春じゃないけどきっと春ー前ー


桜の花はとっくの昔に散ったというのに、季節外れの転校生だと紹介されたソイツは、雑誌やテレビで見るいかにもなギャルだったので俺も七海も驚いた。

「苗字名前でーす。とりまヨロ〜。ってかマジで人少なっ!2人って!」

マジウケる〜と笑っている彼女の隣で疲れた顔の担任。わかるよ、そのテンション疲れるよね。向こうの七海なんて絶対に関わりたくないって顔してるもん。ダダ漏れよマジで。

「あー、七海建人と、灰原雄だ。二人とも仲良くな」

担任の話など聞いているのかいないのか、勝手に空席だった僕と七海の間の席に鞄を置いて座ったソイツは平然と鞄を漁って何かを取り出している。

「おっけ〜ナナミとハイバラね〜。ほい、コレあげる〜」

と言って差し出したのはえ、チョコ?黒い雷神とか書いてあるんだけど。初めて見た。

「コレあたしのオススメ。マジ美味しいから食べてみて」

すごいなコイツ。人見知りとかかけ離れた性格してるな。勢いに押されて七海もチョコ受け取っちゃってるし。

「てかセンセーさぁ、授業なんて止めて今日もう歓迎会でよくね?」


いやマジですごいなコイツ、というのが第一印象だった。




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