それだけ依存してる

「今日から…ですか。」

法正はこれから三日間違う土地に行く、会社の出張である為に断る事は出来ないし止める事も出来ない。されど三日とはいえ、ななしにとっては人より長い時間を感じてしまう。

「悪いな…せめて二日にしろと言ったんだが、上の命令にはどうしても逆らえませんでした。」

「いいんです、会社の方が大事ですから。頑張ってくださいね。」

そう笑って言えば法正は顔を顰めて彼女の頭を軽く小突いた。

「確かに会社は生きてく上で必要だが、何よりも大事なのは貴女でしょう。」

「え……あ……。」

「やれやれ、一人で残していくのが心配ですよ。」

肩を竦ませお手上げポーズ、それでも決して呆れてはなく優しい顔をしている。なんだかななしは嬉しくなり背伸びをして軽くキスをした。それに応える様に何度も重なる口付け、暫く甘い時間に酔わされながら安心感を取り戻していた。

「いい子にしていてくださいよ。」

「はい、気を付けていってらっしゃい。」

彼の逞しい背中を見送り、姿が見えなくなると同時に小さく溜息をこぼす。いつも傍にいてくれる彼がいない生活、結ばれる前は一人でいることが当たり前だったのに、今ではすっかり依存している。こんな調子で三日間やっていけるのだろうか、と嘆きながらリビングへ向かった。

床に散らばる雑誌を片付け、使用済みのコップを洗う。昼からある大学に通い、そうして過ぎていく時間に微睡みながら、漸く二日目の夜がやって来る。玄関から鍵の解除される音はなく、静かな空間で食事を摂った。

「………なんだか、口が寂しい。」

物が食べたいという意味ではなく、喋る相手がいないという意味でだ。

「お風呂入っちゃおう………。」

しかし一人で風呂に入るのはお湯が勿体無いという理由でシャワーのみ浴び、直ぐ様ベッドに寝転んだ。

「うー…法正…さ…。」

名を呼び彼の姿を思い浮かべる。浅黒い肌を晒し、艶めかしく囁かれる低音声。それだけで身体が火照り、求める疼きが止まらない。すると携帯の着信音が鳴り、それが法正からだと分かるとすぐに応答ボタンをタッチした。

『どうだ、一人の夜は。』

「うう、分かっているくせに…意地悪ですね。」

『だろうと思って電話したんですよ。俺も貴女の声、聞きたかったですし。』

低いトーンで話す彼の声が聞こえる度に震える身体、決して寒い訳ではない。堪えながら話に耳を傾ける。

『……………。』

「………法正さん?」

『ああ、失礼。声を聞いていたら無性に会いたくなってしまいましたよ。たった二日だというのに、困ったものだ。』

「………………っ、早く帰ってきて欲しいです……じゃないと、私………。」

駄目だ、下腹部が意思とは裏腹に疼いてしまう。脚を擦り合わせて寝返りを打てば、

『もしかして、感じてます?』

法正は鋭い所を突いてきた。思わず声を詰まらせてしまう。

「………っ、そんな事……。」

『無理しないでもいいんですよ…どうせなら、今ここでイかせてあげましょうか?』

それはどういう意味だろうか。まさかだとは思うが、一人で慰めろなんていう事では、それだけはさすがにまずい気がする。

「………、それは……。」

『ほら、俺がそこにいると思って指を挿れてみて下さいよ。』

ここで携帯を切っても良かったのだが、それだけはしたくなかった。もっと彼と話していたい、声を聞きたい……。
言われるがまま指を寝間着の隙間から侵入させて、いつも彼が攻める場所を弄る。触れればすっかり濡れていてぐちゅ、という水音が僅かに聞こえた。急に恥ずかしくなり下唇をぎゅっと噛み締めた。

「挿れ………まし、た……っ。」

『そうですね、引っ掻き回してみましょうか。もっと、奥の方へ。』

奥へ、その通りに突き進んでいけば、まるで彼が触っているかのような錯覚を起こし、快楽に溺れていく。

「んん………っ、ぁ……っ。」

『ななし………いいぞ、もっと動かせ。』

指を曲げて良い所を刺激する、その度に甘い嬌声が電話越しに法正に伝えられ、彼もまたぞくりと背中を震わせた。

『随分と厭らしいですね……しゃぶりついて離してくれませんよ…。俺の指を貴女の液でぐちゃぐちゃにするつもりですか。』

「はぁ………っ、だ、め……っいっちゃ……っあん……!」

法正の巧みな言葉攻めで痺れていく頭の感覚。そして絶頂が近くなり、無意識に指の動きも速くなっていく。

「あっ………っぅ…ほうせ、さ…っ……ぁあっ!!」

『……………っ、イけ……。』

電話している事も忘れる位に行為に夢中になり、絶頂を迎えて大きな声を上げて叫ぶななし。間近に響く彼女の喘ぎ声には流石の法正も応え、己を抑える事は出来なかった。嫌でも勃ち上がるそれは、ズボンからでも良く分かる程に膨張する。

『………全く、どうしてくれるんですか。俺までそんな気分になってしまいましたよ。』

「はぁ………っ……早く、会いたいです………法正さん……に、触れて……欲しい……。」

彼女の透明な液だけがシーツを汚し、逝ったばかりの意識は朦朧とする。やはり寂しい、本当の彼に触れて欲しい、中を満たして欲しい。その思いでいっぱいになり、涙となっていく。

