失くしたものの大きさより
夕暮れ。走り回って遊ぶ子供達を見て、木の葉って平和だなぁなんて思う訳で。そのうちお母さんや兄姉が迎えに来て、それぞれの家へ帰って行く。ブランコに座りながら、そんな様子を訳もなく見ている私って、どうかしてるっすよね。本当に、特に意味もないんすけど。
私は家族というものを知らない、っていうか覚えていない。覚えているのは血まみれで倒れる姿、そして姉の悲しい笑顔。それだけ。
それより前の私達家族は、いったいどんな家族だったんだろう。今となっては思い出そうとすることもなくなったけど、やっぱり気になるものは気になるんすけどね。まぁ考えるだけ無駄、そんなこともわかってはいるっすよ。
前に一度、シカマルに私の家族について聞いたことがある。
お父さんは厳しかったけど、修行をしてくれとせがむ幼い私に体術やチャクラの練り方を教えてくれたみたいで、「今日お父さんと修行するんすよ!」なんて言って遊びの誘いを断っていたらしい。
お母さんは、いつも美味しいご飯を作ってくれて、「シカマルとヒカリは双子みたいね」って口癖のように言っていたんだって。
そしてお姉ちゃんは優秀な忍で、その姿を見て私も小さい頃から将来の夢は、"お姉ちゃんのような忍になる"だったって。私はお姉ちゃんっ子で、任務に行く時のお見送りとお迎えは絶対に欠かさなかったらしいっすね。
「何辛気くせぇ顔してんだよ」
無愛想な声の方を向けば、見慣れた顔。
全身に乗しかかるような重たい感情が、すっと軽くなるような、肩の力が抜けるような、そんな感覚。
家族がいなくても大丈夫っすよね。だって、私には家族みたいな、親友みたいな、ただ一人の幼馴染がいるっすから。
「私、大丈夫っす」
「あ?」
「シカマルがいるから、大丈夫っす」
「!……そうかよ」
つくづく私も変っすよねぇ。だってこんな無愛想な声に、安心するんすから。
夕暮れが夜に変わって、すっかり暗くなったけど、シカマルと二人なら暗闇もきっと怖くねぇですよね。
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