「法正様、空見てください。」
空?と彼は言われた通りに視線を上に向ければ真っ暗な空には幾千もの星が瞬いている。冬の空は雲もなく、星が肉眼でもよく見える。
「ああ、星ですか。今日はいつもより沢山出ていますね。」
「とっても綺麗ですよね。それで、一つ疑問に思った事があるんですが、星というのは未来を予言できるんですか?」
「……確かに星を見て人の生死を読む人もいますが……実際の所どうなんですかね、俺には分かりかねます。」
「そうですか……でも、星にはきっと何か力があると信じてます。」
法正はじっと遠くを見仰いで呟く。ななしも何気なしに空を再び見ればきらりと流れる星。
「今の見ましたか!星が流れました。」
「ああ失礼、別の方を見ていました。」
その言葉にななしはがっくりと肩を落とした。法正はふっと笑って星に指を指す。
「これはあくまで噂だが、流れ星が落ちる間に願い事をすれば叶うらしいですよ。」
「本当ですか?では次流れたら願ってみます。」
「何をお願いするつもりで?」
「ひ、秘密です……。」
そうこう話している内に星が幾つか流れ行き、ななしは慌てて手を合わせて祈りを込める。法正はその姿をだんまりと見つめた。
「………ふう、これで大丈夫かな。」
祈りを終えると彼女は満足そうに微笑む。そのまま肩を寄せれば、わっと驚くななし。
「気になりますね、貴女の願い事。」
唇をそっと額に押し当てると彼女は頬を染めぎゅっと法正の袖を握る。
「分かっているくせに……。」
わざとだ、と眉を八の字に曲げれば何食わぬ顔で笑う法正。そっと胸に顔を寄せ、目を閉じる。
「…ずっと貴方とこうしていたい。この先どんな事が起きようと私は離れたくないです。それでも乱世は酷になる一方、故に引き裂かれる運命もまたないとは言えません。それでも…。」
「………。」
「最後まで愛してます、法正様。」
背中に回される細い腕は存外強く、彼女願いが緊緊と己の身に伝わる。目を細め自分もまた腕を回せば、僅かながら彼女の香りに安らぎを感じ、温もりも心地良い。
「俺もななしを心底愛している。」
先より多くの星が光っては消えを繰り返し、大きな流星群になっていた。まるで二人の願いを強く結びつける様に。
(同じ星の下に生まれた運命)