「法正さんが………二人。」
なんという事だろう、目が覚めたら二人の法正の姿が。夢だろうか、目を擦れどその二つの姿は一つにならず、彼らもまた驚きの色を示していた。
「これは…………。」
「なぜ俺が二人いる……。」
「あの……二人共、法正さん、ですよね。物真似とかではなく。」
表情を変えても手を挙げても服を動かしてみても、どちらも全くの本物。見分けがつかない程に完璧なのだ。まるで鏡の様に、同じ動きや癖、仕草を巧みに見出す。
「どうして………。」
もはやななしもお手上げ状態、元に戻そうにもどちらが基になっていたのかも分からない。しかしこのままでは周りの人間も驚いてしまうだろう。これでは下手に外には出せない。
「…………おい、偽物。」
「ああ、偽物はお前だろう。」
しかも両者険悪ときた。地に這うような低い声がぶつかり合うと、ななしの背筋はぞくりと震えた。このままでは何か仕出かさない。
「どうします、ななし。このままだと面倒な事が起きるぞ。」
「どうすると言われましても……えっと…とりあえず、服装で分けましょうか。」
同じ顔で寝間着状態では何かと厄介である。とりあえずいつも着ている緑の服と、時々着ている白の服をそれぞれ渡した。
着替えてみれば緑法正と白法正、よし、何とか分かる気がしてきた。と、そう言い聞かせるがやはり無理がある。いっそ髪型も変えてほしい、などと下手に口に出せば二倍の報いが来そうで正直怖い。
「しかし、これでも完全に見分けるのは難しいかと。」
「ですよね…なんと言っても色違いだけですし。」
すると緑法正が不敵に口角を上げた。
「なら、ななしに証明してもらいましょうか。」
「…………ええ、私で証明って……。」
人差し指を立てて、堂々と笑う。
「外見が同じでも身体は覚えてるでしょう……だからこそ、交われば、な。」
身体を交わらせれば、その言葉で体中の血の気が一気に引いた。ななしは表情を強ばらせるが、もう一人の法正は嫌がるどころか喜んで頷いた。
「いいだろう、それならどちらが本当の俺か分かるだろうしな。」
「いやいや!分かりませんからそんなの!」
何故か快く意見に賛同する二人、本当は仲がいいのではと疑いたくなったがそれどころでは無い。
嫌々首を必死に振るが、お構いなしに二人は近付く。二倍の足音が床を鳴らし、大きな影がななしを覆い尽くした。ごくり、と鳴らす喉、揺らぐ瞳が瞬きをしたその直後には。
「………っ!!」
緑法正が服に手をかけた。器用に素早く剥ぎ取られ、滑らかな肌が曝け出される。穴が開くほど見下されれば無意識に頭の中で鳴らされる警鐘。逃げなければ、そう思っても二人相手だととても敵う筈も無い。
「なら、俺が最初にやろう。」
白法正はちっと軽く舌打ちをしたが、渋々身を退いた。
「さて………どう貴女を悦ばせようか。」
「待ってください!お願いですから落ち着いて……!」
そう言っても聞く耳持たず、胸を鷲掴みし揉み回す。ぐにゅりと形を変えれば甘い声が何度も漏れ小さく喘いだ。
「あっ………ん………!」
「…………ふ。」
淡く色付いた頂を弄り、舌で転がせばびくりと跳ね上がる四肢。ななしは唇を噛み締め必死に耐えるが、法正は二本の指を無理矢理捩じ込んで彼女の口をこじ開けた。
「んぅ……ぁ…っ!」
「ああ、もっと啼いて下さいよ、遠慮せずに。」
上手く唾液を飲み込む事も出来ず、だらりと指を伝って流れていく。法正は自ら指を動かして溜まった粘液を絡ませ、態とらしく音を立てた。
「上はすっかり厭らしいですが……下はどうだろうな。」
空いた左手で下着をずらし中指を挿入する。案の定中は濡れており、透明な糸をひいた。
「んっ………だめ……!」
「成程、貴女は嘘をつくのがお好きなようで。」
満足そうにぺろりと舌で舐め、妖しく笑みを浮かべる。それを黙って見ている白法正は、それはもうつまらなそうに眉間に皺を寄せた。
「無駄に焦らすのは寄せ。」
「………全く、外野は黙っててくれませんか。」
呆れた顔で肩を竦ませると、ななしの額に唇を押し当てて既に雄々しい己を彼女の密着させる。ななしは思わず悲鳴を漏らすが、ぬるりとした感触が何とも堪らずぎゅっと目を閉ざした。
「どうだ、たまらないだろう……?」
その言葉と同時に突き入れる衝撃は大きく、淫らな水音を鳴らして侵入してくるそれは狭き肉壁を擦りながら奥へと弄る。あまりの事に開いた脚をがくがくと震わせて一際高い声を上げた。
「あぁ………っ!!」
「動くぞ。」
骨が軋む程揺さぶられる腰にななしは必死ながらも付いていく。押し寄せる痛みと快感にもみくちゃにされながらも首に腕を回してしがみついた。
涙で視界を覆われつつ、はっきりと映すは色っぽく汗ばむ法正。それに何とも言えない欲が沸き、吸い付く様に自ら口付けを施す。
