過去の幸せ、そして痛み


俺達の一族は結界術に長けていた。
その中でも俺は"天才"と言われ、もてはやされていた。

父さんや母さんみたいな立派な忍になりたい。その一心で修行に励む俺にとって、天才という言葉で片付けられるのは気に食わなかったが、それでも将来を期待されることへの喜びと、その期待に答えたいという気持ちは大きかった。


一族に伝わるチャクラを吸う特別な結界を使って、拷問など気の進まない任務だってこなした。里の為になるならと。

まだ子供の俺がそんなことをするもんだから、いつしか俺を見る目は常に怯えるような、そんなものに変わっていた。



「里の為に任務をこなしているのはわかる、だが……このままではお前の心が持たないだろう」



父さんのその言葉で、俺の中の何かが崩れた。
忍である以上、心は捨てたはずだった。それなりの訓練もした。でも、これが俺の甘さだった。まだまだ忍にはなりきれていないのか。

逃げ出したい。もうこんなことはしたくない。俺は人を傷付ける為に忍になったんじゃない。涙が溢れて止まらなかった。



そしてついに、その日は訪れたんだ。
俺達の一族は全員揃って里抜けようとしたのだ。そしてこの里を滅ぼし、実権を握ろうと企んだ。


しかし、上手くはいかなかった。


「どういうことだよ!俺達は……」
「お前は力を付けすぎたんだ」


親父は俺に向かってそう告げる。一族全員が俺に刃を向けている。


「お前はこの一族の誰よりも強い。しかしそれは凶器でもある。我々一族や、里の人間を脅かす存在なのだ」


そう、俺は、騙されていたんだ。
一族のやつらは里を抜ける気なんてさらさらなくて。これは元から俺を殺すための計画だったのだ。


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