して、されて、して、されて

「……………。」

「………どうしました、攻めてこなければ何も始まりませんよ。」

「で、でも………こんなの、って……。」

「今更何を。そもそも貴女がいけないんですよ、男に会うなんて。」

「それは……。」

言訳を聞かないとばかり、ずぶり、彼女の中に挿れている何かが生々しい水音を立てた。その刹那、ななしが酷く顔を歪ませて生理的な涙を目尻に浮かべれば、法正は悠々と勝ち誇った表情を見せる。

「ひっ……動かない、で……下さい……。じゃないと、私……。」

「逝ってしまいそうだと?………ふ、挿れてからほんの三分位だろう。」

そう、私達は何をしているのかというと、ゲームだ。しかし、ゲームと言ってもテレビゲームでもなければ王様ゲームでもない。

「どうだ、この淫らな罰ゲームは。」

彼が私に罰として与えた、挿入した状態で先に腰を振った方の負けという、かなり異端じみたゲーム。腰を振らない代わりに他は何をしても構わず、胸を触るなりキスをするなり、お互いに快楽を与え続けて、最終的に音を上げたら負け。至って単純なゲームではあるが、生殺しに等しい拷問のようなルールだ。

普段の営みで彼女の方が先に音を上げるのを知ってか、こんな事になってしまったわけなのだが。

「あっ………!」

そう言ってる間にも法正は朱い舌でななしの胸を舐め始める。輪郭をなぞるようにじっくりと唇を伝わせて、主張する桃色の飾りに辿ればすかさず口内へと吸い込む。カリカリと、程良い位に尖端を甘く噛んだ。

「噛んじゃ……や、だ………!」

「ん、貴女が仕掛けてこないなら、俺が仕掛けるまで……そうでしょう?」

舌先で器用に尖端を弄り、焦らすように吸ってはチラリとコチラを見て妖しい笑みを浮かべる法正。不意に右前髪の間から覗かせる鋭利な瞳に射抜かれて、その艷やかさに思わず心臓の鼓動が激しく音を立てた。

「腰、キました?」

「………っ…………。」

銀糸を繋いだまま唇が離れると今度は首筋に顔を埋めて再び舌を這い出す。ねっとりと、カタツムリの跡のようになぞられていく感触が何とも堪らなく、強請るような息遣いも次第に早まっていく。

「……ん………!ほうせ、さ………ぁ!」

「ほぉら、俺はココですよ。俺ばかり貴女を悦ばせるなんて、いい加減不公平だと思いませんか。」

そうは言うものの、ななしは喜べば喜ぶ程にキツく締め付けられる男根は実に素直で、僅かに脈を打ちつつある。いつ吐き出しても可笑しくはない状態ではあるが、呆気無く達してしまえばそれはそれで酷くつまらないし、折角彼女の為に用意した罰ゲームの意味がない。

「ななし。」

疼く意識を逸らそうと右の人差し指と中指をななしの口内へ押し込んだ。

「んぐ……っ。」

「口だけで、俺を感じさせてみせろ。」

じゅぶ、生温かい唾液が程良く指に纏わり付き、ぞくりと腰を震わせる。蠢く彼の指に戸惑いながらもその舌を少しずつ指に宛てて、拙いながらも吸ったり舐めたりの行為を繰り返した。

「ん、く……いいな……その顔。」

ただでさえ苦悶を浮かべるななしも相当感じているのだろう、中の滑りがますます良くなった。しかしこれだけでは満足出来ないのが悪党の性。

「噛むなよ。」

更に奥へと捻り込まれれば必然的に嗚咽するななし。懸命に喉を鳴らして付け根まで指を呑み込めば、ざらりとした舌の感触と温かさが一層伝わってくる。

「ほ……ほぉ……へ……。」

情欲的な顔に唆られて、弩にでも弾かれたように亢奮を感じた法正は有無言わず指を抜くと、唾液を伝わせる彼女の唇に己の唇を寄せた。

「んっ。」

息する間もなく塞がれるお互いの濡れた唇。幾度も角度を変えながら攻め立てて、蕩けるななしの口内を余すことなく支配する。絡み合えば合うほどに粘りが強くなり、それは決して離れる事を許さないかのよう。

