
視点B
「弟子の指導メニューを考えて欲しいって……ふーん、とりおも苦労しているんだね」
「烏丸は苗字に言ってるんだと思うけど」
「知ってる知ってーーー……え!? とりおってば私に言ってんの!!? どうしたの!?」
私弟子の指導どころか弟子なんて持ったことないから出水先輩とかの方がいいんじゃないの!? ていうか、三雲くんって そもそもポジションどこ!? 前回確か佐鳥ちゃんと解説の席に座っていたよね!? 苗字 教える以前に三雲くんのポジションがそもそもわかっていないのだけれど!!!? そんな奴に聞くだなんて とりおってば、そこまで追い詰められていたの!? それは大変な事だね!?
ーーーと、頭の中は いつものように騒がしかったけれど 一応話は聞いてみた。トリオンが少なくて、実戦経験も全くない。ふーん。でも、遊真や雨取ちゃんが あそこまでハイスペックなんだから どうせ三雲くんも とんでもハイスペック技を持っているのだろう。知らないけれど。だって、風間さんとか緑川くんとランク戦やったって聞いたし。そう考えると 実戦経験が全くないというのも疑わしい。加えて、三雲修くんといえば 私知っているんだからね。あれでしょ、前の侵攻の時に戦功とってるよね。苗字見ましたよ〜〜。なあ〜〜にが、弟子の指導メニューに困ってるだよ。ただの弟子自慢じゃねえか。こいつ……、烏丸京介くんめ……。そんなに弟子が可愛いですか、はいはい、そうですか〜〜。
「ーーー自慢か!! ムカつく!」
「お前の奇跡の脳味噌は 一体どういう考えを経て そういう結論に至ったんだろうな」
「それに三雲くん、まだランク戦にも参加していないじゃん。 実際に とりおが言うように弱いのかは分からないんじゃあないの?」
「そうでもない」
「……まあ、三雲くんが本気で強くなりたいって思うのなら これから先 自分がどういう戦い方をしたいのかっていうのを固める必要があるんじゃないの? 解らないけれど」
「苗字の時は どうだったの?」
「私の時も大体そんな感じ。ただ、私の場合は暫くは このサイドエフェクトをどうやって活かすかっていう模索期間があったけれどね」
私のサイドエフェクトならば攻撃手や射手、銃手でも上手く使えそうだけどね、と言う とっきーに とりおも同調するし、私もそう思ったけれど現実は甘くなかった。
攻撃手なんてサイドエフェクトが活かせる場面が滅多に来ない。今ならば孤月に旋空のオプショントリガーをつければ そこそこまあまあ動ける場面も出てくるけれど、それ以外の需要が殆ど無かった。そうなった時に私は射手と狙撃手で迷った。私が入隊してすぐは銃手のポジションはまだ検討段階だったから仕方がないのだけれど、それでも 私が入隊して結構すぐに出来たポジションだった気がする。しかし、あの時の私は自分が周りの人間と
「それに、狙撃手は単純に私との相性が良すぎる最高の
「……へえ、意外」
「そうでもないでしょ〜〜。だって私、結構動けるし……それに私は遊真達が特別なだけで
「そういえば 苗字は、
普通この場合は私とモチベーションの似ている香取ちゃんと私は親友くらいの仲の筈なんだけどなあ……。
小言を漏らすと、とりおからは「遠ざけたのはお前だけどな」と、一言。とっきーからは「染井とは仲が良いんだから 苗字のその持論も当たらずとも遠からずなんじゃない?」と、一言。お二人から、とても有難い言葉を頂きました〜〜。2人とも偶に私に結構突き刺さる言葉をサラッと口にするよね……。
「それよりも二人共聞いて!! もうすぐバレンタインなんだよ! どこのチョコレートが欲しい!? お金の心配はしないでね! もうそこは気にしないことにしたの!」
「手作りが一番安上がりなんじゃない?」
「いやいや、手作りって得体が知らないでしょう? 本当に手作りって怖いよね、うん。 苗字には挑戦できないや、あはは〜〜……とりおは そんな恐ろしい事言わないよね?」
「手作りが一番安上がりなんじゃないか?」
「おのれは 鬼か?」
私の返しに笑いを返す2人に唇を尖らせる。こういうのはあれかなあ。やっぱり、カゲ先輩とか当真先輩みたいに苗字の料理に対して なんのお世辞も言ってくれないような人に聞くのがいいのかもしれない。出水先輩、米屋先輩なんかも中々酷かったから あの2人でもいいかもしれない。当真先輩とかね、酷いんだよ。前に私が開いてあげた勉強会の時に持っていったお弁当に対して、大声で笑いながら「こりゃあ人間の食いもんじゃあねえよ」と素敵な一言をプレゼントしてくれたからね。その場所には鋼先輩や荒船先輩もいたのだけれど、あの2人のフォローが悲しくなってくるくらいの血も涙もないセリフを容赦なく発言してきたからね……。
