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 天井が高く、窓が無く、家具などもない部屋があった。あるのは電灯と空調機器。広さは五十畳ほどで、フローリングでもなければ壁紙も張られていない。あまりに無機質な場所だった。
 その部屋の中央では、少女と男が向かい合っている。
 少女は腰に佩いた刀に手を添えて、男は抜き身の刀を片手に持って、構えもせずにだらりと下ろしていた。
 少女は長い髪を低い位置で結い、ハーフパンツと長袖のシャツというラフな格好だった。カジュアルでも品のある服装を好む彼女らしくない格好なのだが、そうも言ってられないのである。
 少女――美夜は細く息を吐き出し、刀の柄を握った。深い緑の目で、にやりと笑う男を見据える。

「――――参ります」

 すさまじい速度で金属のこすれる音がして、次いで金属のぶつかる音がした。美夜は居合いを防がれても焦らず、鍔迫り合いをせずに刀を離した。

「居合い早くなったじゃねーか」

 にやりと帆泉が笑う。美夜は柄を握り直し、帆泉に斬りかかった。帆泉も応戦し、常人ならば目で追うのも難しい打ち合いが開始される。
 美夜が積極的に斬りかかっているが、帆泉が押されているという訳ではない。面白がっている、というのが近いだろうか。斬りかかりもするが、主に守備を行っていた。

「アマモリ、[天守月影]、使えるんだ、なッ」
「っく……!」

 振り下ろされた刀を咄嗟に受けとめ、その重さに呻いた。横に構えた刀の峰に腕を当てているのだが、それでも押し負けそうだった。かわすべきだったと後悔しながら、なんとかその刀を流す。

「錐生の坊主も、使えてるし、珍しくはない、のか?」
「零、も、私も!武器が応えてくれた、だけの、話ですッ!」

 [血薔薇の銃]は覚醒し、銃から茨へと姿を変えるようになった。[天守月影]には劇的な変化はないが、刀身には淡く輝く文様が浮かんでいるのだ。そして帆泉は知らないだろうが、優姫の[狩りの女神]も姿を変えている。
 吸血鬼は通常、対吸血鬼武器は扱えないが、例外もあるらしい。
 美夜は息が上がらないよう注意しながら、師の構える刀を見やった。帆泉の愛刀――当然、対吸血鬼武器である。美夜に向けられているのは峰ではなく刃。
 ……この人、私を殺す気満々だ。

「しっかし、強くなったな、アマモリ」
「これで、も、吸血鬼!ですので」

 以前に比べ基礎体力が格段に跳ね上がった。その上で刀を持てば、目覚めた吸血鬼因子が一斉に刺激され、ハンターとはいえ人間に負けるはずがないのだが。
 美夜は今、[天守月影]に付随されている、気配を消す能力は使用していない。一応ハンデとしてそういうことにしたのだが、もし使ったとしても帆泉ならば支障がないのでは、と思ってしまう。

「俺も余裕ぶってらんねーなあ」
「どこが、ですかっ」
「これでも、必死だぜ?普通に戦っても、アマモリは、<純血種>に近い力が、あるってのに!」

 それ持っちゃあなあ、と帆泉は涼しい顔で[天守月影]を見やる。化け物め、と笑いまじりで言われ、打ち合いの最中だというのに美夜も少し笑ってしまった。
 <レベル:U>でもない、吸血鬼でもない、ただの――吸血鬼因子が多いということはあるが――ハンターである帆泉の強さこそ化け物級だろう。
 美夜は緊張感を保ったまま、帆泉の振るった刀をかわした。
 美夜にとっては命がけの稽古――帆泉にとってはただの運動だろう――が終わったのは、始めてから三時間後だった。帆泉の「腹減った」という一言で稽古は終了し、美夜は刀を鞘に納めて礼をした。

「俺もまだまだ現役だな」
「でしょうね……」
「アマモリも鈍ってないようで安心だ。学園に行ってからは、手前に仕事がいかねえようになってたからなあ」
「師匠、疲れた様子がありませんよね」