ああ、愛おしさのあまり、先に腰が砕けてしまいそうだ。

法正は空いてる手で結合部をそっと刺激すると、彼女はビクリと肩を震わせて唇の隙間から甘ったるい声を漏らした。

「まだ逝くな。限界まで味わわせてもらう。」

充血する秘豆を指先で捏ねって小さな刺激を与える。すれば、ななしは堪えるように必死に唇を噛み締めて、声を押し殺そうと力を入れた。

「……………。」

しかし、彼女もなすがままされてばかりではなかった。何がなんでも腰を振らまいと、法正の鎖骨から胸にかけて、何を言うでもなく緩やかに舌を這わせる。

「……っ、ようやく、その気になりました?」

意地悪く口角を吊り上げて悦びの表情を見せる法正だが、その声に応える余裕がないのか、眉を下げて無我夢中に彼の身体を弄っていく。

「…………ん、う。」

逞しい胸板の突起を小さな口に含んでは舌先で転がすも、やはり慣れない行為での羞恥には勝てないのか、涙がすっかり乾いた頬に微かな紅を差した。

「ああ、ぞくぞくしますよ、その希うような上目遣い。」

その初々しい程に拙い行為はますます法正の鉄壁な理性を駆り立てて

「……ねえ、ななし。」

中で熱を膨張させては狭い肉壁を擦り上げ、その度に彼女の顔はみるみる林檎のように紅くなった。

「あ、大きく、なって……!」

「貴女が悪いんですよ、想像以上に俺を愉しませるから。今までにないくらいに初な反応を見せつけて、まるで全部犯して欲しいと言ってるようで。」

「ちが……私は……。」

言葉を封じるようにななしの腰辺りを徐に掴んでは、法正は辛抱堪らんと言わんばかりに

「今回は俺の負けでいい。だから、満足するまで、お前を徹底的に犯させろ。」

そう低く囁くと、勢い良く肉棒を抜き挿しし始めた。

「え、あ……っ!?」

その衝撃で中で溜まっていた透明な粘液が一斉に外に溢れ出し、真っ白なシーツはあっという間にびっしょりと汚していく。硬い肉棒に纏わる艷やかな液には流石の法正も冷静さを隠せないようで。

「……っ、やっぱり、我慢は良くないですね。焦らしつつも厭らしく喘ぐ貴女の顔を見ていたら、罰ゲームなんてどうでも良くなった。」

「あぁっ……駄目……っ!」

「止めても無駄だ……とことん吐き出さなければ気が収まらないからな。」

腰を振る律動は今まで以上に速度を増して、限界に近かった熱は瞬きする時間もないまま最奥へと放たれる。散々打ち付けられた骨が軋むのも気に留める事なく、法正は抜かないまま緩やかに摩擦を繰り返し始めた。

「んっ………う、法正、さぁ……!」

「どうだ……焦らした分反動が堪らないだろう………?この、内側から熱くなる感触が狂おしい………。」

白濁液が飛び散って行くのもお構いなく腰を浮かせては激しく穿ち、痛みと快楽の狭間を行き来するななしの口からは絶え間なく嬌声が響き渡る。

涙で濡れた瞼を舐めては「俺の下で啼けばいい」と嬉々として笑い、返事の代わりに背中に爪を立てられたかと思えば「お前から受ける痛みは快感だ」と唇を歪ませた。伸びた爪が食い込む度に歯を鳴らして、彼女の頭を自分の胸板に引き寄せたまま無我夢中に貫いた。

「ああ、逝ってしまえ。」

子宮に休息を与える間もなく、弓なりに腰を反らせては目の前が真っ白に塗り潰されていく。暖い液が流れる感覚も分からぬ程に埋め尽くされた内部だが、彼を欲するように必死に搾取し収縮していた。

「…………はぁ、結局は目の前の欲に負ける。俺もまだまだですねえ。」

程良く鍛えられた肉体が上下に呼吸をし、法正は流れる汗を腕で拭う。眼下で草臥れるななしの肢体に触れると、未だ痙攣が収まらないのか敏感に反応した。

「んっ。」

「ふ、気持ちが良すぎて一瞬意識を飛ばしていたか。」

「貴方の、愛し方は……激しすぎて、ついて行けない……。」

「いいえ、これは罰ゲームですよ。貴女が俺しか見ないように、調教しているんです。」

「…………。」

先に音を上げたくせに。そう言いたげなななしの下腹部を押せば身を捩らせて避けようとする。

「……今、駄目です、触ったら。」

「折角入れたモノが溢れてしまうから、か?」

「………変態……。」

僅かに脚に力が入るのを見て、頬の隅に皮肉な笑いを漂わせた。

「次は負かす。覚悟して下さいよ。」

「……その前に日頃の行いを改めますから……。というより、私は何も悪くないと思うんですよね……。」

たまたま元同級生に会っただけなのに。しかし、それすらも法正は気に食わないらしい。眉間に薄っすら皺が出来ているのを見ただけで押し黙ってしまう。

「ごめんないさい。」

「別に気にしてませんが。」

「顔が険しいです。」

「元からこんな顔です。」

その煩い口は何処にある。依怙地になった法正は寝転がる彼女の上から覆い被さって組み敷いた態勢を取る。

「嘘、です。だから、もう勘弁して……。」

「どうも、俺の愛がまだ足りないらしい。それならいっそ、たっぷりと味わってもらうまでだ。」

嫌だと言いかけた唇も、本当は心の底でひそかな愉悦を感じていたのは言うまでもない。



(どうせなら目も耳も唇も触れる物全て喰らい尽くして)