「昨日はありがとうね、」
「なにが?」
「岩泉くんのこと、徹の言った通りだった」
「ちゃんと話せたんだね」
「うん、ありがとう」
部活に行く前、##name_1##に引き留められたと思ったらやっぱり昨日のことだった。
まぁ##name_1##に怪我もなく終わったからいいんだけど。岩ちゃんからも部活が終わってから改めてお礼なんか言われたりして。(あんな素直な岩ちゃん久しぶりすぎて逆に怖かったような)
岩ちゃんには##name_1##がネガティブなこと言ってたよと伝え彼女と話をするように促した。##name_1##にはその後、またボールが飛んでいくと危ないので岩ちゃんの言った通り練習終わりまで少し離れて見るようその場所まで連れていった。
部活が終わってから岩ちゃんは##name_1##を家まで送っていき、近くで見ないでと言った理由をちゃんと話したらしい。そこで誤解が解け、お礼を言いにきたってわけ。
俺は今回またおせっかいして仲を取り持ったことに自己嫌悪してるんだから、本当は放っておいてほしかった。だけど##name_1##も岩ちゃんも、そんなこと知る由もない。
「今日も見に来るの?」
「うん、今日から少し離れたところで見るつもり」
「‥岩ちゃんだけじゃなくて俺の事も見て」
「え?うん、徹のこともちゃんと見てるよ!」
思わずぽろりと出てしまった、本当の気持ち。でも##name_1##はその意味をわかっていない。そういう意味じゃなく、男として、俺の姿見てあわよくば惚れてほしいってことなんだけど。
「ねぇ、」
「え、な‥に、」
##name_1##の手首をぎゅっと掴むと、驚いたような顔をして俺を見上げた。
「‥俺、##name_1##のこと好きだから」
言ってしまった。今まで真剣に向き合ってなど、絶対言わないと決めていたのに。
きっと、今回のおせっかいが思ったよりも精神的に堪えていたのかもしれない。
思わぬところで、我慢ができなくなり零れてしまった。
言ったその一瞬、無音の世界にいるような、そんな空気が俺を包んだ。
##name_1##はそのつぶらな瞳を大きく開いている。
やっと、気が付いてくれたのだろうか。俺の気持ちに。
心臓の音がやけにうるさくて耳に障る。##name_1##にも聞こえてしまうのではないかってくらい。
「徹、」
ごくり、と、唾を飲む。
次に返ってくる言葉はなんだろう。これで##name_1##から突き放されたら、俺はどうすればいいのだろう。避けられたら、そんな考えばかりが頭の中を占める。
「もーどんだけ私のこと好きなの?私も徹のこと好きだから安心して!」
そう言って##name_1##は笑った。
‥全くと言っていいほど、俺の気持ちは伝わっていなかったらしい。さっきの焦りは全て無駄だった。
結局、##name_1##は俺のことを男とかそういう目線で見ることがないんだ。かなり真面目に言ったつもりだったけど、それでも、伝わらない。
幼馴染みという壁は、そんなにも大きいものだとは知らなかった。
避けられるのも悲しいけれど、こんなに真剣に気持ちを伝えたのにも関わらず一ミリも伝わらないというのがこんなにショックだと思わなかった。
きっと、この先も彼女は俺のことを恋愛対象としては見てくれない。
また本気の告白をしたって、今回みたいに友達として、冗談としてしか捉えてくれないだろう。
「‥だよねー知ってる。じゃあ俺部活行くわ」
「がんばってねー!」
##name_1##の手首を離して、俺は体育館へ向かうため教室を後にした。
(好きだよと伝えても、君にとっては冗談にしかならないんだ)