「今日は何の日か知ってます?」
にこにこと笑みを浮かべて話す少女の目の前には首を傾げる青年。
「ええと、君の誕生日…じゃ、ないな。何かあっただろうか。」
表情を変えることなく答えを待ち続ける彼女に対して、顔を顰めて本気で理解が出来ずに思い悩む彼。
「では助言を、特別な人に何かをする日です。」
「あ…もしかして、贈り物かい?」
「うーん惜しいです。物ではなく、自分自身の何かで行動を起こします。」
「ますます難しいな……。」
天井を見上げてぼんやりと考える徐庶を見て、何やら次第に気持ちが高ぶっていく少女。彼に知らない物などないと、大いに買っている事が主な起因。
しかし一向に返答がなく、終いには悲しそうな表情を表してしまった。
「徐庶さん、駄目ですか……。」
「……すまない、本当に分からないんだ。また、次の時に答えを聞かせて欲しい。」
申し訳無さそうに頭を下げて大事な用があるから、と踵を返して逃げる様に角を曲がってしまう。
あ、とその姿を追い掛けて同じくその角を曲がった。
「待って徐庶、さ…!」
本来ならば彼の後ろ姿が目に入る筈なのだが、どういった事か哀愁漂った普段の顔ではない、策を成して喜ぶ顔が目に入った。
「捕まえた。」
勢いで追いかけた所為か彼に飛び込むような形となり、その両腕でしっかりと抱き込まれた。
「は………え……?」
「君が素直に追い掛けてくれる事、信じていたよ。こっち、見てくれないかい?」
言われた通りに驚いた顔を上に向ければ、降り注いだのは彼の口づけだった。
「……!?」
「実は知ってたんだ、特別な人にこうする日だってこと…ええと、騙してすまない。」
「……まんまと騙されました。でも、そんな貴方らしいのが私は大好きです。」
謝る割には何処か嬉しそうに微笑む徐庶。こっちも嬉し恥ずかしくなり、隠す様に彼の胸に顔を埋めた。