人の髪結ぶの好きなの。」
「いいの?」
シンシアが目をきらきらさせながら、向かってくる。自分で結んでもポニーテールかハーフアップくらいにしか、きっとならない。結んでもらうのもいいのかも。そう思った私はシンシアに櫛と髪留めを渡した。
「お願いします。」
「まかせて!」
あまり人に結んでもらうことなんてなかったからか、少しくすぐったかった。だが、シンシアは手馴れているようで。
「よし、できたわ!」
「おー、すごい」
「可愛いよ、ラミア!器用だね、シンシア!」
耳の上で綺麗に編み込まれた髪は後ろで後ろ髪と一つ結びになっている。解れたところも浮いているところもなく、綺麗にまとまっていた。
「ラミアの髪は編み甲斐があるわ。また、やらせてちょうだい?」
「うれしい。……ありがとう!」
その日は一日気分よく授業を受けることができた。
ちなみに、シンシアは金髪のウェーブを普段ハーフアップに。
コーデリアは栗色ショートカットなので、結いはしないけど、ピンで留めていたり。