「あの……賈充さん……。」
「ああ、どうかしたか。」
「どうもこうも……抱き締められたら、夕食が食べれません……。」
ななしの背後を陣取り腕をしっかりと回す賈充。気持ちを燻らせる様な香が鼻につき、思わずくらりと目眩を起こしそうになる。こんな事が出来るのは二人きり部屋で過ごす時、愛おしげに見つめてくるのも人前では一切やらないのだ。
とはいえ、目の前に置いてある美味しそうな食事にありつけないのは少し残念な気持ちになってしまう。
「俺に構わず食えば良い。」
「……後ろから見られたら恥ずかしくて食べれません。」
背後から視線を感じながら摂る食事もどうかと思う。変に緊張しては箸を持つ手が震えてしまい、それが滑稽に見えてしまう。離れてほしいと目で訴えるが、残念な事に振り向く事が不可能な為、表情が全く伺えない。
「……何を恥ずかしがる?食べる姿にか。」
「そ、そうです……箸に挟んだ物をうっかり落としそうで。」
そう控えめに言えば賈充はくつりと喉を鳴らして笑う。
「くく……悪くはないな。」
「もう、意地悪です……!お間抜けな私を見たって面白くも何ともありませんよ……!」
「むしろ愛らしいだろう、お前の無垢なる素性が見れるなら眼福というもの。他の女と違って媚びも戯れもしないからな。」
「………確かに私は経験も浅い小娘ですよ……色気もありませんから媚びる事だって全然出来ません。」
ななしが頬を膨らませ拗れば怪訝そうに表情を変える。
「褒めているのに何故怒る。」
「怒っていません、けど……大人になれない私が悔しいです。……対して賈充さんは頭が良くて色気もあって格好も良い、理想の大人の男性ですよ。」
「ほう、お前からはそう見えるのか。」
「勿論、他の女性からも色々なお話聞いています。抱かれたい男とか、夜の営みを受けたい……とか。だから……私なんかでは本当は、」
不足しているのでは、そう言いかけた唇は容易に塞がれた。骨ばった指でぷっくりとした唇を押さえつけ、その先は言わせないと鋭い視線も背後よりぶつけられる。
「……………っ………賈充、さん……?」
「不足している、そう言いたいのか。……くく、そうか………だが、この身が滅びようとも有り得ない話だな。」
その指がするりと下に降ると首筋を這う様に滑らせる。擽ったい感覚に身体を身震いさせていると、突如としてそれは別の感覚へと変貌した。賈充はななしの服の隙間に手を侵入させてたわわな胸を鷲掴みする。
「ひぁ………っ!?やっ、かじゅ……さ……!」
「俺はお前以外を愛する事など出来ぬ身体になっている。ななしに深く溺れてななしを貪り尽くす……それ以外を求める等不可能な程に依存をしてしまっているのだ。……全く、踊り狂わすどころか俺が踊り狂ってしまったか。」
余す事無く愛撫を繰り返し、尖った突起を指で捏ねっては摘む。それだけでななしの身体は即座に反応を示して荒々しい吐息を漏らし始める。
「あっ………やっ、……ん……!」
「嫌なら抵抗してみせろ……俺から逃げられればの話だが。」
そう言いつつもう片方の手で下腹部に触れて奥へと忍ばせていく。そこは既に意思とは裏腹に纏う物を液で濡らし、安易に指に絡みつくほど。
「嫌ではないだろうな、これだけ感じていれば。」
ぐちゅ、と卑猥な音をわざと鳴らして聞かせれば、ななしも顔を真っ赤にして唇を噛み締める。経験をしていても未だ初々しい姿に賈充は満足気に口角を吊り上げた。
「あっ……賈充……さ、ん……っ、いじらないっ、で……!」
「そうか、ならば挿れてやろう。」
二本の指を生暖かい秘所に挿入させれば四肢を跳ね上げて敏感に翻す。高めの嬌声を吐き出しては快楽に脚をがくつかせ、閉じようと必死に擦り合わせるが、それでも賈充は容赦なく根本まで奥へと捩じ込んで指で掻き乱した。
「あっ、………あぁ…っ!」
「そう、それでいい……もっと啼け。」
狭い中を蠢かせて彼女の好がる場所を徹底的に攻め立てればびくりと痙攣して一際大きな喘ぎを部屋に木霊させた。指を引き抜けば新たに生まれた液を纏いながら床へと溢れていく。
「くく…指で満足するにはまだ早いぞ、ななし。」
妖しい笑みを浮かべながらぐったりするななしを担いで寝台へと移す。溢れる液を拭いながら彼女を四つん這いにさせれば、ななしは今にも泣きそうな顔でこちらを見つめた。
「……やっ………待って……おね、が…。」
「無理な相談、だ。」
