ピアス
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「ピアスしてみてぇなぁ…」
ぽそりとつぶやいた言葉が類の耳に入り驚いた顔しながらこちらを見た。ガシャンと工具が落ちる音が聞こえた。そこまで動揺するかとか思いつつ自分のスマホで開け方を検索していた。他人から聞くと痛くはないって聞くが実際どうなんだろう、気になる。気になりはじめたからやろうと決断するとガシッと肩を掴まれた。
「やめときなよ、しなくてもイヤリングで充分でしょ」
「いやーそれお前が言うか?自分だってピアスしてんじゃん」
ズバッと言い返すと返す言葉がないのか黙ってしまう。だがしつこくやめといたほうがいいんじゃない?と言われる。そんなに開けられたくないのか?と呆れつつもピアスの候補を探し始める。
そんなにゴテゴテしたものはしたくない、シンプルなのがいいなと。そう、今類が付けてるようなものがしてみたい。そうなるとお揃いになるなと勝手に脳内で話を進める。お揃いなら類も文句はないだろと。
「で、なんでそんなに嫌なんだよ、俺がピアスするのを」
「それは………もちろん他の人に緋透くんに傷をつけたくないからだよ」
「何だそれ」
理由がわかるようでわからない。他人に開けさせたくないなら自分で開けるか類に頼むはって顔をするが彼には伝わらなかったのかきょとんとしていた。
「なら、類が俺の開けてよ」
ガシャン。また工具が落ちた。今度は落とした場所が類自身の脛にあたり痛そうにうずくまる。痛そうだなぁ…と眺めながら大丈夫かと聞きながらと話を進める。そうと決まれば類に頼んでさっさと開けてもらおうと通販で頼もうとすると、類に腕を掴まれスマホを没収される。
「えぇ…返してよ」
「開けないって約束したら返すよ」
「やだ、開ける」
むすっとしながら返してと頼むがダメと返される。一向に話が進まない、平行線だ。どちらか折れなきゃこの話は終わらないとお互いも気づいてたが折れるのは絶対に嫌だと意地でも相手の諦めたを聞くために言い争う。
「じゃあなんで緋透くんはピアスしたいの」
「類とお揃いにしたいからだよ」
「………へっ?」
「は?」
まさかそんなことを言われるとは思わず間抜けな声が出て固まる。その隙に自分のスマホを奪い返して速攻でピアッサーを通販で頼む。購入完了のページを見せる。してやられたと呆れてため息が出る。
満足そうにする緋透は届くのが楽しみそうに笑っていた。
「それでさーどれがオレに似合いそうか見てよ。何だったら類が選んでよ」
と言いつつ自分のスマホ画面を類の見やすいように近づき見せる。その距離は密着するほどの距離感だった。類は少しだけ意識しているが当の本人の緋透はあまり気にしていない。もうピアスをするって気持ちが大きくて周りがよく見えてないからだ。
説得するのを諦めたのか類は見せてもらった画面を見ながら彼女に似合いそうなのをピックアップする。
後日、類が緋透の耳に穴を開け、彼が選んだピアスを嬉しそうに付けてる緋透が見れるのはまた、別の話。
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