『明日の昼には帰りますから、それまで大人しくしていて下さい。貴女の好きそうなお土産も買ってきますよ。』

「…………はい、おやすみなさい…。」

おやすみ、その言葉で切れる通話。眠いがもう一度身体を洗わねば、ななしは気怠い身体を起こして風呂場に向かった。

その頃法正は、己の後始末に苦悩していた。ビジネスホテルで一人抜くというのは実に乗り気ではない。

「……帰ったら、倍返しですよ。」

















「…………………。」

目覚めると既に昼近く、日が真ん中に昇っていた。もうすぐ彼が帰ってくる、そう思ったと同時に頭が覚醒してベッドから飛び降りる。

「いけない……!もうすぐ帰って来る………じゃ、な……。」



「随分と深い眠りだったな、昨日は寝ていなかったのか?」

そこにはネクタイを解く法正の姿。少々疲れ気味の顔でこちらに目を向ける。

「お、かえり……なさいっ…。えっと、その………。」

昨夜の出来事を思い出して発火するかの如く染まる頬。思わずたじろいでしまった。それに気付いた法正は上のスーツを脱いでシャツのボタンを外す。そしてこちらに歩み寄ってななしの身体をゆっくりと押し倒した。再びベッドに沈む身体、会いたかった人が目の前にいる。

「一人では満たされなかっただろ。」

「…………っ………。」

「貴女があんな声を出すから、あの後大変だったんですよ。……覚悟しろ、徹底的に犯してやる。」

「えっ、ちょっと……待っ……!」

無理矢理上を脱がされ、直に肌が曝け出される。途端に冷たい空気が触れ、ふるりと身体を震え上がらせるが目の前の彼は問答無用で下も剥がした。当然日光に当たっていつもより明るめで顕になる。
あまりの恥ずかしさに顔を隠すが、手を退けられ強制的に見る形に。

「さて、何が欲しいか……散々電話越しに喘いだその口で言ってみろ。」

指で唇をなぞり上げ、そのまま中に突っ込む。突然の事に目を見開くが、二本の指が止まる事なく蠢いて口内は侵されていく。同時に空いた片手で胸を愛撫し、頂を弾いては強く摘んだ。

「んぅ………っ、は……!」

「ほら、はっきりと言って下さい。」

ぬちゃ、と唾液を絡ませては掬って糸を引く。満足そうに笑む彼を虚ろな目で見つめた。

「欲しい……、法正さんの……全てが……欲しい…です…っ。」

「仕方ないですね、寂しかった分たっぷり愛してあげますよ。」

シャツの袖を捲りななしの脚を躊躇無くこじ開けた。明かりの所為で何もかもが丸見えだ、当然彼女の気は動転している。

「昼と夜では見方が変わりますね。いい意味で、な。」

ごつごつした指で秘豆を押し潰せば、彼女は脚に力を入れて必死に閉じようとする。それでも指の平で捏ね続ければ身を捩り高い声で短く喘いだ。

「んっ……や…ぁあ…っ!」

「あまりの気持ちよさに眩むか。」

粘液で潤滑になった指で更に激しく擦れば、あまりの刺激に身体は弓なりに反れて一度目の果てを味わう。びりっと電流が走り身体が一層敏感になる中、法正は溢れる液を掬って妖しく一舐め。

「イくのが早いですね、そんなに気持ちよかったんですか?」

「………っ……。」

「まぁ、俺は嬉しいですけどね。」

顔を埋めると今度は温かい舌を捩じ込んで液を啜り、態とらしく掻き混ぜては音を立てて吸い上げる。すると逝ったばかりの身体は大胆に痙攣を起こして今度は悲鳴に近い声を上げた。下半身を襲う快感に興奮が抑え切れず荒くなっていく息。

「はぁ……!!っあ…法正さぁ………んっ!!だめぇ……ふあぁっ…!!」

「………ふ、嫌な割には良がってますよね?素直になったらどうです。」

そんな冷静さを装う法正も身体は素直だった。既に熱を帯びて今にも吐き出しそうである。

「二日間会えずにいたからな……いい物をくれてやる。」

潤ったそこに宛てがうは彼女が一番欲しかった物。ずぶりと容赦なく挿入すればシーツを握り締めて目をぎゅっと閉ざす。痛いのか恥ずかしいのか、顔を歪めて頬を熱くさせるななしにそっと口付けをした。

「んぅ………。」

「痛かったら言え。」

その言葉と同時に揺さぶられる汗ばんだ四肢。雄々しさ故に中はぎちぎちと締め付けられ、彼もまたその揺れに酷く刺激を受けていた。彼女が果てる前に俺が果てそうだ、と法正は自嘲気味に笑う。
それでも止める事など出来ず、ひたすら欲のままに打ち付けていく。

「ああ…………っ!!」

生々しい音が部屋に響き、ななしの恍惚とした表情がしっかりと目に映る。昨日電話で聞いていた甘ったるい声に加えこの淫する肉体。

「どうだ、たまらないだろう……?」

それは自分に向けての言葉かもしれない、と。苦悶の表情を浮かべて奥へと放てば想像以上に多量の白濁液。脈を打つ度に注がれて支配欲に満たされていく。

「く…………っ、一度抜いただけでは済まなかったか。」

「ん………、熱………っ。」

ずるりと抜けば勢い良く流れてシーツを汚していく。余韻に浸りつつ未だ身体を震わせて物欲しそうに見つめるななし。そんな姿を魅せられたら法正は目を逸らさざるを得ない。何せ一回きりで収まる余裕がないからだ。

「……勘弁してください。ここで俺が止まらなければ次は腰を砕く位では済みません。下手すれば意識、吹っ飛びますよ。」

「それでも……いいです……いなかった分、貴方で埋め尽くして欲しいから……。」

「ああ、なら……何があっても後で怒るなよ。」

法正は口角を上げてななしに深くキスをすれば、ギシ、とスプリングが軋んだ。





(仕事疲れも吹っ飛ぶ位に愛おしいだろう)