懐かしくて新しくて

「相手の学校の人、かっこよくない?」
「わかる!及川さんとはまた違う感じ!」
「なんていうか、クールビューティ?」

試合は3セット目。相変わらずまた綾人さんが騒がれている。やたら女子の見学が多いこの体育館。きっと及川さん目当てだろう。中学の頃も綾人さんと及川さんのファンが歓声を上げていたから俺は慣れっこだ。でもそんなことは関係ない。及川さんがいない間に少しでも点を稼がないといけねぇんだ。


「やっほー、トビオちゃん久しぶり。育ったね〜元気に王様やってる?」



……来た。及川さん。



「そんで綾人!何で全然連絡くれないのさ!」
「はじめ経由でいいかなって」
「岩ちゃんとは連絡とってんの?!ずるい!」
「冗談だよ。元から俺あんま携帯見ないじゃん」

飄々と応える綾人さん。中学の頃は、“セッターの及川徹 ”、“ ウィングスパイカーの岩泉一”、そして“ ミドルブロッカーの光川綾人”でチームを引っ張っていて、県内でも実力者として有名だった。もちろん俺のお手本となる人達だった。この3人が一緒にいる姿は久しぶりだ。そして、国見や金田一もいる。何だか懐かしい気持ちになった。けど少し痛い。


「てか徹さ、」
「ん?なぁに綾人」
「俺の可愛い後輩いじめないでもらえる?」
「じゃあ俺の可愛い綾人は及川さんを構って?」
「“会話”ってどうやってするのかわかるかな徹くん」
「本当綾人って俺を馬鹿にするよねー、ひどい!」
「騒ぐとまたはじめに怒られるよ」


俺ら側に近寄る綾人さん。そして俺の肩を抱いて、ぐっと引き寄せられた。驚いてその横顔を見れば、いつもと違って何か企むような自信に満ち溢れた微笑。男の俺でさえドキリとしてしまう妖艶な顔。


「俺達烏野が、凄いもの見せてやるから覚悟しといてよ」
「ふ〜ん、望むところだ」