「待ってー!きゃー!」
外ではしゃぎ回る子供達の声が部屋にまで響き渡り、楽しさを想像させる。ななしは羨望の眼差しで外を見るが、対して法正の目は厳しいものだった。
「子供………いいなぁ。」
「そうですか、煩くて執務が思う様に進みませんよ。」
「……………そうですよね。」
それ故に子供が欲しいという願望を彼に切り出せずにいた。もし自分に子供が出来てしまえば、あらゆる面で迷惑をかけてしまう。軍師として働く彼には出来るだけ負荷を少なくしたい、そう思って常日頃生きている。年齢もまだまだ若い、だからこそ急ぐ必要は全く無いのだが。
「………混ざってこようかな。」
「あのですね。」
「冗談ですよ、幾ら若くても周りの視線が気になってそれどころじゃないですし。」
笑って誤魔化すが、先から感じている突き刺さる様な視線が怖い。怒っている訳ではない、静かに、何かを探るような目。
「何を考えておいでで。」
「いえいえ、深い意味はないですよ?これはいつもの戯言です。」
「貴女にしては随分と珍しい眼差しだ。」
彼はななしの目を見ていた。奥底に秘める迷いの気持ち、実に鋭い。こうして濁しても仕方ない、いっそ言ってしまおうか。
「子供が………欲しいだなんて、考えていました。」
「……………。」
「あの、勿論分かっていますよ!孝直さんだって忙しいと思いますし……子供なんて出来てしまったら、今みたいに務めに支障きたしかねませんし……。」
変に焦る所為で声が上擦ってしまう、それでも迷惑だけはかけたくないのだ。全てが落ち着いてから考えればいいだけの話なのだから。
と、そう思っているのも束の間、俯いていた視界に彼の膝が映る。上を向くのも躊躇う、暫く黙って下を見ていた。
「あのですね、変な解釈起こしていませんか。」
「へ、変な……?」
「俺にとって貴女の子供と他人の子供とでは雲泥の差。出来たら………普通、喜びますよね。」
「…………え、あ………。」
彼は確かに言った、喜ぶと。
「ほ、本当に、ですか。」
「ならばそれを確かめるべく、今ここで子作りしましょうか。」
頬に手を滑らせて不敵な笑みをこぼす。予想を遥かに超えた展開に、ななしは言葉を失った。
「あの……それは……っ。」
我に返ったと同時に後頭部を掴まれて口付けされる。唐突の出来事に目を見開いたが、噛み付くような勢いに圧倒されてしまう。
「んん……っ!」
「はっ………。」
押さえる手や唇から伝わる熱に溶かされ、強張っていた体全体がだらんと抜けていく。そのまま相手に身体を預ける形になり、もう片方の手でするりと服の紐を解かれた。
肌が曝されると法正はゆっくり離れて一呼吸。鎖骨に唇を押し付ければ針を刺すような痛みが走り、吃驚してななしは肩を揺らせば音を立てて吸われる感覚にぞくりと震わせる。
「は、ぁ………っ。」
「震えが伝わりますよ、こっちまでぞくぞくしてきました。」
紅い花を幾つか咲かせると更に服をずらしてふくよかな双丘を曝す。頂を舌で転がして弄べば、法正の袖を握り迫り来る快楽に耐える姿。
「あっ……ん……ぅ…!」
「声を抑えるな。」
空いた指で秘所をなぞればすっかり濡れていて、法正は少しだけ口角を上げる。容赦なく中指を捻じ入れれば甘い声を上げた。
「やぁっ………!!駄目、触っちゃ……っ!」
「それにしては結構濡らしているな、気持ちがいいのだろ?」
狭い中を引っ掻き回せば何度も喘ぎ、閉じようと必死に抵抗する脚。それを許さんと己の脚を隙間に割り込ませ阻止をする。
「あぁっ、そこ……やぁ……!」
「ああ、ここが一番いいのか?」
ぐっ、とそこを集中的に擦り刺激すれば、あまりの気持ち良さに身体を震わせて一度目の果てを迎えてしまう。中指から伝わる滑り気で前戯はしっかりと出来た様だ。恍惚とした表情でこちらを見つめるななしに軽く口付けを施す。
「いいぞ、もっと悦べ。その姿が堪らなく愛おしい。」
「孝、直さ………。」
下腹部は自分でも分かる程熱を持って痛い。しかし焦りは致命的、深い呼吸を繰り返し冷静さを取り戻す。
「さて、どちらをお望みだ?」
指か物か、態とらしく問えば顔から湯気が出んばかりに火照らせ、とろんとした目を潤ませた。
「うう……分かっている、くせに……っ、意地悪です……!」
「これでも悪党ですから。」
