
分岐点から歩き出す
朝、目を覚ますと目の前に小南先輩があった。それを目覚めてすぐに拝見した私は驚きのあまり、滅茶苦茶動揺したけれど、冷静になって考えた時に昨日玉狛支部にお泊まりした事を思い出す。
しかし、小南先輩……。とりおが恋心を抱いてしまうだけあって可愛い、天使かな。顔ちょっと赤いし。あ、頬抑えた。天使だ……。間違いない。しかし、なんで小南先輩がこんなに近くにいるのだろう。小南先輩は昨日ベッドで寝てたはずだ。 そして、ここは私が貸してもらった布団の上だ。うーん。私は まだ寝起きのせいで重たい瞼を なんとか開いて、先輩の前でとても失礼だとは思ったけれど、とても堪えられなかったので欠伸を一つ。
「……ふぁあ、おはようございます」
「お、おおおはよう!!! よく眠れた!?」
「ぐっすりでした〜〜」
「そ、そう! 良かった!!」
滅茶苦茶 慌てている小南先輩を見て、面白くてちょっと笑っていると「あ、いや、これは」と歯切れの悪い言葉を並べた。
この状況に関しての弁解でもしたいのかもしれない。ベッドから転げ落ちてしまったのか、入って来たのかは解らないけれど、女同士ならば そこまで問題はないのではないかと思う。しかし、小南先輩的にはアウトなのかもしれない。小南先輩は星輪に通うお嬢様だから、そうなのかも。でもそれでいうと、私も謝るべきなのでは??
「そういえば 小南先輩。私、ずっと先輩に聞きたい事があるんですけど いいですか?」
「えっ……、あ、だ、だめ!!!」
「え、ええ……そうですか、わかりました」
「これはその!! ベッドから落ちたのよ! そう!! ベッドから落ちたの!!!」
「? いや、そんな事じゃなくて」
「そんな事!? これ些細な問題なの!?」
じゃあなんでおるねんって聞いてほしいんかーい。私はもうどうしたらいいか解らないよ。ていうか、大前提として小南先輩とか可愛すぎるからなんでも許せるし……。狡いよなあ。前も言ったけど、嵐山さんの一族はイケメン美少女しか生まれないのかな?? なんなの?
「名前、名前!!今日の遊真達とのランク戦、一緒に見るわよね?」
「え? 私は本部で見ますよ」
「……なんで!!!?」
「冬島隊は新人に興味がないので大丈夫ですけれど、今日は佐鳥ちゃんが実況なので…」
「さ、佐鳥……あたし佐鳥に負けたの……?」
「え"っ、でも今日は玉狛に帰って来ますし、帰ったらゲーム大会なので大丈夫ですよ!」
「あたしもやる……」
「小南先輩って、ゲームわかるんですか?」
「馬鹿にしてる?」
「いや、お金持ちはゲームやらないのかと」
本日は2月1日。B級ランク戦開幕の日である。どうせ、にのみーとカゲ先輩のところが上位を独占してしまうのだろう。こんな事を言ってしまっては失礼かもしれないけれど、ポッと出の遊真達にカゲ先輩達がやられてしまう想像は出来ない。正確には、緑川くんと負けず劣らず……むしろ勝っちゃってる遊真が3人いる部隊ならワンちゃんどころか、滅茶苦茶期待出来るけれど、三雲隊員と雨取隊員がサポートでは危ないと思う。
でも雨取隊員トリオンモンスターだからガンガン攻撃を繰り出して敵をぶち抜いていけば、流石の にのみーやらカゲ先輩も
「小南先輩、もう起きますか?」
「そ、そうね!! こうやって2人で布団に入ってると、ちょっと狭い…し……」
「でも暖かいですね。小南先輩は子供体温ですか? 私は冷え性だから羨ましいです」
「……そうなの? 自分じゃわからないけど」
絶対そう!!と人差し指を立てた私を見て小南先輩が目をまん丸くした所で部屋の扉が開き、私達が殆ど同時に扉に視線を向けると、とりおと遊真がいて(とりおが)死んだ魚の様な目をして口を開いた。
「……やっぱり苗字は女もイケるんだな」
「やっぱりとは!!?」
「おれは名前が誰を好きでも否定しないよ」
「それ勘違いしてる人の台詞ね!!!」
「ゲームの誘いに来たんだが、邪魔したな」
「おれたちで始めようよ」
「そうだな」
「お前らがやろうとしてるゲーム、私のゲームなんですけれども!!?」
むくり、と起き上がった小南先輩が「本当にアンタ達の言うような事じゃないわよ」と目を細めて言うと、案外二人はアッサリと引き下がった。……なんで? 私の時は物凄い顔してたじゃん。そんな2人に小南先輩が、ていうか お前らは女子の寝床に勝手に入ってくるとかどういう神経してんの?(私訳)と遊真と とりおの背中を押して部屋から追い出していた。
凄くスピーディーな流れでした。流石 小南先輩だよね。凄い。なんで私が相手だと2人してあんなにーーーもしかしてナメられている? 嘘でしょう……。緑川くんに続いて 遊真にもナメられてるの? え? いつから?? 私ってナメられるような事した???