 上機嫌に首を回す帆泉に言うと、帆泉は座り込んでいる美夜を鼻で笑う。二人とも汗だくだが、帆泉に疲労の色はみられないのだ。
 美夜はしびれの残る手をぷらぷらと振った。

「疲れてるっつーの。弟子は無駄にスペックが高ぇからな」
「前より強くなったのは否定しませんが……」
「……なんだ?俺は人間だぞ?」
「ですよね」

 美夜はふらりと立ち上がり、自分の体を見下ろした。ズボンもシャツも所々が切り裂かれ、服や肌、床に血が付着している。どれも傷は浅いが、対吸血鬼武器で斬られたので塞がらない。
 床を汚す血にはっとして、流れる血を空中で球状の塊にかえた。これなら処理も楽なのだ。既に床に落ちた分は掃除しなければならないが。
 初めて帆泉の前でこれをした時には、マジシャンか、と笑われた。
 吸血鬼として目覚めたからこそ使えるようになった、李土譲りの能力である。

「師匠は今からどちらに、」
「そういや、もうすぐ夜刈が戻ってくるってよ。明後日だったか?お前の取り調べもあるだろーな」
「!そうですか」
「明日彫るんだっけ、お前」
「はい、そうです」
「だからか……。つーかアマモリ、吸血鬼"なのに"丈夫だな。対吸血鬼武器ってのは吸血鬼にとっちゃ、かすっただけでも激痛だろ?」
「痛いですよ。満足に笑えないくらいは」

 夜刈の帰還に驚くとさらりと話題を変えられ、帆泉らしいなと思いながら引きつった顔で返答する。美夜に気を使ったということではなく、単に興味が薄いからだろう。
 修業時代、木刀で羅離骨灰にされたせいか、痛みには疎くなってしまった。今も十分痛いのだが、あのころに比べれば、と思ってしまうのだ。

「師匠は、何も聞きませんよね」
「あ?アマモリが玖蘭李土の子だってことか?」
「はい」

 ドアへ向かう帆泉に続きながら問いかけた。
 彼はもう、学園で何があったのかを大まかに知っている。にも関わらず、美夜に対する態度は一切変わらなかった。帆泉らしいといえばらしいが、拍子抜けしたのも確かだった。

「別に興味ない」
「……何となく、そう言うと思ってました」
「流石俺の弟子。……アマモリが何か隠してるってのは、ハナっから分かってるしな。今更驚けって言われても無理な話だ」

 家族を吸血鬼に殺された<レベル:U>を鍛えろ、とだけ告げられて、帆泉は美夜の師になったのだ。強制だったので断ることも出来ず、どこか違和感を感じても、協会長には詮索無用と突っぱねられる。これで隠し事に気付くなという方が無理である。
 帆泉は、トップレベルの自分に隠す時点で"綺麗な隠し事"でないことくらいは予測出来ていた。その内容が分かり、すっきりはしても大きな驚きはなかったのだ。

「ま、アマモリが暴走したら俺が狩ってやる。お前を相手にするのは骨が折れるだろうがな」
「そうならないようにします。死にたくはないので。……未だに、名前で呼んではくれないんですね」
「いいじゃねえか、アマモリ」

 "天守(あまもり)"じゃなく"雨漏り"に聞こえるんだよな、と美夜は少し口を尖らせる。しかし不意に内側からのうずきを感じて、ポケットに入れていた血液錠剤を口に流し込んだ。

