ねぇ、君、一緒にバスケやらない?

日曜で学校は休み。引っ越してきてまだ日が浅くいまいちこの辺りに何があるか、どんな所かっていうのが把握が出来ていない。


あぁ、バスケしたい。

ストバス出来る所ってこの辺にあるのかな?もうダメだ。いてもたってもいられない。探しに行こう。
バスケットボールを片手に家を飛び出す。当てなんてないけど、ついでにこの街を見て回ることだって出来る。なんて有意義な休日。


テッちゃんからバスケ部で頑張っているという話を日頃聞いていて、もう俺のうずうずは止まらない。バスケしたい。

地元にいた頃は毎日のようにストバスをしていた。きちんと習ったことはなくて、見よう見まね。上手い人たちの技を見て実践して動く。小さい頃から器械体操を習っていた事もあり、身体の柔らかさやアクロバティックな動きを取り入れてみたり、真似して出来るようになったことを自分らしく応用していくのもまた楽しい。ひたすらそれを繰り返すうちに、帝光中バスケ部のように百戦百勝とはいかないものの、地元では助っ人として入れば重宝される存在だってことは自分でも感じていた。これは自意識過剰ではなく、日頃の練習の積み重ねによる自信である。

自分から周りに声を掛ける日もあれば、助っ人として入ることもあったが、特定のチームや部活に入ることは絶対にしなかったし、今後する気もない。


だからこそ、クラブや部活できちんと基礎からバスケをしている人達から見れば、俺のバスケなんてきっと「なんだこれ?」って思われたりするんだろうなー。まぁ俺が楽しければ問題ないけど。


相変わらずうずうずしながら街を歩けば、公園が見える。

「……あった!」


ストバスコート!あった!もう俺はうっきうきである。思わず駆け出して、俺の大好きな場所へ近付く。
すると高校生ぐらいだろうか?俺よりも随分大きい5人の男の子達がいる。コート近くのベンチに座り、ボールを触りながら眺めていると、チラチラと視線を感じる。気のせい?ねぇ、気のせいだよね?

と、思ったのもつかの間、そのうちのひとりが俺に近づいてくる。これは気のせいではない。バッチリ目が合っている。俺が見すぎた?気が散ったのかな、ごめんなさい。


「ねぇ、君、一緒にバスケやらない?」
「え?」
「今俺ら5人だから、君が入ってくれたら3on3出来るよなってあいつらと話してて」
「……いいんですか?」
「もちろん!君バスケ上手そうだし!」


ボールの扱い上手い!と眩しい笑顔で褒めて誘ってくれる彼を断る理由なんてなくって、二つ返事で快諾した。