「法正様は意地が悪いです!」
「貴女を見ているとつい弄りたくなるんですよ。」
そう言って布で瞬間移動させられたのはつい先程の事。移動させられた場所が人の目の前である故に互いに驚くばかり。その度にその人に頭を下げて法正の所へ文句を言いに行くのが日課になっている。
余談であるが、これが五回目。今回の犠牲者は馬超だった。彼は怒る事なく笑って許してくれたからよかったもの、それでも申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「数えてこれで計五人に謝ったんですよ、私は何も悪くないじゃないですか。こんなのおかしいです!」
「そうですか?罠にまんまと嵌まる貴女も悪いと思いますよ。悔しかったら、回数を重ねているんですからいい加減学んでください。」
「なら明日は必ず嵌らないように頑張りますから!もし私が逃げ切れたら謝ってください!」
ずいっと迫るが尚涼しい顔でいる法正。
「いいですよ。ですが、俺が勝ったら命令を聞いてもらいましょう。
例えば…妻になるとか。」
その言葉に動揺したのか、次の日はいともたやすく引っ掛かった。しかし悔しがる顔を見せるかと思いきや、何処か複雑な表情を浮かべている。
本気で逃げるつもりなんて無かったのでは、と法正が言えば彼女は後ろを向いて押し黙ってしまった。
「あの言葉…本気でしたか。」
「妻ですか?ええ、本気でしたが。」
「いつも苛めるのにですか……?」
「人というのは好きな人程苛めたくなるんですよ。故に、それだけ貴女を好いているんです、俺は。」
彼女を後ろから抱き締めれば、今度は瞬間移動させないで下さいと小さな声で呟いた。