「……アマモリ」

 ガリガリと音をさせて噛み砕いていると、部屋を出たところで帆泉が振り返っていた。
 美夜は口元を手で押さえ、はい、とこもった声で返事をする。

「……いや、なんでもねえ」
「?はあ」
「寝起きのいい運動になったろ。俺は飯食って寝る」
「あ、はい。おやすみなさい」

 さっさと自分をおいて行く帆泉の背に一礼をする。まずは風呂に入ろう、と汗を吸ったシャツを見下ろした。
 のんびるする間もなく、見張りのハンターに名を呼ばれた。

「……晃咲」
「あ、はい」

 美夜は廊下に立てかけていたケースに刀を手早く仕舞い、ハンターに手渡す。

「すぐ掃除しますから、少し待っていただけますか」
「さっさとしろよ」
「はい」

 血液錠剤を飲んだ――食べた――お陰か、血は止まってきているように感じる。血の匂いに少し顔をしかめるが、駆け足でモップを持ってくると急いで掃除を始めた。
 二日に一回、帆泉に連れられて夜早くから、こうして運動をしている。美夜が部屋から出られるのは、帆泉が見張りのハンターを言いくるめて連れ出してくれる時だけだ。
 帆泉の事だからただの気まぐれだろうと思う。しかし、気分転換になっているのは確かで、美夜はこの稽古の時間を楽しみにしていた。


* * *


 沙頼は、ほんの数日だけ生活する部屋の窓から、ぼんやりと外を眺めていた。
 長い間使われていなかった、この"仮の寮"には、沙頼を含めた十数人が生活している。
 少なくとも三日間は、この建物から出ることは出来ない。陽の寮で缶詰状態だった頃と同じく、生活に必要な物は届けてもらえるので、別段不自由はなかった。

「……ん、若葉さん?」
「あっ……はい、どうぞ」

 ドアの外から声をかけられ、我に返って返事をする。入って来たのは女子寮の寮長で、彼女もまた、数日間をここで過ごす一人である。
 寮長は、やっぱり退屈でね、と苦笑していた。沙頼もこれといって用事がないので、部屋のテーブルに向かい合って座った。

「……もう、始まってるのよね」
「そうですね。……記憶の改ざんが」

 仮の寮にいる十数人の共通点は、あの事件の記憶を保持することが許されたことだ。数日にわたって全校生に行われた面談で、事件に直接関わっていない生徒や、記憶を保持すべきでないと判断された生徒は、今朝から記憶の改ざんが行われている。
 記憶を書き換えるなど、どうするのかは分からない。ただハンターと呼ばれる者たちや夜間部生が、総出不眠不休で丸三日をかけて行うらしい。
 暗示をかけた生徒は眠りに落ち、全員にそれがほどこされれば、どこかのタイミングで一斉に目を覚ますようだ。暗示をかけられた教師にも作用するようで、生徒が目覚めた二日後から学園は"元に戻る"予定である。

「黒主優姫の記憶の削除、夜間部の印象を弱める、あの夜の記憶の削除……」
「と同時に、学園は改修工事のため、長期休暇明けにも関わらず休講が続いていた……ですよね」
「不思議な気分だわ。次に会ったとき、皆は吸血鬼の存在を、お伽噺扱いするんでしょうね」

 優姫と同じく学園を去った美夜の記憶は、そのまま残ると聞いている。
 理由としては、記憶改ざんの優先順位が、優姫や夜間部に関するものの方が高いこと。また、記憶に手を加えすぎるのも負担が大きく、何かの拍子で記憶が戻る可能性が出てくる、と説明された。
 どこか寂しそうに、寮長は視線を落としていた。沙頼もテーブルを見つめ、遠く離れてしまった親友を思う。
 枢の妹だったという優姫。無事であること以外の情報が伝えられてない美夜。
 数日前、美夜の部屋を零が訪れていたとうわさで聞いた。そのすぐあとに、美夜に何かあったのかと尋ねても、零は一瞥をくれただけで口を開かなかった。
 零の反応から、決して良い状況ではない、とは察しが付く。明らかに空気の険しい零は、好き好んでこの学園に残っている訳ではない、ということも分かる。
 つまりは、美夜の事情は簡単に言い表せないものであるらしいのだ。それは零が納得してないもの。また、その事情には、沙頼らに教えられるほんの少しのすら無いのかもしれない。

