「し、白い。」
法正の衣装がいつもと違い、緑は消えまっさらな白になっている。
「ああ、気分転換に衣装を変えてみました。…似合いませんか。」
ぶんぶんと首を横に振る、違和感はあるがそこまで否定するものではない。むしろ緑の衣装が多い国故に新鮮である。
「いえ、いきなりの事で少々驚いてしまいました。いいですね、私も気分転換に変えてみたいです。同じ様な服しかありませんから。」
「……確かにそうかもしれませんね。」
ふむ、と顎に手を添えて考えると、そのまま何処かへ行ってしまった。
しかし三日後、彼は突然部屋に上がり込んで
「ちょっと来てくれませんか。」
と腕を引かれ、そのまま何処かへ連れて行かれる。何がどうなったのかよく分からずぼんやりとしているとある部屋に辿り着く。
「中に入ってください。」
言われるがまま部屋に入ると一着の衣装が目に入った。
「え、これって女性用の衣装……。」
「貴女の為に俺があらゆる店を渡り歩いたんです…良かったら着てみませんか。」
そっと背中を押され、彼の表情を伺いながら衣装を手に取る。布地が滑らかで高級品に見え、己には勿体無い気がしてならない。
「本当に着ても……いいんですか?」
「ええ、是非とも貴女に着て貰いたいですから。」
そう言い察した彼は部屋を出て、試着をしてみる。不思議と服の大きさはぴったしで難なく袖を通せた。
「法正さん、もういいですよ。」
再び彼が部屋に入ると彼女は新たな衣装を身に纏い、いつもと違う雰囲気を醸し出していた。
「に、似あってますか?」
「凄く似合ってますよ。俺の目には狂いがなかった。」
くるりと回れば飾りがきらきらと光る。顔を綻ばせ嬉しそうな表情に、彼も納得の様子。
「よく見ると法正さんの持っている布と同じ様な生地ですね。」
「さて…それはどうでしょうか。」
「でもこんな私の為に、ありがとうございます。」
深々と頭を下げる、貴女も気分転換になりますからと彼は笑みを浮かべた。
「それに、いつも世話になっているので本当に細やかな恩返しです。」
本当に、法正は彼女の後ろ姿を見て先とは違う笑みを浮かべた。
(ああ、これも独占欲だ)
(その布は勿論…)