未来の話
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「今日はなんのゲームをしているんだい?」
「あーこれ?恋愛ゲー」
そう言いながら緋透はイヤホンを片方外し画面を類に見せた。画面の中では男性キャラが主人公に話をしているシーンだ。普段のゲームとは趣旨が違う事に驚く類だが緋透はそれを察したのか「友人がやれってしつこく言うからやってる」と言うと納得をしたようだ。
緋透はそれを淡々と進めていた。イヤホン越しに聞こえるのは甘い言葉を囁く声が聞こえる。
「……僕も少し鑑賞してもいい?」
「別にいいけど…話進めるだけだよ?」
構わないよ、と笑顔で言われて別に気にもしてない緋透は類を隣に座らせ片方のイヤホンを彼に渡すと片耳につける。距離が近い、類の方は少しだけ意識をしてしまう。こんなに近くにいる事なんて滅多にないからだ。再び緋透はゲームを再開して進める。それをチラリと横目に彼女を見ると真剣な表情をしていた。時折独り言を呟き、提示された選択肢に悩みながらも進めていた。
イヤホンから聞こえるてくるのは男性キャラが主人公に熱烈な思いをぶつけるシーンだ。展開的から見るとプロポーズシーンだろう、甘い囁き、強い思いを打ち明ける。主人公であろうヒロインもそれを受け止めるように返すのを見ると緋透は少し照れ臭そうな顔をしていた。
「うーわ熱烈ぅ…こんなの惚れるよなぁ……」
とぽそりと呟く緋透の声を聞き逃さなかった。その時類の心にもやり、と何かざわついたのがわかる。なんだろうと気になるがその感情がいいのが悪いのがわからなかった。
その後練習が再開し、一旦ゲームは中断して練習に集中した。
練習が終え、帰路に向かう。類に「途中まで送るよ」と言われ断る理由もなくうん、と返事を返した。
「ところで緋透くんもああいうプロポーズされると喜ぶのかい?」
「へっ?」
唐突な質問、急に言われて声が裏返ってしまうとフフ、と笑っていた。いや、急にそんな事言われたら変な声出るだろと内心思いつつもなんでそんな事聞くんだろうと疑問に思ってると、先程の休憩で見せた恋愛ゲームを見せたからかと納得した。
別にゲームとしては一つの物語として見てるが、甘いセリフを聞くと少しだけむず痒いが自分に向けて言われてる訳でもない、ゲームの話だと割り切っている。
「別に…まあ嬉しいよ」
「じゃあ僕から言われたら?」
「類のだったら死ぬほど嬉しいよ、現実か?って何度も確かめるかもね」
と少し照れ臭そうに笑っていう。それを聞いた類は満足そうに微笑んでいた。そして何かを言おうとしたのを察して慌てて止めた。
一瞬なぜ止められたかわからない類の顔をする。言いたい言葉はわかる、わかってるからこそ止めたかった。止められた事にちょっと不満になりながらも緋透は言葉を紡いた。
「今言うのはちょっとだけ違うかな?」
「どうして?緋透くんだって嬉しいって言ってただろう?」
「そうだけどさぁ…けどね類」
と言い聞かせるように緋透は類の手を握り隣に寄り添い類の肩に頭を乗せて言った。
「嬉しんだけどその言葉はさ最高の舞台で最高のタイミングで言ってほしいかな。それまでさ、俺は待つから…焦らなくて良いから」
「緋透くん…」
「類ならできるだろ?最高な演出でしてくれるだろ?」
にこりと微笑みながら類の目を見て笑った。それを見た類は理解したように緋透の目を見て笑った。なるほどそういうことかと察した。
「フフ、すまないね。少しだけ気を早めすぎたね。そうだね、もう少しだけ待っててくれるかい?そうしたら最高に心に残る演出で緋透くんに言うよ」
「そうだね、待ってる。待ってるから…だから類の演出、近くで見せてね」
そう笑あい二人は繋いだ手を話さないように強く握り合った。
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