「いよいよ今夜……聞けるんですよね」
「ええ。最低限の情報の開示は、ちゃんと約束してくれたもの」
「最低限……美夜のこと、教えてくれるでしょうか」
「若葉さん、黒主さんと晃咲さんの二人ともと仲が良かったものね」
「はい。美夜のことは、まだ一切教えてもらってませんから……」

 沙頼はあの夜、寮の屋根を突き破って瓦礫の中に座り込んでいた美夜を知っている。腰に刀を下げた彼女は、とても悲しそうで悔しそうで、同時に強い意志の様なものも感じられた。
 指先からコウモリとなって沙頼の前から消えた美夜の姿は、今でも鮮明に頭に残っている。それを思い返す度、言いようのない切なさが胸を締め付けた。





 仮の寮内の談話室の一つに、沙頼ら記憶保持者が集まっていた。
 この寮は、夜間部設立の際に使われていたもので、内装は陽の寮よりも月の寮に似通っている。言いかえれば、陽の寮よりも広々としている上、陽の寮にはない設備や装飾がなされている。
 談話室のソファに、それぞれが腰掛ける。談話室には生徒しかいないというのに、その表情は硬かった。
 沙頼も緊張から、膝に乗せた手を握っていた。

「集まってるな」
「!」

 三人の男が談話室に入ってくる。ソファに座る面々を見て人数を数え、全員いると分かると表情を引き締めた。三人とも手にはバインダーを持っている。
 一人は初老で、恐らくハンターと呼ばれる者だろう。あとの二人は若く、夜間部生だと思われる。沙頼たちはその三人の名を知らなかったが、今聞くべきはそれではない。

「お前ら人間……こちら側に触れずに生きて来た人間の記憶を残し、情報を与えるってのは異例だ。分かっていると思うが、口外するなら、それ相応の対処は覚悟しておくんだな」
「君たちに明かすのは、この件について、開示可能な最低限の情報だ。深く問われても答えないし、首を突っ込まないのが身のためだな」

 ハンターに続いて、夜間部生が言った。
 沙頼は怖さを感じながらも、背筋を伸ばして三人を見つめた。
 仲間外れは御免なのだ。優姫や美夜と正面から向き合えるように、どんな情報であれど逃げずに受け止めたい。三人で一緒に出掛けると約束したのだから。




 夜に生きる、吸血鬼という存在がある。それを狩る、吸血鬼ハンターという存在もある。
 黒主学園理事長は吸血鬼の世界にも詳しく、人間と吸血鬼の共存をめざし、吸血鬼だけの夜間部を設立した。
 吸血鬼には階級があり、頂点に君臨するのは、ほんの一握りしかいない<純血種>。夜間部生の中では、玖蘭枢が唯一のそれだった。
 今回の騒動の原因は、ある<純血種>が力を求め、若い<純血種>を狙ったことにある。若い<純血種>とは黒主優姫――もとい、玖蘭優姫のことである。
 黒主優姫は幼いころの記憶を失っていたが、この一件の最中に記憶を取り戻し、玖蘭優姫という<純血種>として目覚めた。
 そんな中で運悪く学園が戦場になってしまい、夜間部生は普通科生を守る役についた。枢は敵である<純血種>の協力組織を叩くために動いた。その組織とハンター協会上層部が結びついており、膿を出すために夜刈を筆頭としてハンターも動いた。
 結果、敵は退けられ、優姫は枢とともに学園を去った。学園に残った混乱は、現在進行形でハンターと夜間部生が片づけている。




「――――まあ、そんなところだ」

 用意されていたらしい資料をハンターが読み上げ、沙頼らに視線を投げた。
 心中は複雑という一言に尽きるが、誰も吸血鬼の存在や今の説明を否定することはなかった。ただ現実として受け止めることが少々難しく、完全に理解するのには少し時間が必要だった。

