おいてゆく
さようなら、いとおしい秘密基地。ほんとうにだいすきで、ほんとうはずっとここにいたかった。やさしいこの場所で、守られながら、抱きしめられながら、ゆっくりと朽ちていきたかった。心地の良いぬるま湯に浸かりながら、自分の意志や渇望が、なにより自分自身が、ゆるやかにやわらかに、しあわせにくさりはててゆくのをずっと眺めていたかった。
だけどここが潮時だ。あたしはここを出て、歩き出さなくちゃいけない。ぬるま湯を抜け出して、やさしさを振り切って、あらゆる想いを打ち捨てて。
かれらを棄ててゆくことが、かれらと出逢ったその意味だ。
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