俺はまた今度にするんで

「あ、これ、買いに来たんですか?」
「そうだけど……」


よく見れば彼も帝光中の制服を着ている。何だ、生徒か。……ってデカっ!生徒?!待て待て、俺もあと1、2年でこんな伸びんの?!伸びねぇよ!

「アンタもこれ買うの〜」


そう言いつつも不満でいっぱいな顔で俺を見下ろす彼は、体格とは真逆でまるで子供みたい。


「あ、いいですよ。俺はまた今度にするんで」

そんな彼を見ていたら綿菓子味のことなんてどうでもよくなって、お目当てだったまいう棒を取って手渡した。


「え〜くれんの?ありがとー」


ほら、一気にゴキゲン。やっぱ子供みたいだ。大事そうにカゴに入れて、彼はまだ買い物を続けるらしい。俺もせっかく来たんだから、これ食べよう。
棒付きアイスを買って、ドアの向こうはもう春らしい暖かさで。その場でアイスを頬張る。


「ねぇねぇ。これあげる〜」


振り向けばさっきの彼。手にはまいう棒コーンポタージュ味。


「お礼なんていいのに。でも、ありがとうございます」
「名前なんて言うの?」
「橙田カケル」
「カケルちん〜、俺は紫原敦」

しばらくお菓子を食べながら話して、帰り際、最後の最後に同い年だと知った。なんだこの壮絶な体格差は。