「じゃあ、気を付けてな」
「はい、ではまた遊びに行きますね!」
「じゃーね」
「ばいばい!」
##name_1##ちゃんと研磨と三人で帰るのにはもう慣れたようで、笑顔で話をしてくれた。でもさらりと二人で帰るのを断られたのはやっぱり心にぐっさりときましたよ、えぇ。
「なぁ研磨」
「変な質問なら受け付けないよ」
「二人で帰ろうって誘うのまだ早いのかなぁ」
「‥相手がいいならいつでもいいんじゃないの」
ごもっとも、研磨さんの言う通りでございます。てことはまだ誘うには早かったんだろうな。距離を詰めるの急ぎすぎて##name_1##ちゃんに嫌われたら嫌だし、一緒に帰ることがあれば暫くは研磨を引きずって三人で帰ることにしよう。
##name_1##ちゃんは合間を見てか、ちょいちょい音駒に遊びに来てくれるようになった。来るたびに三人で一緒に帰り、##name_1##ちゃんが好きそうなカフェに寄ったり、ゲーセンに行ったりと色々なところに寄り道をして帰るようになった。前に比べて格段に交わす言葉が増えたような気がする。(そう思ってるのは俺だけだろうか、)
だからといって自分から二人で帰りましょうなんて、また断られたらと思うと怖くて言えない。(ほんとに自分、女々しいな)早く言える日が来ればいいのに、ともどかしさばかりが残る。
それから##name_1##ちゃんはバイトを始めたらしく、遊びに来る回数が少し減った。今日もバイトらしく、彼女の姿は見えなかった。まぁ今日は俺も部活後先生たちと打ち合わせで遅くなってしまったので丁度よかったのかもしれない。(遅くまで待たせるわけにはいかないし)予想通り、帰る頃にはすっかり日は落ちて空には月が顔を出していた。さっさと帰って、##name_1##ちゃんに連絡しようかななんて思っていたら前方に見たことのある後ろ姿を発見した。
「いえ、あのですから私高校生なんで‥」
「大丈夫だよ、高校生でもこっそりバイトしてる子とかいるし」
あぁ、やっぱり。今度は風俗の勧誘に捕まっている。俺は彼女の元へ走って行き、勧誘の兄ちゃんの前に立った。
「連れに何か?」
「でかっ‥あ、いえ、では‥」
でかって、心の声漏れてたぞ兄ちゃん。
「黒尾さん!」
「よく絡まれるね、大丈夫?」
「ありがとうございます‥度々ほんとにすみません‥」
なんだか彼女を久しぶりに見たような気がした。きっと会う回数が減ったからそう感じさせるのだろうが。
こんな形でも、##name_1##ちゃんに会えて正直俺は今舞い上がってる。一緒に帰りたい、でもまだ時期が早くて断られるかも、という考えが俺の気持ちを制御する。
「あの、」
「ん、どうした?」
「‥今こんなこと不謹慎ですけど、黒尾さんに会えて嬉しいです」
「‥‥え?」
「最近、あまり会えてなくてなんだかちょっと‥寂しいなって思ってたので」
変、ですよね。なんて彼女は頬を赤くして笑った。会えて嬉しい?会えてなくて寂しい?##name_1##ちゃんが、そう言ってくれた?
‥言うなら今しかないのかもしれない。まだ二人で帰ることすら達成していないけど、絡まれてたところを助けたなんてずるいシチュエーションだけど。
「##name_1##ちゃん、」
「‥?はい?」
「俺、##name_1##ちゃんのことが、その、好きです‥」
「‥!黒尾さん‥」
「あ、いやその、全然断ってくれても大丈夫だからまじで!」
彼女は少し困ったようにうつむいた。その様子を見て、俺はまたタイミングを間違ってしまったのだろうかと後悔した。
すると、##name_1##ちゃんの小さな手が俺の手を掴む。何事かと思って柄にもなくおどおどしてたら彼女は俺を真っ直ぐと見上げた。
「黒尾さん、私も‥好きみたいです」
「‥‥まじすか」
どうやら、俺の初めて想いは彼女に伝わったようです。
(恋ってやつは、うまく育てると愛に進化するらしい)