何と都合の良い言い訳だ、しかしこれ以上彼女が煽れば理性などいとも容易く崩れてゆくだろう。とりあえず再び指を侵入させて敏感に反応した所を攻めて焦らしてみた。
「やぁ……っ、違いま、す……んっ!」
「ほう、では何が欲しい。その口できちんと言えたら叶えてあげましょう。」
ぐちゅ、と聞こえる様に音を鳴らせば法正もくつりと喉を鳴らす。どちらも選択出来ぬ羞恥に戸惑う姿がなんとも愛おしいものか。
「はぁ……っ、あ、……孝直、さ……っ!」
「ああ、聞こえませんね。それともこれが本当に貴女のお望みなんですか?」
違うと首を必死に振り言葉を出そうと声帯を震わせるななし。それを楽しそうに口を歪ませて見下ろせば、伸ばしてきた手の甲に優しく口付けを落とした。
「さて、答えを聞きましょうか。」
「ほし……っ、孝直さんのを……あっ、……欲しいで、すっ…沢山くださぁ……ん!!?」
「なら、まずはその濡れた唇の中を満たしましょう、か。」
予め出しておいたそれを口内に押し込めばななしは驚きの目で躊躇うが、何も言わない法正に恐る恐る舌で舐める行為を始めた。時々擽る様な奉仕の仕方に初々しさを感じさせるが、それがまたいいと深く息を吐いた。
「ん、ん………ふ、ぅ……。」
「いいですね、その表情が堪らない。」
髪を撫でて静かに見つめる。少しの刺激だけで吐き出してしまいそうになるのを何とか堪え抜き、その快楽をぎりぎりまで愉しむ。抜いては挿れて、そうして自分でも快感を作り出した。
「吸ってみろ。」
言われるがままななしはじゅぶ、と懸命に口を窄めて吸い出す。当然慣れていなくともその威力は抜群である。
「……はっ、一滴足りとも残さず飲め。」
そうして本当に耐え切れなくなった瞬間、頭を鷲掴みにして喉の奥で放出した。締め付けに呻きを漏らしながらも決して抜かず最後まで流し込んで行く。
言葉の通り彼女は咥えたまま喉を鳴らして飲み干した。
「んん………、苦い、です……。」
「良く出来ました。ご褒美に嫌という程逝かせてやる。」
白濁を口端からこぼして呆然とするななしに口付けをし、抜いた男根を下に密着させた。それだけでみるみる膨張して再び熱を生み出し、既に潤う中へと容赦無く穿けば小さな悲鳴を上げて跳ねた。
身体を重ねる事がなかなか出来なかった為に未だに肉壁は狭いままだ。これから回数を増やせばいいか、法正はそう考えてこちらに集中した。
「これから何を言っても俺は止まりませんよ、それなりのご覚悟を……。」
「あぁっ……!いっ、た………っ……抜い、てくださ………ふ、ぁあ!!」
「断る。すぐに楽になりますから、多分な。」
ぐりっ、と捩じ込むように出し挿れを繰り返して律動を熟していく。痛いと涙を流して訴えるがここで止まるなどそれこそ拷問である。ここまで来たら徹底的に支配していきたい、法正はその情に駆られるように手加減を忘れひたすら突いた。片足を上げ角度を変えながら侵入を繰り返したり、引っくり返して後ろから突き上げたり。
後ろからやるのは無理矢理犯している様で結構癖になるかもしれない。なんという変人だ、と自分で揶揄した。勿論そんな滑稽さはななしの前だけだが。
「ふぁ、あ……っあぁ……!」
「気持ちが良いか?」
そうして悲鳴はいつしか嬌声に変わり、短く高い音で何度も声を上げた。それを合図に法正もすかさず動きを早めて一直線に頂へ上り詰めていく。
「ひぅ……っ、はや…いぁ…っ………!!孝直さ……っぁあ!!」
「ななし………。」
何度も呼ばれる名前に低く答えてその艷やかな口を深く塞ぐ。ぐちゅぐちゅと撹拌し鳴らす音にぞくりと背を震わせ、液に塗れる太腿を抑えて深く穿てばななしは目を見開いて大きく痙攣をした。
「んっんっ、…んぅー…っ!!」
息も出来ぬまま互いに絶頂を迎え、二度目の濃い射精を施す。心なしか先よりも多い気がする、法正は眉間に影を作って大きく息を吐き出した。
「ち、どれだけ溜まってる……。」
「あ、ぅ…………お腹が、熱いです……。」
そういう下腹部を優しく擦れば擽ったそうに身を攀じった。
「本当に俺は欲しいですよ、貴女との子供。」
「………嬉しいです、けどやっぱり恥ずかしい。」
いつもに増して真顔で言うものだから、ななしは改めて頬を染め法正の胸板に埋まった。
それから数年経ち、部屋の外には二人の愛おしい子供が幸せそうに遊んでいる。
(いつまでも変わらぬ愛を捧げる)