注目される存在になってたっスよ

ひそひそ。

「あ!橙田くんだ!」
「可愛い〜っ」

ひそひそ。

「話しかけなよー!」
「え!恥ずかしいよぉ!」


あのー。全部聞こえてます……
まぁなんていうか、ちやほやされやすい方ではあると思う。威圧感もないし、テッちゃん曰く羊みたいらしいし、どちらかといえば人当たりもいいと思うし、何度か告白されたこともあるし。
でも中学に入ってから、まるで何かの有名人みたいに写真を求められたり、今みたいにひそひそ話されたり。
それもこれも全部あいつのせいなんです。


「カケルっち!」
「黄瀬、近寄るな」
「ひどっ!」

黄瀬涼太。モデル。イケメンで背が高くて華やかで、そんな奴が何故か俺に懐いた。全く以て意味がわからない。


「黄瀬は目立つんだから俺の横に立つな!」
「なんでっスか〜」
「お前のせいで俺まで、なんか……目立っちゃうだろ!」


そうなんだよ。黄瀬が俺に近寄ってくるようになって、「キセリョと一緒にいる子可愛くない?」「よくふたりでいるところ見る!」「私橙田くん派だな〜」みたいな会話と噂が広まって、そのうち黄瀬といない時もちらちらと視線を送られるようになった。

俺も男だ。モテるのは嬉しい。だけど、違うんだよ。この不自由な感じ!常に見られている感覚!俺は平和で穏やかな学校生活を送りたい!!


「遅かれ早かれカケルっちは注目される存在になってたっスよ」
「なんでだよ」
「勘っス!」

シャラシャラウィンク飛ばされた。
それに上がる黄色い悲鳴。お前、絶対わかっててやったでしょ。


「てか何でそんな俺に懐く訳?」
「懐くって犬みたいに……カケルっちはなんていうか飄々とした感じがかっこいいっス」
「は?」
「こうさ、誰とでも仲良くなれるけど自由気まま、みたいな」
「うーん、よくわからん」


一応褒められているらしいけど自分では自分の事はよくわからないし、結局黄瀬が俺に懐く理由も解決はしなかった。


「もういい、帰る」
「えー!置いてかないでくださぁい!」