思いもしなかった、まさか君からそんなこと言われるなんて。
「俺と##name_1##はただの幼馴染みだよ。だから安心して」
なんて、この台詞、一体何回言ったのだろう。
「徹!聞いて聞いて、」
「ん?また岩ちゃんのこと?」
「またって言わないで!あのね、岩泉くんと初めて会話しちゃった!」
「お、やったじゃん。で、岩ちゃんはなんて?」
「あのねー、私のこと知っててくれたんだよ!及川とよく一緒にいるだろって、徹ほんとセルフキューピッド‥」
「うーん、そうかそうか」
そうだよね、俺よく一緒にいるの##name_1##か岩ちゃんかチームメイトだし。セルフキューピッドとか初めて聞いたんだけど。なにそれ。
そんなの、別になんてことない事なのになぜか胸騒ぎがする。気のせいであってほしいと願うが、きっとそれは叶わない。なんだかそんな気がするんだ。
「でね、連絡先教えてもらっちゃった!」
嫌なことに限って、的中したりするのは何故だろう。良いことがありそうなんてことは、当たった試しがないのに。あの岩ちゃんが女の子に連絡先を教えるなんて、高校3年間一緒にいて聞いたことがなかった。一番初めが、##name_1##、だなんて。
それがきっかけなのだろう、彼女と岩ちゃんはよく話すようになっていた。仲良くなっていく二人を、近くで見たくない。こんな風に思ってしまう自分がすごく嫌いだ。二人とも好きだけど、好きだからこそ二人が仲良くなるとなんだか俺が蚊帳の外にいるような気がして。##name_1##を隣から奪われる、そんな感覚に陥る。
ましてや、今まで女の子と話すことが苦手な岩ちゃんが##name_1##と仲良くなりつつある。そんなの、なんでかなんて答えはひとつしかない。
「‥なぁ、及川」
「どしたの岩ちゃん、改まっちゃって」
「##name_2##さんって、その、」
「んー?なになに、思い切って言っちゃいなよ」
「その、お前と付き合ってんの、か‥?」
あー、やっぱりね。いつかくると思ってたその質問。想像はしてたけど、実際に問い掛けられると背筋がぞくりとした。付き合ってるよ、って言いたい。言いたいけど、##name_1##は俺のことそういう風に見てくれたことは今まで全くなかった。一度たりとも。自分でいうのもアレだけど、昔から割りとモテる方で。だけど結局好きになってもらいたい人からは一度も振り向いてもらえていない。いつも、俺の周りばかり。
だから、俺はこの台詞を何度言ったかわからない。
「俺と##name_2##はただの幼馴染みだよ。安心して」
「そう、か」
そしてこの台詞を言った後の、相手の安堵した表情も何度見たことか。岩ちゃんも例外なく、安心した表情を浮かべていた。あぁ、苦しい、胸がジクジク痛む。
きっと、二人が付き合うのも時間の問題、だろうか。
そんなことを考えながら、言い飽きたあの台詞を頭の中で繰り返した。
(ただの幼馴染みなんて、言いたくない、)