かけがえのないもの

口癖のように、自然に俺なんかと言ってしまった後の話。

「豪さんは皆にとって大事で大きな存在だから…そんな風にいわないで」
「っ…有難うございます、気を付けますね」

直接このようにやり取りするのは慣れていなくて
どう反応したらいいか戸惑う部分もあるが
自分の為に真剣になってくれる様が嬉しいし可愛い。
でも俺も彼女に思うところはあるのだ。

「でも貴方もお互い様ですよ」
「え?」
「あまり…ご自分を安売りしないで頂きたいんです」
「…例えば?」

焼きもちを焼きすぎて引かれないかと思った時があった。
けれど彼女は受け入れて対応してくれたり
自分も焼きもちを焼くという事を話してくれた。
それでも、どうしてもという部分があるのは
生きていく上で仕方ないにしろ
彼女の行う一つ一つのものは、とても価値があるものなんだと
そういうことはもっと伝えていきたい。

「貴方の暖かい言葉一つ一つも
どんなにシンプルに作った料理でも
どれもすべてとても価値のあるものなんです。
だから卑下もしなくていいんですよ」
「豪さん…」
「どんなに些細な物でもすべて鍵のついた宝箱に
しまっておきたいくらいなんです…」

そういうと恥ずかしそうに、でも嬉しそうに彼女が微笑む。

「有難う豪さん、その宝箱は実物する物で例えたら
どんなもので溢れるの?」
「それは…恥ずかしいので秘密です」

気恥ずかしい気持ちと共に微笑む。
宝箱はないが、大事に保管している場所はある。
思い出と共にいくつかをみせるのはいいかもしれない。