内緒で応援に来た、試合終了後

影山
試合終了後、烏野が一旦二階の応援席に来るだろうと目論み応援席の入り口で待つ○○。少しすると黒いジャージのメンバーがぞろぞろと入って来る。「あ、菅くん!」うぇーいとハイタッチ。「ありがとう教えてくれて」「どういたしまして。今影山も来るから」実は中学が同じだった菅くんに応援の仕方をこっそり教えてもらっていたのだ。「…っス」「飛雄くん!」ぞろぞろと入って来た一番後ろに影山がいた。「おつかれさま、途中からになっちゃったけど全部かっこよかったよ」「○○さんの声聞こえて、びっくりしたけど嬉しかったっす」「菅原くんに振り教えてもらったかいがあったよ」「あの、」急にソワソワと目線を泳がす影山。少しして意を決したのか、○○の両手を包むように握りしめる。「あの振り、めちゃくちゃ可愛かったんであんま目立つとこでやらないで欲しい…です」「……え?」彼の口から出た、予想もしなかったストレートな言葉で顔に熱が集まる。「制服姿可愛いすけどスカート短いし、足上げたらその…見えそうじゃないっすか…」「わ、わかった、わかった次からそうするね!」「…っす、俺の前だけにしてください」影山をびっくりさせるつもりで来たのに、逆に心臓を掴まれた。



研磨
試合が終わり誘ってくれたあかねちゃんへお礼を言い、階段を下りて研磨のところに向かう○○。丁度一階に差し掛かったところで彼の姿が見えたので急ぐも、他のメンバーと一緒だった。声をかけようか悩んでいるところに研磨が気付く。「研磨、」「…早く下りてきて」むっとしながら○○に声をかけ、彼女の方へ向かう研磨。やばい、何故か怒っていると焦りながら急いで彼のところに向かう。「…へへ、びっくりした?」「来るなら来るって言ってよ…」「ごめん、驚かせたくて。でもかっこよかったよ、研磨が一番」「………ありがと。それより、制服」「あ、そうなの着替える時間なくて」「可愛いけど今日男子バレーだから。シャツ鎖骨まで見えるけどリボンとかないの?」「ないよ?でもなくても可愛いでしょこの制服」「…そうだね」相槌のあと、無言で自分のパーカーを取り出し彼女に着せる研磨。何の前触れもなく彼の香りに包まれた嬉しさと、何故?という疑問で頭が混乱する。「…変だった?」「可愛いって言ったでしょ。薄着だし他の人に見せたくないから、嫌じゃないなら終わるまでそれ着てて。スカートも短いから階段もすぐ下りて」むっとしてた理由がわかって思わず可愛い、なんて思ってしまった彼女。と、陰で嫉妬と悲しみで涙を流す山本、好奇の目で覗くメンバーの姿があった。




試合が終わって少ししたら、一階へ向かう○○。「あっ」恐らく休憩場所に向かっているであろう侑たちが見えて急いで走る。「侑ー!…っえ?」「二度も驚かされるかい」侑の背中に抱き付いたつもりが、いつの間にかこちらを向いていて正面から抱きつく形になっていた。「足音で丸わかりや」「なんやおもんない」「コントしに来とるんとちゃうで!」「せやな、侑めっちゃかっこよかったもんな!」「当たり前やろ」「俺は?」「勿論治もかっこよかったで」「お前はいつも水を差すな」ぐいぐいと押し合っている侑と治こそコントみたいやと笑う○○。「でも今日初めて応援来たやん?侑の可愛いファンの子沢山おって…ちょっとだけ妬いてしまいそうや」「……」目を丸くして○○を見る侑。「…何か言うてや恥ずかしい!」持ってきたうちわで顔を隠した。「…アカーン!見んな、この可愛え生き物は俺のもんや!」彼女を隠すように抱き締める侑。「それ言うなら○○やてそんな軽装備で来んなや」「軽装備って…ただの制服じゃん」「薄着すぎるわアホ、ニットでも着とけ」「ニットって…うちの学校これが普通…」「それは女子高だからやろ。今日ほぼ男やで?チラチラ見とる奴おったからな、後で絞める」○○を抱き締めたまま、ちゃっかり牽制する侑。




試合が終わってから体育館への出入口の少し先で待つ。稲荷崎が出てきたと同時にブンブンと手を振ったら、それにすぐ気付いて小走りで○○の元へと向かう治。「来るなら言うてや。びっくりした」「そんな顔しとったもんな、大成功や!治、めっちゃかっこよかったで」「ありがとうな。…それよりそのシャツも制服なん?」「スカートだけ制服ておかしいやろ、なんか変やった?」「いや、めっちゃ可愛え。でもな」治は自分のジャージを○○のお腹のところへ巻いた。「…?」「手振ってくれたやろ?お腹見えてん、男ばっかおるから気ぃ付け」あの時お腹をポンポンしていたのはそういう事か、と納得する。うんこかな、なんて思ってごめん。「…女子高やからなんとも思わんかったわ」あはは、と笑って巻いてもらったジャージをおもむろに解いた○○。それを見て、嫌だったのか…と少しショックを受けたのも束の間。ニコニコしながら治のジャージを羽織る。「へへ、こっちの方が全部隠れるしええやろ?治の香りや」「ちょ…っ」汗臭いしと言おうとしたが、自分のジャージを嬉々と羽織っている○○が可愛すぎて言葉が続かない治。「……あかん、ちょっと一緒に行こか」そのまま手を引いて人気のない所へ連れていかれた。