溢れる高揚感

音駒との練習試合。2セット取られて所謂ストレート負け。しかし日向の「もう一回」を猫又監督が了承してくれた。汗を拭いて水分補給。次のトスはもっと精度を上げてみせる。


「烏養さん、試してみたい策があります」


綾人さんがそう伝えて、二人で話し込んでいる。綾人さんの作戦で実際にプレーするのは、俺は中学時代の練習試合ぐらいしかなくて、何だかワクワクした。


「影山何ニヤニヤしてんだ?」
「日向……!うっせぇボゲェ!」
「何だよ本当のことじゃん!痛い痛い!!」
「ほら、飛雄、翔陽。試合はじまるよ」


落ち着いた声、先を行く背中は華奢なはずなのに何故か広く見えた。綾人さんはさっきの2セットは出ていなかったが、次は出るらしい。それはきっと、“ その作戦 ”に綾人さんが必要だからだろう。
コートに入り一人一人に声を掛ける綾人さん。もちろんそれは俺に対しても例外ではない。


「飛雄、肩の力抜いてな」
「ウッス」


頼もしいという一言に尽きる。でもコートにいる綾人さんの目は、やっぱり何だか見透かされそうで少し怖い。


「大地、旭、」
「…………わかった」