桜の花弁はとっくに散ったというのにある日突然転校生がやってきた。
「喜べ男子共、紅一点だぞ」と担任に紹介された転校生は、雑誌やテレビで見る、THEギャルだったので喜ぶ云々以前に素直に僕も七海も目を点にした。
「苗字名前でーす!ヨロ〜ってかマジ人少なっ!二人て!」
マジウケる〜!と笑っている彼女の隣で疲れ顔の担任。わかる、そのテンション慣れないですよね。七海なんてあからさまに絶対関わりたくないって顔してるし。
僕はどんな子だろうと、同じ目標に向かって突き進む仲間は嬉しい。それに苗字は明るくて楽しそうじゃないか。
「あー苗字。七海建人と、灰原雄だ。二人とも仲良くな」
担任の紹介など聞いているのかいないのか、「はーい」と軽い返事をしながら空席だった僕と七海の間の席に鞄を置いて座った苗字は、早速鞄を漁って何かを探しているようだった。
「おっけーナナミとハイバラね!ほい!コレあげるー!」
ズイッと差し出された手には二つチョコが乗っていた。「ありがとう」と受け取ると、それは黒い雷神と書かれていた。それよりもすごい爪が長くてキラキラしている。七海が呆気にとられている間に苗字が七海の机にチョコを置いていた。
「コレあたしのオススメー。マジ美味しいから、食べてみて」
ニッと笑う苗字は楽しそうで、あっという間にこのクラスは苗字のペースだ。
「あっ先生もあげるー!」と言って席を立つと同じものをまた担任にも渡していた。
「てかさー授業なんてしないで、今日は歓迎会でよくない?」
いやマジですごいなコイツ、と七海の表情が物語っている。担任もポカンとしている。
「先生!僕もそれがいいと思います!」
「さすがハイバラわかってるぅ〜!」
「灰原まで・・・」
「親交を深めるのは大事だよね!」
担任が頭を抱えたのは言うまでもない。