さかしまのゆめ
「ほんとうは、あいしていたんだよ、なにもいえないくらいに」
ゆうぐれの、もう電車の通ることのない行き止まりの線路を歩きながら、ふと振り向いた鳩原が言う。目を細めても追いつかないくらいに逆光が眩しくて、ほんのすこし、涙が、せめて目を守ろうとあがくようにゆらりと浮かんだ。
線路の上をゆく鳩原がバランスを失ってぐらりと揺れると同時くらいに、ばちんと世界に穴が空き、ずるりと敵が現れ出でる。
手に馴染んだ冷たい凶器が冷たいままで銃弾を放ち、間断なく炸裂音が響く。急所を貫かれ機能を失った兵器は崩れ落ち、赤く染まる空ともうどこにも繋がらない黒い柱の影と線を背景に、鳩原未来が微笑んだ。
「あいしていたよ」
もう一度優しい声が言って、そのまま彼女は、とけるように消えた。
ああ、まだ。ため息が出る。
「おれだって、」
あいしていたよ。
こんな夢をいつまでも、繰り返し見てしまうほどには。
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