「名前って着替え……ってどぅおわ!? どうしたの!? なんで泣いてんの!?」
「私は今、人生に絶望してます……」
「なんで!? 遊真達のせい!? アイツ等なら あたしがボコボコにしてあげるから泣かないでよ、名前〜!!!」
「なにもう、小南先輩すき」
「えっ、えっ!!?」
「はいはい、朝ご飯出来てるからなー。苗字も小南も本当にソッチの道を走ろうとするなよー、特に小南」
だってとりおが!!という私は言い返してからハッとした。なんでコイツ何気にここにいるの? いつドアを開いたの? いつからいたの? 怖くない? 迅さん怖くない??
迅さん 最近思うんだけど、マジで敵に回したらダメだよね。この人だってそもそも頭おかしい人だし。これからは必要以上に関わるのはやめよう。あれ、私から関わった事なんてなくない?? え? 迅さん回避不可フラグ……でも大丈夫!!これはゲームではないから回避は可能ですーーーと、思うじゃん? 思い出して頂きたい。この男の
「そういえば、迅さん!! 私のメールアドレスどこから入手したんですか!?」
「嵐山」
「あら…!!? じゅんじゅん……、まって!! じゅんじゅんも私のアドレス知らないし! !嘘ついてもわかるから!」
「本当だって。嵐山経由で佐鳥に聞いた。そうだ。小南、名前に服貸してあげてよ」
「さっきまで苗字で呼んでいたくせに親しげに名前呼び再開しないでくださいよ」
「美少女が怒ると怖いなー」
「はいはい、喧嘩しない!! 迅は出てく! 名前はこれから着替えて あたしとご飯!」
迅さんを追い出した 小南先輩は部屋の棚からポイポイと洋服を投げる。意外と入らなそうな棚なのにドンドン出てくるなあと思っていたら床がなくなった(洋服で埋め尽くされた)。いや、凄い。全部高そうだし可愛い。
そんな事を思いながら眺めていると、小南先輩の刺すような視線が私とぶつかったーーーかと思えば、散らばった洋服の一つを手に持って唸って、また私を見て、また唸って、服を置いて。たぶん、私の服を決めてくれているのだと思う。なんて良い人なのだろう。これで私も、あの高級そうな服を自ら選ばなくても良いわけだ。最高ですか……!!!
「うーん、なんか名前って赤って感じがするのよね。大人っぽいってことかしら」
「……嵐山隊ほどじゃないですけれど、冬島隊の隊服も赤が強めにはいっているからじゃあないですか?」
「たしかに。なるほどね。そうだ、名前ってミニスカート大丈夫な子?」
「黒のストッキングがあれば!」
「なにその変な拘り」
「見せれる足じゃないので筋肉とかで」
「筋肉質な脚って事? いいじゃない」
「……犬飼先輩に筋肉ゴリラって言われてからは本当に素足は禁止しているんですよね」
「犬飼って……。あの二宮隊の犬飼澄晴?? それ、なにかの間違いじゃないの?」
そんな事はないですよと小南先輩の渡してくれたストッキングやらスカートやらを着ながら言うけれど、小南先輩は「名前のいう事が本当だとしたら犬飼澄晴って2人いるのかしら」と頭を抱えていた。小南先輩は果たして犬飼先輩の何を知ってて そこまであの人を庇うのだろうか。だって、私が犬飼先輩との記念すべき数回目のコンタクトの日。あの人は初対面のはじめの方にだけ見せていた笑顔を見事に消してしまっていた。その日は、私が二宮さんに足が云々と話していたのだ。その話を聞いたのか、足の話をしていた私の足を見た犬飼先輩は「ふーん」と呟いて、全く笑っていない目を私に向けて言った。おまえの足マジで筋肉ゴリラ(80%、私の記憶を元にお話ししています)、と。当時私は中学生で、毎日何キロだかはもう忘れてしまったけれど、かなりの長距離を走っていたように思う。だから筋肉も付いてしまったのだろう。気持ちはわかる。ただ、その言い方……。もっと言い方あったのではないだろうか。私は当時からガラスのハートを持っているわけで、そんな事言われると当然傷付く。だから、本当にその日を境に制服にも何にも必ず黒タイツを履くように心がけた。
