「法正さんの付けているその飾り……。」
彼女は俺の胸辺りにある飾りをじっと見つめ呟く。俺からしたらなんの変哲もない物、特に珍しくもないのだが。
「この飾りがどうかしましたか。」
「私はそういう飾りを持っていないので、ちょっと羨ましく思いました。」
確かに普段から着飾ったりしない、どちらかといえば真面目な性格でいつも清楚だ。
「成程ね……宜しければこれ、あげましょうか?」
そんな!と彼女は首をぶんぶんと横に振る。別に言う程高価な物でもないので渡してしまっても何ら問題はない。しかし彼女は頑なに首を縦に振ろうとはしない。
「だって、それがないと完全な法正さんじゃない気がして…その、違和感を覚えるというか。」
法正は思わず訝しげな表情をする。
「完全な俺って何ですか。いいですよ別の物を見つけますから…自分を変えるきっかけにどうぞ。」
このまま続けても埒が明かないので法正は飾りを首から外して彼女にかける。掛かっているその姿を見て、ふと思った事。
「……悪くないな。」
「本当に、いいんですか?」
「似あってますよ、とてもね。」
ありがとうございます、と頭を下げて笑む。
そうか、俺の女である証に見えなくはない。
彼女とは恋仲まではいかない関係だが、これを身に付けておくことで当分悪い虫が寄らないかもな。
いずれ近い内に、新たに一つの感情が生まれる法正だった。