私にとってのあなた
「で、ヒカリは最近どうなのよ?」
シカマルに本を選んでもらおうと任務後に会おうと言ってたけど、まぁ予定より早く終わったんすけど。のろのろと里を歩いていれば、いのとサクラに久しぶりに会った。
ふたりの勢いに圧倒されて、気付けば甘栗甘にいるって訳です。ちなみにこういうのを女子会っていうらしいっす。
ふたりはそれはそれは弾丸トーク。私ってばもうあんみつ食べ終わるってのに。
そして、冒頭の質問が飛び出した。
「……どうってなんすか?」
「本当にあんたは……」
「そんなのシカマルのことに決まってるでしょ!」
うーん、どうってそんなん考えたこともないっつーか、どうって何がどうなんすかね?
「……別に普通っすけど」
いのとサクラはあからさまなため息。え、なんでっすか?この答えはお気に召さなかったって?
「本当にあんた鈍感よね」
「シカマルが可哀想よ」
「?」
「じゃあ質問を変えるわ!シカマルはヒカリにとってどんな存在?」
どんな、存在。……考えたこともねぇですけど。昔から一緒にいて、家族のような、友達のような。言葉で伝えなくてもわかるような、言ってしまえば一緒にいることが当たり前の存在。だから逆にどうって考えたこともなかった訳で。
風雅一族の事件。
あの日より前の記憶は今だにねぇですけど、覚えてる一番最初の記憶にシカマルがいる。ずっとずっと側にいる。
「まぁ、あれですかね、私の燃料みたいな人っすかね」
「燃料?」
「なんていうか、言葉で表すのは難しいっすけど、シカマルがいないと力が出ないけど、いたらいつもの私になれる、みたいな?自分でもよくわかんねぇですけど」
「あんた、それって……」
「おい、ヒカリ」
「あ、シカマル」
噂をすればなんとやら。私の燃料改めシカマルの登場。両手を頭の後ろで組んで、相変わらずの眉間のしわ。カカシさんに面倒ごとでも頼まれたんすかね?ご機嫌斜めな顔っすね。
「まぁ、あれだ、邪魔しても悪ィし、帰るわ」
背を向けようとするシカマル。相当機嫌悪いですけど、そんな怒らなくてもいいじゃねぇですか。
「約束、忘れた訳じゃねぇですよね」
「!」
ぴくりと肩が動いて、後ろを向くことをやめたみたいだけど、目が泳いでる。……変なシカマル。
「さっさとしねぇと置いてくぞ!!」
あ、出てっちゃいましたね。
「……!早く追いかけなさい!」
「ほら、私達はゆっくりしてくから!早く!」
……ふたりとも何ニヤニヤしてんすか。
これまたサクラといのの勢いに負けて、何となく慌てて店を飛び出した。
その先にはゆっくり歩みを進める猫背。
「シカマル!」
「……」
「怒んないでくださいよ」
「べ、つに怒ってねぇよ」
「知ってますよーだ」
「お前っ……からかうなバカ!」
シカマルってば本当におもしれぇですね。これだから何年一緒にいてもあきないんですね、うん、やっぱりシカマルは私の燃料。
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