「高いです。」
「ええ??」
文鴦にしかめっ面する少女、しかし身長差があまりにもある為か文鴦にとっては愛らしくもある。
「身長が高くて届きません。もう少し身長縮める事は出来ないのですか。」
「すみません、私にはどうする事も出来ないので……。」
勿論彼女にとって冗談ではあるが、それでも彼は真面目に答える。
「ふふ。」
思わず笑みを零すななし、釣られて文鴦も口元が緩んだ。
「本当に何を食べたらそんなに伸びるんですか?不思議で仕方ないのです。」
「私にもさっぱり…遺伝、という訳でも無いので。思い当たる事といえば、毎朝行う背伸び、でしょうか。」
「背伸び……ならば私も明日から行います。」
冗談ですよ、と文鴦は申し訳なさそうに頭をかいた。真面目な彼だから冗談が苦手なのに、無理して私に合わせてくれたのだろう。
「そのままの貴女でいてください。ほら、私が屈めばこんなにも近くなるのですから。」
大きな身体をゆっくりと屈め、私と同じ目線になる。普段とは違う兜を外した彼は、綺麗な黒髪で整った顔で正直、目を逸らしてしまう。こんなに美顔なのだから、戦以外でも兜を外せばいいのにと。
「…………狡いです。」
「すみません……。」
「冗談です。」
これなら私からでも接吻が出来るのだから、と軽く口付けをすると、彼は少しだけはにかんだ。
「確かに、貴女からするのは初めてですね。」
「たまにはそうやって私と同じになってくださいね、背伸びでも到底届きませんから。」
「いつでもします、貴女が望むなら。」
(遠いようで、とても近い)