見てろよ、当真勇。今の私は木崎さんという凄い人間が料理の師匠なんだからね。いつか 「苗字の料理マジで美味いわー」とか言ってもらうんだから、覚悟しとけ 本当に。
「そういえば、苗字。 昨日あれから佐鳥とは どうなったの?バレンタインの事なんて おれ達より佐鳥に聞いた方が早いんじゃない?」
「佐鳥ちゃんと苗字が どうなったかなんて とっきーの方が知っているんじゃないの?」
「此処にいないのが全てだろ」
「とりおってさ、敢えて誰もツッコまなかった事をサラリと言うよね。そんなんだから小南先輩に振り向いてもらえないんだよ」
「随分と迷惑な勘違いだな」
そんなことを言ったって とりおが前に本命がいるみたいなこと言ったのが悪いんだよ!! 滅茶苦茶気になるもん! それに とりおと小南先輩って仲良いし、いいコンビ!!って感じがするから、私は別に照れなくてもいいと思うけどなあ。 お似合いだよね、美男美女。そもそもさ、そんな心配しなくても、とりおが小南先輩を彼女にしたいと断言したところで皆も『へー、頑張ればできそうだね』くらいしか思わないよ。
私が烏丸京介くんを彼氏にしたい!!なんて血迷って口走った日には、あらゆる女子に後ろから刺される未来が容易に想像出来るというのに この差は一体どこからくるのだろう。
「でも、とりおが本部に来るなんて久しぶりじゃない? それに三雲くんが弟子っていうのなら 私達といるよりも三雲くんをみてあげた方がいいんじゃあないの?」
「今日は珍しく苗字も烏丸も一日予定もないみたいだし、偶にはいいじゃない」
「そういえば、私と とりおってバイトやら防衛任務やらで滅多に予定が合う事ってないんだもんね。忘れてた」
「学校を除くんなら 最近は烏丸よりも菊地原や古寺達との方が一緒にいるんだっけ?」
「まあ、そろそろテスト期間だしね〜〜。それに今回は どうしてもって事でテスト前にも防衛任務が一回あって大変なんだよね……」
まあ、真木さん優秀だし、当真先輩は 三学期のテスト免除だし、冬島さんは学生じゃあないから 冬島隊いけるんじゃね? みたいにスポットが当たるのは理解できなくもないんだけど……。私は毎回このパターンのせいでテストの順位が一桁台に届かないんだよ……。前回そうやってちゃんと城戸さんに言っておいたのに、城戸さんのばか……。
これはもしかして こういうこと? 真木さん頭いいんだから、お前は同年代と勉強するよりも真木さんに教えてもらいなさいっていうこと? いやいやいや、司令。 古寺くんと染井ちゃんの頭の良さをなめちゃいけないと苗字は思うの。 だってね、あの2人はね。 数1Aの学習を一年生のくせに全て完璧にして既に数2Bに取り掛かってる勢だからね。なんなの、勉強ガチ勢なの? どうしてボーダーと学生を両立できるの……。
「おいこら、苗字名前。ラウンジのボックス席は お前の作戦室じゃねーだろ」
「あ、諏訪先輩だ」
「誰がいつ お前なんかの先輩になったよ。あんまし 調子乗ってると はっ倒すぞー」
「残念、私が普通校に入った時点で諏訪さんは うちの学校のOBなんで先輩枠です」
「あー……なるほどな。どうりで最近その辺と仲が良いわけだ。 普通校なんて よくお前んとこの親が許してくれたな」
「いやいや、私インフルエンザだったのに体調管理も出来ないなんてって三時間も怒られましたよ。やばくないですか?」
「いやでも お前の親ならやりかねん」
諏訪さんはとっきーと とりおのソファーの背もたれの部分に両手を置いて「今日は佐鳥じゃねーのか」と、とっきーの隣に座っている とりおを確認してから私にまた視線を戻す。
「私達って そんなに毎日一緒にいるイメージですか? 前に諏訪さん お前らが同期とは思えねーわとか言ってたのに」
「そんなことよりも、だ。 俺くらいになると情報がガンガン入ってくるわけだが……お前最近二宮のストーカー卒業したのか?」
「あー……、親離れみたいなものです」
「……すばり、男が出来たのか。どっちだ」
「誰と誰の話をしてんの!!!?」
「お前の事だから村上か出水だな」
「なんで出水公平!!!?」
「だってお前ら 一時期滅茶苦茶仲悪かったのに急に滅茶苦茶仲良くなったじゃねーか」
