「とーるよわむしだから、わたしとーるのおよめさんになってあげる!やくそくだから!」
はっと目を開けると見慣れた天井だった。‥嫌な夢を見た、小さい頃にした約束。こんな夢を今頃見るなんて、自分は今相当参っているらしい。時計を見ると、どうやら寝坊したようでもう朝練には間に合わなかった。携帯を見ると岩ちゃんからの大量の電話。こんなにモーニングコールしてくれたのに、あの夢のせいでなのか全く気が付かなかった。
「‥ばか、みたいだな、俺とだなんて」
小さく呟いた言葉は、誰にも届くことなく消えた。
それからの学校が酷く憂鬱で、今日が日曜日だったら練習だけで##name_1##の顔を見なくてもいいのになんて思いながら重い足を前へと進める。しかもこんな時間帯だ、下手したら‥
「徹、おっはよー!」
やっぱり、後ろからあっけらかんとした声で来たのは##name_1##だ。朝練だと家を出るのが早いから絶対会うことはないけど通常の登校時間だ、すぐ近所だしこうなることは予想していたけどなんでまた本当になるのかな。
「おはよ」
「岩泉くんから聞いたよ、寝坊したんだって?」
「うん、岩ちゃんからめちゃめちゃ鬼電入ってた‥」
「徹‥学校行ったら気を付けてね‥」
学校に着いたら岩ちゃんにすぐ謝ろう、じゃないと殴られそうだ。‥謝る前に蹴りが飛んでくる可能性の方が高いけれど。(最後にクソ川覚えてろよ、なんてメッセージが入ってたから)
「ねぇ、聞いて聞いて!」
「なに?」
「今日、めっちゃ懐かしい夢見たの!」
「へえー、どんな?」
「徹は覚えてるかな、小さい頃に徹のお嫁さんになるって言ったの」
「‥あーそうだったっけ?」
「やっぱり忘れてる!私は覚えてるよ」
あの頃はこんなにモテるなんて、強くなるなんて想像もしなかったしとつけ加えて笑っている。
忘れるわけなんかない、偶然にもその夢を見て遅刻したんだから。ただ、##name_1##まで覚えてるとは驚いた。そんなのとっくの昔に忘れていると思っていたから。
「ま、小さい頃のよくある話だよね」
「そうだね、」
今となっては##name_1##が俺のことを見てくれるなんて可能性はないのかもしれない。
だったらいっそのこと、
(そんな小さな約束だって忘れてほしい)