「ごめんクロ、ちょっと校門行ってくる」
「ん?あぁ」
休憩中、スマホを確認したと思ったら突然研磨が校門まで走っていった。(部活以外でしかも休憩中に走るなんて、雨でも降るんじゃねぇか)あの研磨が走っていくなんて、きっと急用なんだろう。
そろそろ休憩も終わるな、なんて思いドアの方を見ると研磨が戻ってきた。‥見慣れない女子を連れて。
「クロ、この子おれのいとこなんだけどなんかナンパみたいなのにしつこくつけられたみたいで部活終わるまでここにいてもいい?」
「初めまして、2年の##name_1##っていいます、他校なのに突然すみません‥」
「おう、災難だったな。もう少しで部活終わるからここで待ってな」
「ありがと、クロ。‥ってことだからボールに気を付けて待ってて」
「あ、ありがとう研磨!‥と、えっと‥」
「3年黒尾鉄朗だ」
「あ、ありがとうございます、黒尾さん」
研磨が女子連れてきて、雨どころが台風でも来るんじゃねぇかと思ったがいとこか。驚いた。それにしても可愛い顔してんな、山本が見たら絶叫するか固まるかのどっちかだな。
そんなことを思いながらコートへ戻って練習を再開した。そのうち##name_1##ちゃんの存在に気づきそわそわし始めたので、彼女が緊張しないようこっそりと研磨のいとこだということをみんなに伝えた。山本はテンパって話し方が片言になっていたが、想像の範囲内だ。全員女子に見られてることで気合いが入り、なかなかいい練習になった気がする。(いつもこうだといいんだがな‥)
「じゃあ今日の練習はここまで」
先生と明日の練習についてのミーティングも終わり、荷物をとりに部室に戻った。いつもはみんな先に帰って暗くなっている筈の部室に今日は電気がまだ点いていた。不思議に思って部室のドアを開けると、研磨といとこの子がそこにいた。
「あ、やっときた」
「まだ残ってたのかよ研磨」
「だってナンパに太刀打ちできないから‥クロがいれば寄ってこないだろうし」
「おいそれどういう意味だ」
「あ、あの迷惑かけてごめんなさい‥!」
「あ、いやいや大丈夫デスヨー」
それは俺の顔が怖いってことか、研磨。そのナンパ師よりこえぇってかコノヤロウ。いいけどよ、どうせ一緒に帰るだけだし。すぐに荷物を持って、鍵をかけ部室を後にした。
3人で帰っているのに相変わらず研磨はゲームから目を離さない。何も会話がなくて気まずいのか##name_1##ちゃんがちらちらとこちらの様子を窺っている。話題‥つってもバレーのことしかねぇしな‥。
「あー、男バレ見たの初めて?むさっ苦しかったでしょー」
「あ、はい、初めて見たんですけど‥すごかったです!」
「え?」
「難しいことはわかんないんですけど‥黒尾さんがバーンて打ったりとか、相手のスパイクバチーンて止めたの‥かっこよかったです!」
「‥‥」
かっこよかったです
かっこよかったです
かっこよかったです
この子、かっこよかったって言った?俺のこと?しかもなにその笑顔、ここ来て初めて笑ったんだけどすっげーかわ‥かわいくないデスカ‥!初見で可愛い顔だなとは思っていたけど、笑った顔は別格。
「‥!?なにやってんのクロ?」
頭より先に手が動いていた。気がつけば俺は彼女の両手を胸の前でがっちりと握っていた。
「え、あ、その、‥‥ボクとトモダチになってくれませんカ」
「‥‥?え、あ、はい‥?」
「く‥クロ‥‥」
(恋というのは些細なことをきっかけに生まれるらしい)