それを知った犬飼先輩がなんて言ったと思う。周りの目を気遣える程度の思いやりはあるんだね、だ。……はあ??? お前なに目線なん?? ーーーという事は何回か思ったが、しかし、犬飼先輩とは本当に遭遇率が低いので私もまあまあ安心してボーダー生活を送っているのである。はい、回想終わり。
「うん、可愛い。本当に可愛い。お人形さんみたい!! 写真! 写真撮って良い!?」
「えっ、1人で!? 小南先輩も一緒に……」
「えっ!? 無理!!! 心臓もたない!!」
「同じ布団に入った仲じゃん!!」
「そ、そそれは関係ないでしょ!!」
「一緒じゃないと いやです!!」
「なんなの この可愛さ! 病気!! ちょっと待って! レイジさん呼んでくるっ!」
パタパタと廊下を駆け出した 小南先輩を見送って、木崎さんを呼ぶだなんてなんてナイスな人選なのだろうと感心した。まあ迅さんを呼んだら滅茶苦茶ニヤニヤされるし、とりおもアイツ本当にすぐ人を馬鹿にするから良くない。そう考えるともう玉狛第二メンバーか木崎さんしか残っていない。ああ、いやまだいる。会ったことはないけれど、宇佐美先輩とか。因みに宇佐美先輩は、あの菊地原くんの事を、きくっちーと最初に呼び始めた強者である。
「お待たせ、名前!!」
「さて、そんじゃさっさと撮影しちゃおう」
「え、宇佐美先輩ですか?」
「やあやあ、はじめまして。宇佐美栞です。きみの事は きくっちーから常々聞いてるよ」
「なんて言ってますか!?」
「うーん……さて、写真写真!」
「無理やりすぎる!!! 泣いて良いですか!? きくっちーの馬鹿!!」
「おお? こなみの胸があいてるぞー」
「え!? え!?」
写真を撮り終えた宇佐美先輩は「そういえば朝食、食べちゃってるよー」と笑う。それは急がなければと駆け出した私に小南先輩も慌てて付いてきて、宇佐美先輩は後ろで「そんなに急がなくても 私みたいに食べないで待っててくれてる人もいるよー」と教えてくれた。いや、それならば余計に急がないといけない。寧ろ、皆 私の事はいいから食べてよ!!!
そんな事を宇佐美先輩に愚痴ると宇佐美先輩は「名前ちゃんはお客様だしなー」と返してきた。それを言われたら、なにも言えない。返す言葉が見つからなかった。
「お待たせしました、ごめんなさい」
「……お前は休日も制服を着るのか?」
「ブラウス着てスカート履いてる子が皆制服だと思ってんの!? とりおは!!」
「相変わらず、黒タイツも履いてるしな」
「判断基準は黒タイツって事でいいの!?」
「いつ脱ぐんだ?」
「お願いだから会話のキャッチボールしよ!!何こいつ本当に嫌い!!!」
京介はお茶目なところがあるからなーと迅さんが言うと「そうすか?」と、とりおが答える。はい、身内による救済。コイツみたいなのが お茶目の中に入るのならば、お前らのお茶目は犯罪者にも適応されるよ。ストーカーがストーカーした事に対して、お前ストーカーするとか本当にお茶目だな〜って言ってるようなものだよ!! 流石にだいぶ違うけれど!!!