「これも分かるだろうから言っておくが……錐生の双子はハンターの生まれだ。正式に協会に所属してるのは錐生零だけだがな」
「!零、くんが……」

 思わず呟くと、ハンターと目が合った。あいつと知り合いか、と問われ、ぎこちなく頷く。

「あの、美夜……晃咲美夜は……」
「ああ、あいつもハンターだ」
「!」
「どうして、彼女は学園にいないんですか?錐生零は残ってるのに……」

 一人の男子生徒が、おずおずと問いかける。
 ハンターは顔をしかめ、「仕事だ」と投げやりに答えた。嘘だとわかるその言葉に、生徒は皆視線を落とした。
 美夜についての質問はどうやら、タブーであるらしい。

「……ハンター。下手な嘘は混乱を招く。言えないことは言えないと告げた方が良い」
「僕も同意見です。美夜さんは複雑な立場で、しかし敵ではない……それでいいんじゃないですか?」

 二人の夜間部生が呆れを交えて口を開く。ハンターの男は苛立ちを舌打ちであらわし、頭をガシガシとかいた。
 事前に打ち合わせはなかったのだろうか、と沙頼は小さな疑問を覚える。

「あーあーはいはい。……そういうことだ。晃咲美夜に関することは黙秘な」

 沙頼が握った手に力をこめると同時、談話室のドアがノックされた。
 ドア近くにいた夜間部生が返事をすると、零が入室する。とげとげしい空気の零に、夜間部生二人は思い切り顔をしかめた。
 ハンターたちと夜間部生が犬猿の仲だというのは、沙頼らも知っていた。

「錐生か。なんだ」
「……説明会の終了時刻です。戻って手伝えと」
「あ、夜刈先生(あの人)本部に戻るんだっけ」

 夜間部生の一人がそう呟いた。するとどういうわけか零の眉間の皺が深くなる。
 ハンターの男は「じゃあ解散な」と沙頼らに告げ、ドアの方へと向かった。
 二人の夜間部生は、さっさと部屋を出てしまっていた。

「はいよ。伝令お疲れさん。全く、お前も大変だな……こんな時に」
「…………」
「今日なんだろ?刺青」

 そう言った直後、談話室にあった空の花瓶が、音を立てて割れる。破片が飛んでいたが、誰も怪我をすることはなかった。
 ソファから腰を上げかけていた沙頼は、目をしばたたかせて花瓶を凝視する。花瓶の謎はひとまずおいておき、寮長らと顔を見合わせ、一気に険悪な空気になった二人を見た。
 零がきつく男を睨み、男はしまったと言いたげに視線をそらしている。

「聞いて、なかったのか?きりゅ――――おい、錐生!」

 零は男の制止も無視して、珍しく慌てた様子で談話室を出て行った。
 沙頼は乱暴に閉められたドアをしばらく見つめ、続いて部屋を出ようとしたハンターに駆け寄った。

「あ……美夜に何かあったんですか」
「……なんでそう思う」
「零くんが気に掛けるのは、優姫か美夜だけでしたから」

 優姫は枢とともにいるというのだから、零が過剰に反応するとは思えないのだ。そうなると残るは状況の分からない美夜だけだ。

「否定はしない。だが、別に晃咲美夜が危険だとか、そういう訳じゃない」
「そう、なんですか?」
「ああ。晃咲美夜が進んでそれを望んだらしいし……生きていく上で必要だからな。それは錐生だって分かってるはずだ」

 細かな事情を知らない沙頼には、話が全く見えない。危険が無いことに安堵はしたが、零の様子が腑に落ちなかった。
 さらに問いかけてもいいものか、と悩んでいると、沙頼と男のやりとりを見守っていた生徒の一人が呟いた。

「じゃあ、なんで錐生の奴……あんなに焦ってたんだ……?」
「気持ちの問題ってやつだ。俺はアイツらとは"違う"……色々あるんだろ。あの二人は親しかったと聞いてるしな」

 ハンターは気だるげに張りの無い声で言って、談話室を後にした。
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