腰を掴むと己の反り勃つ熱を取り出して宛てがう。ななしは見えぬ恐怖を感じながら目を閉ざすが、ずぶりと一突きすれば液で潤滑した中はそれを受け入れて難なく侵入した。それでも中の締め付けには抗えず、更に男根は膨張していく。
「あぁ……!いた、い……っ、抜いて……ぇ、…ぁあっ!!」
「動くぞ。」
咽び泣く声すら聞く耳持たず賈充は律動を始めていく。白く柔い背中に口付けを落としては吸い上げて、満遍なく朱い花弁を散らした。
「んっ、かじゅ……さぁ…っ!」
「その声は俺だけを呼べ、誰の名も口にするな。例えお前にとって大切な人間であろうとも、だ。」
自然と上がる尻を掴んでは激しく衝突を繰り返し、出し挿れで淫する音をさせては寝台に撒き散らして汚していく。後ろから攻める体位に賈充は支配欲を覚え、嬉々として目を細めては不敵に喉を鳴らした。
「くっ、たまにはこういうのも悪くないな……無理矢理犯している気分にもなる。」
顔を布に埋めて必死に応えるななし、あまりの快感に物事を考える暇すら与えられない。彼も振り乱した髪を掻き上げては舌舐りをして一心不乱に腰を揺らす。普段物事に冷静な賈充も、愛する事だけに暴走を抑える事はなかなか難しい。それがななしなら尚更性欲など抑える事は不可能だ、愛おしすぎて最早絶倫にさえ等しい存在となる。
「ひぁあ……っ!も、だめ…えっ、いっちゃ………あぁっ!!」
「…………っ、ならば、好きなだけ逝けばいい……!」
渾身の一撃を喰らわせれば腹から出す程の声を上げて激しく全身を痙攣させる。同時に中が収縮されて彼の男根も悶絶する程の締め付けが襲い掛かり、堪らず低い呻きを漏らしては精を吐出させた。どっぷりと流れ込むが、未だ冷めやらぬ熱。
「まだ、だ。俺がお前に不足していない事を証明してやる……。」
掠れながらもななしは待ってと必死に制止を掛けるが、当の本人は理性を失くして妖艶な笑みだけを暗闇の中浮かべた。疲弊するその身を翻し、真っ向から向かい合わせると彼女の腰を浮かせて思い切り突き落とす。すれば重力が大いに増して子宮口へと届かんばかりに根は撃ち込まれた。
「ひっ………ぅ、あ……!」
「そうだ……その顔はお前の思っているのとはかけ離れた程に美しく乱れている。…色気が無いなど嘯いても無駄だ。」
甘く口付けを施せば唾液を伝わせながらも深く絡み付かせ、歯をなぞる様に舌を器用に滑らせていく。呼吸の苦しさなど構いなく噛み付かんばかりに貪れば、恍惚ながらも虚ろになっていくななしの瞳。彼女が酸欠を起こす前に離れればひゅっと息を吸う音が聞こえて目尻に涙を浮かべた。
「意識を保て、失ったまま犯されるのは嫌だろう。」
それでも腰の動きを続ければ今度は甘ったるい喘ぎを繰り返して首にしがみつく。表情が見えなくなるが、快楽に溺れている限りは十分だ。
「くく……思い知れ、狂う程にな。」
壊れんばかりに突き刺させば声帯を震わせ声を張り上げ、脚を直線的にぴんと伸ばした。そして締りが良くなると賈充の物もきつく圧迫され、苦悶に眉間に影を落としては再び欲を勢い良く放つ。二度目は流石の賈充も息を切らせ、途端に無気力感が襲いかかる。ぐったりと蕩けるななしの表情を目に焼き付けてはずるりと引き抜き、大量の白濁液が流れ零れていく。
「…………ふ、逃れられるとは思うなよ。無垢なお前を抱くのはこの穢れた俺だけだ。誰にも触れさせるものか、ましてや誰も抱いたりはしない。」
愛している、その言葉を告げればななしの意識は完全に現実と切り離された。
「………くくく………つまり嫉妬か。」
「……………はい、貴方への話で持ちっきりですから……ついむきになってしまいました。」
恋仲という事は公にしていない為か、女官達は未だ賈充へ想いを寄せている。ななしはその話を聞いてしまうわけで、やはり心苦しさは免れない。
「いっそ公にしてもいいかもしれんな。すれば心置きなくそいつ等の前でお前を愛でる事も出来るだろう。」
「ま、待って下さい……!人前で何をするつもりですか!」
「何、印を幾つか付けて軽く接吻をするだけだ。大した事はしない。」
「…………それだけでも十分大胆な気がしますが……。」
そんな事を皆の前ですれば集中砲火を喰らいそうだ。困惑気味に眉を下げると賈充はいつになく怪しげな笑みを浮かべて
「安心しろ、お前に害を為す様であれば片っ端から葬り去ってやる。」
恐ろしい事を口にしたので、すかさずそれだけは勘弁してくださいと深々頭を下げたのは言うまでもない。
(お前が油断している隙に唇を奪ってやろう……くく……これは傑作だ)
(恐ろしい事を企てないで下さい!)
お礼文