とおく、はるかとおくから
あたしが死んだらきみはわらうかな。それとも泣くかな、わらうことも泣くこともなく、いつものかわいい笑顔は心の奥底にしまわれて、ただの無表情で空を見上げてゆっくり息を吐くのかな。
きらいじゃなかった、すきだった。鳩原、って呼んでこちらを振り向く笑顔だとか、日に透けてきらきらひかる髪だとか、口元にゆるい笑みを浮かべながらも標的を見据える冷たい目とか、なんの呵責も躊躇いもなく人体を砕ける強さとか。
「うそじゃなかった。うそじゃ、ないんだよ」
あたしが死んだらきみはわらうかな、だから言わんこっちゃないって、おまえ無駄死にしたよって、いつもみたいにわらってくれるかな。
それとも泣くかな、あたしがもうこれから先どこにも不在なんだっていう事実を、ほんのすこしでもかなしくおもってくれるかな。
でもきっときみはわらうことも泣くこともないんだ。
あたしの骨のひとかけらでも持って帰って、電車で遠く離れた駅の、あまり綺麗じゃない海に思い切り放り投げて、わらうこともなくこともなく空を見上げるだけなんだ。
あたしはすこし、それがうれしい。
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