「お待たせしてすみません」
「俺は色々と用意があるから 待っていない」
「おれもゲームの種類について とりまる先輩に聞いてたから別に待ってないよ」
「ありがとう!! 宇佐美先輩も!」
「アタシもさっき来たところだよー」
なんだろう、玉狛支部は皆が神様なのかな。ちょっと向こうで迅さんが「おーい、おれ達も待っていたんだけどなー」とか言ってるけれど、迅さんは普通に私のことを使いすぎだから待つくらいが丁度良いのではと思う。だって私お客さんだし。
とりおみたいに、食事中は静かにしろよって思う。空気を読んで。私はチラリと、とりおを見る。とりおさんは、お前はそういう奴だよな、お礼も言えないのかよ、本当にゴミ野郎だな、と。彼らの言葉が彼の背景に写し出された幻が見えて肩が跳ねた。
「か、かかか烏丸くんも待っててくれて 有難う、ございます。苗字とってもうれしーい、あー、うれしいなー!!」
「ねえ、おれは?」
「今すごく真剣なので!!!」
「理不尽すぎないか?」
私は目の前に並べられた朝食に視線を向けた。宝石のような輝きを放つ 艶のあるお米。美味しそうなサラダ。これまた考えているのか、赤、黄、緑の色をバランスよく入れている。流石ゴッドファーザー木崎さん……。なにもう、料理スキルたっか!!! 高すぎるよ!! お嫁さんが可哀想なレベル!!!!
現に私という乙女が自分の料理の腕前に今絶望しているんですけれど!!!?誰でもいいから苗字に その胸を貸して!!!
「ん?」
「迅さん以外でお願いします……」
「凄い失礼な事を名前が考えているんだろうなーって事だけは伝わった」
「予知ですね。チートエフェクト」
「お前も割とな」
「雨取隊員が優勝だから大丈夫」
しかし、こんなに美味しい朝食は初めて食べた。お味噌汁だって一体なにを隠し味に使っているのっていうくらい美味しかったし、御飯とか、お米なんていう名前ブランドのやつですかって聞きたいレベルの美味しさだし。私さ、お米美味しいとか思ったことなかったのね?? でも、やっぱり木崎さんの作る御飯のお米は違ったよね。
なんなのだろう。アレなのかな。太陽の手みたいなものを持っているの? 苗字は多分持っているとしてもダメな方の……なんだろう。悪魔の手的な……。あの
「そういえば、今日ランク戦だから三雲隊員と雨取隊員も支部の方に泊まっているのかと思っていましたけれど、違ったんですね」
「修は あの怪我だしね。千佳は家に返せってレイジさんが。過保護だから。まあでも確かに泊まるにしたって部屋がないから用意しないとよね」
「おれ達部屋が貰えるの?」
「そのうちな」
いいなー、ウチの部隊も作戦室とかに個室があったら良かったのに。大学に入ったら支部に移ろうかな。それがいいかもしれない。どこの支部にしよう。鈴鳴支部とか鋼くんがいるから生活しやすそう。まあずっと本部でも良いのだけれど、本部ってヤバい事すると直ぐに鬼怒田さんとか城戸さんとかに呼び出されるからよくないんだよね。苗字達、最近冬島さん達もハッチャケてるから目を付けられてるんだよね。仕事もほら、勝手に
流石にさ、そこまで大事にされると私達としても、ちょっとは落ち着きましょうよってなる訳で最近は割と真面目に防衛任務をしています。
「木崎さん、ご馳走様でした!!」
「名前、ゲームやろうよ」
「小南先輩も!!」
「待って!!片付けたら行くから!!」
「ゲームやるの? アタシも混ぜて〜」
「ゲーム機足りるかな? 足りなかったら、とりおは私と一緒にやろうね」
「名前と!? なにそれ、ずるい!!!」
「とりまるくん 交換してあげたら?」
「いやです」
「……へぇ〜〜??」
「別にそういうのじゃないです。小南先輩の悔しがる顔が見たかっただけです」
「面白そうだから、そういう事にしてあげよう!! 恋せよ、少年少女!! 青春だね〜」
あー、とりおって小南先輩の事が好きなんだもんね。本当に青春だね。いいな。苗字も青春したいな〜〜!!!格好良くて、強くて、優しくて、頭が良い人がいいなー。あれ……、これって、嵐山さんにピッタリじゃない??? うわ、苗字の運命の人じゅんじゅん!!!……烏滸がましくて ファンに殺されてしまう。そもそも、じゅんじゅんって純粋すぎて告白とかだし……。告白して、妹枠か何かの苗字の事だから「構わない!何処に行こうか!!」とかってキラッキラの笑顔で言われそう。なにそれ、二重の意味で無理。なんなの、じゅんじゅん最高すぎ。すき無理。結婚したい。神様も苗字にちょっとは いい思いさせてあげたいなって思うなら、じゅんじゅんと結婚させてくださいお願いします。