「んぅ……法せ……さ…っ。」
「ななし……。」
それに応えるべく角度を変えて深く重なる唇。くちゅっと音を鳴らしては喉を詰まらせる位に舌を奥へと捩じ込ませた。
同時にぶつかる肌、結合部からは止めどなく混合した液が飛び散っていく。
「やら……ぁ…っ……も、いっちゃ………んん!!」
「たっぷり味わえ………!」
とどめと言わんばかりに激突し、その度に子宮まで届く様な猛る刺激物。
「っん!………あっーー……っ!!」
それに耐え切れず遂に身体を反らせて呆気無く果てた。何も考えられず真っ白になる頭。締め付けにより吐き出される多くの精は種付けされる。
しかし、これでは終わらない。
「勿論休みなんてありませんよ……次は俺だ。」
緑法正は渋々引き抜き、白法正が嬉々と身を乗り出した。
「どうせなら、口で奉仕なんてどうです?」
だらしなく空いた口に生々しい何かが触れる。それは彼の反り立った男根で、先の行為を見ていた所為か膨らみが尋常じゃない。
不意に後頭部を押さえ付けられ、勢い良く挿入されれば喉の奥まで入り込む。苦しさに嗚咽を漏らすが、何とか抑えて朦朧とした意識を保った。
「んん…………っ!」
「咥えてるだけじゃ、満たされませんよ、ほら。」
腰を揺らされ振動が直接伝わって来る。思わず歯を立てそうになり、限界まで口を開けた。
酸素欲しさに鼻で息を繰り返しつつも、唇で扱き、舌で先端をちろりと舐め、裏を器用に舐め上げる。すると上から息詰まるような呻き声を漏らし、表情を次第に紅潮していく頬。
「……はっ、たまらないな……。」
正直こういう行為は初めてで経験が無い。どうすれば悦ぶのか分からないが、とりあえず刺激すればいいと判断したななしは苦し紛れで必死に吸い上げた。
それには流石の彼も応えたようで、
「………っぐ!」
乱暴に髪を鷲掴みにされると同時に口内に放たれる精。独特の臭いと苦味が喉を流れて思わずむせ返りそうになった。何とか喉に通していくが、それでも入らない液はぼたぼたと口端から零れていく。
目はすっかり座り、焦点が定まらない。
「…………は、随分と気持ちよさそうですね、もう一人の俺。」
「…………黙ってて下さいよ。」
「無理と言ったら……?」
挑発的な目つきで睨めば、白法正は澄ました顔で
「俺に似て本当素直じゃないですね、そんなに犯したければ貴方もお好きにどうぞ。」
呆気無く触れることを許したのだ。
まさか二人でこの身を犯すというのか、ななしはどうしようもない恐怖に襲われ、又、下半身は無意識に潤った。
何処かで望んでいる快楽、それを拒もうにもどうする事も出来ない。
「だが、お前ではななしを満足させられないな。」
「それは俺の台詞だ。」
もはやどっちが法正かなんてどうでも良くなっていた。口から胸辺りまでは彼の液で塗れ、下半身は彼の液で満たされて。
「結局は法正という男一人に愛されてるんですよ、ななし。」
緑法正の上に跨がらされ、後ろから白法正ががっしりと尻を掴む。
「や……何を………!?」
刹那、上の口と下の口同時に異物が侵入した。あまりの行為に目を見開いて驚愕する。
「ひぅ………っ!?や、だぁ………っ!!!」
ぎちぎちと悲鳴を上げる肉壁、未知なる感覚に息が止まってしまいそうだった。ななしの身体が沈む度に深く入っていくそれは、今再び熱を帯びて中を支配する。
「さて、どちらがななしを悦ばせるか……延々と比べてみますか。」
「一人の俺とは言え、貴女が答えを出すまで、な。」
二人の悪魔にななしは言葉を失った。
「…………………ん。」
途切れた意識が覚醒すると隣に寝てるのは一人の法正。辺りを見回してみるが、見慣れた緑服の法正ただ一人。下腹部に痛みを感じながらも、その頬に触れた。
「……………おはようございます。」
「良かった………一人、ですね。」
散々打ち付けた後彼も疲れ果てて眠ってしまったらしく、もう一人の法正の行方は知らないようだ。兎に角、一人になって良かった、とななしは心から安堵した。
「全く、自分でも良く分かりませんよ。どうにも記憶が曖昧で、気持ち悪い。」
「……そうですか、でも起きてまだ二人だったらどうしようかと思いました。身体に二倍の負担が襲いますから…。」
同時に責められるのは勘弁です、と顔を真っ赤にして毛布に顔を埋めると大きな手が頭を撫でた。
「それにしては随分と気持ちよさそうでしたが。」
「…………馬鹿………!!」
「それで、どちらが良かったんですか。」
「そんなの…………!………どちらも、良かった、です………。」
そうか、と法正は目を閉じてななしを抱き締める。その温もりに怒りも忘れ、心地良さを感じながら彼女は再び深い眠りに就いた。
(また現れたら、それはそれでいいかもしれないな)