「貴方に尽くしたいんです」

「あ、あの豪さん…私楽させてもらいすぎでは…」

いっぱいいっぱいになってしまう彼女の為に
できる事をやってあげたい。
むしろ俺はもっと頼られたい。
人数も多く、広かった九条家の屋敷の頃より
やる事は圧倒的に減っている日常生活の中で
彼女は俺を気遣う。

「いえ、むしろ以前の方が大変でしたし、これくらい平気ですよ」

伊達に長い間お屋敷の使用人やっていません!
と微笑んで見せる。

「私も豪さんも為に何かやりたいというか…そういう感じなの!」
「貴方が隣にいるだけで毎日幸せですし、充実してるんですよ」

九条家を出ていき、新しい家で暮らし
始めたカフェ営業と彼女との同棲生活。
彼女のやりたい事も応援してあげたいし
沢山幸せになってもらいたい。

「でもそうですね…僕が気づかない間に
身体に限界がきている時には、また労わって頂けますか?」

高熱が出ていてもちょっとの体調不良だろうとしか
思っていなかった時があった。
そういう大事な部分は見逃さずに
きちんと気づいてくれるのが彼女だ。
頷いて、そういう支え合い方ならと彼女は納得する。

「いいですねこういうの。夫婦という感じがします」
「!!?まだ籍は入れてな…っ」
「事実婚という言葉がありますよ。
それに未来の奥さんなのは確定でしょう?」

真っ赤になって慌てた彼女の両肩を掴んで
こつんと額をくっつける形で見つめ合うと
彼女は大人しくなった。

「うん…」

キスしていいですかと聞こうとしたけれど、愛しくてたまらず
先に身体が動いて気づけば唇が既に彼女のそれに触れていた

「………っ」

そして抱きしめると俺の腕の中にすっぽり収まってしまうのだ。

「僕の奥さんは今日も可愛いですね」