うん、シャミセン
犬猫などに好かれる人と好かれない人がいる。
わたしは人間なので犬猫の気持ちは分からないが、人間では、構う気満々の人よりも自然にしている人のほうがとっつきやすい。「おいでおいで可愛い撫でくり回したい」と目をキラキラさせている人には進んで近づきたくない。
花宮くんにまとわりつきながら、そんなことを思った。
花宮くんはベッドに腰かけて本を読んでいる。わたしは冷たいフローリングからベッドに上がり、花宮くんの脚を枕に横になった。冬場、長時間フローリングに座るのは寒い。
「花宮くんは犬派?猫派?」
「可愛がられて当然のような顔をしてる動物は嫌いだ」
「鳥派?」
「あー……けど、飼うとなったらくせぇから嫌。由都ん家、猫いるんだろ?」
「うん、シャミセン」
「エグい」
「まさか採用されるとは思わんかった」
「由都発案かよ。センスを疑う」
冗談のつもりで呼んだのが何故か定着してしまったのだ。わたしとて、わたしが望んで飼おうと思ったならばもっとまじめに考えただろう。花宮くんではないが、わたしもあまり屋内で飼うペットは好かない。
家でぬくぬく丸まっているであろう猫を思い浮かべつつ、柔らかいベッドと温かい枕にうつらうつらする。昨日、雪の中下校したせいか、あまり体調が良くないのだった。
「……花宮くんは、動物に好かれそう」
「嬉しくねーよ」
「でもこのポジションを奪われるのは嫌だなあ」
「……でっけぇペットだな」
髪を梳かれながら目を閉じる。花宮くんを枕に花宮くんのベッドで昼寝とは、なんとも贅沢な時間である。
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