春じゃないけどきっと春ー後ー


彼女がここに来て1ヶ月。学校生活にも慣れて、繁忙期という事もあり任務にも三人で何度か行った頃。
そういえばこの間、名前が一人で任務に行くというのでまさかと思って聞いたら実は二級術師だった事が判明。何コイツ、最近呪力に目覚めたヘラヘラしてるだけのただの女子高生かと思ってたら実力もあるって、マジでどこのギャルゲーですか。

「名前ー、悪いけどこの後任務出れるかー?」

3年の先輩が行く予定だったんだがまだ前の任務が長引いててなー、と説明する担任に「いいよー」と軽いノリで返事をする。こいつマジで軽いんだよな、言動というか、全てが。

「少し遠いから泊まりのつもりで準備しとけよー」

「マジー?じゃあ荷物まとめるから2時間待って〜」

は?2時間!?何その準備時間、何すんの?!

「はぁ?30分で支度しろ」

どうやら担任も同じ事を思っていたようで自分が思ってた言葉を言う。

「え〜、そんな早く出れないよ〜」

「...ちなみに準備って何すんの?2時間も」

まぁ女の子は準備に時間が掛かるとは言うけれども...

「えー?とりまソッコーでシャワー浴びて〜、メイクして髪巻いて〜お泊まりセットに化粧品入れて〜。てか携帯とiPodの充電ヤバいからしなきゃだし、明日の服も決めなきゃだし〜。あ!あと洗濯しちゃいたい」

今日寝るの遅くなるかもだから、念入りにスキンケアしときたいし。ホテルって乾燥するんだよね〜、と呑気に話している。うん、途中から任務じゃなくて旅行に行く準備でもするのかと思った。

「.....わかった、45分だ。準備が出来たらすぐ出発するんだぞ...」

あ、担任が折れた。たぶん何言ってもダメだと思ったんだろうな。わかるよその気持ち。こいつすげーマイペースっていうか、我が強いというか...。言っても変わんねーもんな。


「あ!てかセンセーさぁ!今週めっちゃ仕事するからさ、来週の土曜日オフにしてね、ネイル行くから」

んーーーもう本当お前尊敬するよ。こんな事あの五条先輩だって言わないよ、たぶん。いや言ってるのかもしれないけど。あの人が任務に関してはちゃんとしてるのは知ってるもん。


「......まぁ、頑張れ...」

負けるな先生、僕は先生の味方だよ、とそっと心の中でガッツポーズを握るが、そんな隣の僕の気持ちは1ミリもきっとコイツは理解していない。




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