今の俺はどう見えるのだろう

今日は青葉城西との練習試合。菅原さん達は元チームメイトとの試合はやりにくくないか?って言うけど、敵なら全力で戦うまでだ。絶対に勝つ。

広い体育館でアップを取る。その時、耳に届いた綾人さんの声。

「英、勇太郎、久しぶりだね」
「綾人先輩!」
「お久しぶりです」

金田一と国見に向かって声をかけた綾人さん。あいつらは綾人さんに懐いてるから、なんとなく嬉しそうだ。綾人さんも久しぶりの再会だからかいつもより優しい顔をしてる。そんな気がする。


「元気でやってるか?」
「はい、中学とは全然違うんで慣れないこともありますけど」
「今はチームメイトに恵まれてると思います」

金田一と国見から俺に向かってチラリと視線が送られる。「今は」か。言われなくてもわかってるっつーの。


「そっかそっか。いい環境ならきっとお前らは成長してるんだよね。じゃあさ、飛雄ももしかしたら英と勇太郎が知らないくらい、成長してるかもよ?だからさ、楽しみにしといてよ」
「……!」


その言葉に胸がむずむずざわめいた。綾人さんがそう言ってくれるなら、俺はあの頃より成長出来ているのかもしれない。
そのまま俺の方へ振り返り、「戻ろう、飛雄」と言いながらすれ違いざまに俺の頭をふわりと撫でていく。烏野の元へ歩く綾人さんの後ろ姿を胸のざわめきはそのままに追いかけた。