無理だなあ。だって、そういえばだけれど苗字って確か、事ある毎に神様を否定してきてるよね??? はい、無理。苗字は神様に嫌われてるから無理だ。お疲れ様。来世に期待しよう。
「このゲーム機が、いち…に、さん……4個あるので、取り敢えず コレで良いですか?」
「いいともさ!」
「待って、一応確認。小南先輩と遊真と宇佐美先輩と私ととりおだから……うん、とりおは私とペアで〜す!! おめでとう!」
「そうだな」
「反応うっす……」
朝からゲームとかニートかよなんていうツッコミは学生の私達には関係なく、今日は防衛任務もないから朝からずっとゲームが出来る。
因みに私は休日毎日こんな感じ。偶に当真先輩とラーメン行ったりするけれど、基本的にゲームをどっぷりやっています。気が付いたら次の日の朝だったりもする。イベントの時なんてもう普通に徹夜。なんなら本部に籠ってトリオン体になるとかいう反則技使ってるからね。まあ、課金するくらいだし、察してほしいところ。
「ぬぁああ!? また負けた!!!」
「強いね」
「手の動きが普通じゃないよ、名前ちゃん。オペレーターに向いてるかも」
「まあ、私はやり込んでるし……」
「授業中も寝ながらゲームやるもんな」
「…………それマジ?」
「嘘に決まってるだろ」
嘘なの!? 本気で冷や冷やしたのに!? 心臓バクバク言ってるからね!!? とか思っていると「こんにちは」と、三雲隊員と雨取隊員が顔を覗かせた。そしてそれを見た遊真が今日の事で話があるという彼等の輪の中に混ざってしまったので、私達もゲーム会を夜に回すという話になって お開き。暇になっちゃったねー、と言いながら何気に私と とりおは例の携帯アプリのRPGを共にプレイしていた。
因みに、とっきーも何故かログインしていたので一緒にやっている。話していて解ったのだけれど、佐鳥ちゃんが夜の実況のメンバー確認とかで席を外していて、今は1人らしい。ていうか、いまはメンバー確認とかあるの? 今の実況凄くない?? まあ本当なら今すぐにでも駆けつけたいけれど、私も今日は玉狛にいる身だからなあ。ごめん。夜行くね。
「そういえば、迅さん!! ヒュースくんのご飯は!? 朝食べたの!?」
「ヒュース? ……食べたんじゃない?」
「他人事か! ちょっと見てくる! 小南せんぱ〜い!! 一瞬ゲーム変わってください!」
「いいけど、あたし こういうの苦手……」
「大丈夫です!! とりおがいます!」
「はいはい、行ってらっしゃい」
……苗字マジでナイスアシスト。とりおと小南先輩をさり気なく共に遊ばせるとか、このスキルやばくない?? 取り敢えず、今日はいい事したから とりおも苗字に優しくなってくれないかなあ。そんな事を思いながら、ようやく覚えた道のりを進んでヒュースくんの部屋の前でヒュースくんヒュースくん叫んでいたら、滅茶苦茶不愉快そうな顔をしたヒュースくんがいた。なんかごめん、本当……。
しかし、ヒュースくんは滅茶苦茶広い心を持っているので、取り敢えず何も言わずに部屋に招き入れてくれた。見て、神様。こういうのが神っていうんだよ。
「ご飯食べてないかと思って心配した!!」
「……食べなくても死なないだろう」
「死んだらどうするの!!?」
「朝から煩い」
「いまもう昼だよ」
「どうでも良い事だな」
「朝の範囲広すぎる!! この暗い部屋のせいじゃん! 苗字が抗議してあげようか?」
「有り難迷惑の極みだな」
ヒュースくん辛辣すぎる……。取り敢えず、苗字はヒュースくんが苗字の名前を呼んでくれるまでせがんだ挙句に呼ぶまで帰らないと脅した。しかし、全く名前を呼んでくれないヒュースくんと滅茶苦茶語り合ったところで、3時を回ってしまって、慌てて部屋を飛び出すと、ヒュースくんは勝ち誇ったような顔をしていた。なんなの、可愛すぎか。
部屋に戻ると、小南先輩がグッタリとしていて、とりおはシレッとした顔をして携帯をいじっていた。この数時間で何があったのだろうか。どうせ、私の知らない間にゲームでイチャコラしてたんだろうけどな。あーあ。苗字も恋愛したいなー。