「じゃあまた明日な」
「おう!」
「ばいばーい」
学校帰り、クラスの友達と3人でマジバへ行った。テッちゃんも誘ったけど部活があるからすみませんと断られた。当たり前だ。
クラスが同じとはいえ、知り合ったばかりの俺達は、今まで通ってた学校の話とか、こんな変な先生がいたんだとか、だらだらとくだらない話をしたり、話題は尽きなくて気付けば外が暗くなっていた。
解散した後にふと思い出す。今日はまいう棒の新作発売日である。
お菓子は好きだけど発売初日にわざわざ買いに走ったりはしないし、そこまで執着はしてない。けど、今回はなんと「綿菓子味」である。意味がわからない。綿菓子はあのふわふわがいいのにサクサクのまいう棒が綿菓子味になったところでそれはただの砂糖味だとしか思えない。
これは確かめなくては!と妙な使命感に駆られてコンビニへと急いだ。
クーラーの効きすぎた店内に入り、迷うことなくお菓子コーナーへ向かう。駄菓子の塊にあるはずだから……
見つけた水色のパッケージには「まいう棒 綿菓子味」の文字。なんと最後の1個という奇跡。俺ってなかなかついてる!
なんだか急に周りが暗くなった気がしたけど、きっとただの気のせいだから構わず手を伸ばした。
「あ、」
「……えぇ〜」
俺の手はびっくりするぐらい大きな手にぶつかって、咄嗟に引っ込めてその先を見る。さっき暗くなったと思ったのは気のせいではなかったみたい。俺より数十センチは大きいであろう男が同じくまいう棒をまさに手にとろうとしていた。