いやだとしてもでしょ!!? 出水先輩!? なんで!!? いやいやいや、そもそも向こうが私みたいなゴリラ女(先輩命名)なんてなしでしょ……。 もう滅茶苦茶いうからね、あの人。 付き合うにしても、お前だけは心の底から無理、みたいな感じで。本当に酷いんだよ。
まだ、とりおの方が優しいよね。だってほら、前に嫁に行き遅れたら 最悪貰ってくれるみたいにいってくれたし……。いや、これもワンチャン冗談説あるーーーというか、多分冗談だと思うし、そうじゃなかったとしたら私が木虎ちゃんとか香取ちゃんにブッ殺されるし、ワンチャン折角最近仲良くなった亜季先輩にも嫌われる説あるから冗談であって欲しい。そうじゃないなら私は死んでも嫁に行き遅れないようにしないといけない。
「そういえば 諏訪さんって明日玉狛第二とあたるんでしたっけ? 応援行きますか?」
「おまえ……ランク戦観戦は二宮隊でっていう お前の中の鉄壁の規則を遂に撤廃したのか……? なんつーか、成長したな……」
「いつの話ですか!! 恥ずかしいわ!」
「つい最近の話だろ」
「そうだけど 今年から辞めたの!!」
「今日が2月4日だから……2ヶ月前までは存在してた ぴちぴちの
「やーめーてーーー!!!」
両手で顔を覆って「諏訪さん、後輩いじめは良くないです!!」なんて大声を上げながら 盛大に私の得意である嘘泣きを披露していると私の後ろから「ダメだよ、諏訪さん」と聞き覚えのある声が聞こえる。思わず、なんでここにいるの、なんて口から出てしまいそうになるのをなんとか堪えて 私はゆっくりと顔から両手を離して振り返った。
緑川くんである。うわっ、やっぱり……と、声をあげなかった私を褒めて欲しいものだ。これは確実に明日のランク戦についてのお話だ。いやな予感を感じつつも振り返った私のカーディガンの襟を思い切り引っ張った緑川くんは「先輩、ボーダーでは必ず換装するようにっていったよね」と私に言葉の圧力をかけてきた。この子はね、偶にとても怖いんだよ。怖いよね。だって私いま現在進行形で首が絞まってます。
「苗字の首、絞まってるけど……」
「今にも死にそうだな」
「あ、時枝先輩に烏丸先輩。ちわっす」
「緑川、そいつ一応数少ないうちの麻雀の面子の1人だから絞め殺すのは止めろよー」
「あっ、ごめ〜〜ん。 名前ちゃん先輩がイジメられてるのを見るとつい条件反射で」
「どんな条件反射!!? 怖い!!」
「先輩は気にしなくていいよ。そういえば 今日遊真先輩と遊ぶんだけど 先輩も行こうよ」
「えっ、でも今はとっきー達と……」
「いいから!! ……あー、そういえば諏訪隊って明日玉狛第二とあたるんだよね?」
「はあ? なんだよ、急に」
「
緑川くんに無理やりを引かれる形で諏訪さん達と別れた私は後で とっきー達に謝罪メッセージを送ることを心に決め、無言で私の手を引きながら前を歩いている緑川くんを眺める。すると緑川くんは私の視線を感じたのか、そうではないのかはわからないけれど、くるり、と首を動かして「先輩も遊真先輩に会ったことあるよね」と、私に確認をする言葉を口にして 首を傾げた。なんで知っているのだろう……と思考した後すぐによく考えたら 緑川くんと三雲隊員がランク戦している時が遊真と私の初対面だったのだということを思い出して首を縦に振った。
思い返してみれば 遊真に2回目にあった時 私そのことをすっかり忘れていて すごく遊真に申し訳なくなったなあ。懐かしい……。まあ、それなりに結構最近の話ではあるけれど。
「そうだ!! オレ本部では いついかなる時も換装するようにって言ったじゃん!」
「そうだっけ? でもほら、今日は過激スキンシップの出水先輩とかじゃなくて とっきー達だったからいいかな〜〜って思っちゃった」
「いいわけないじゃん!! 現に今日だって諏訪さんにイジメられてたし!」
「うーん、あれは……ノリの延長?」
「ふーん、へー。 じゃあもうオレ先輩のコト助けるのやめちゃうからね」
「私これから毎日換装するよ!!!!」
だからこれからも守ってください!!緑川くんによって引っ張られている手に力を込めると満足そうな顔をして「最初からそういえばいいのに」とキラッキラの笑顔を私に見せてくれた。うわあ、この人モテそう……。将来が明るいよ……。いいなあ、格好いいって人生得しているよね。緑川くんは私達の代が3年生の時に1年生になるわけだから、とりおが卒業した後に滅茶苦茶鬼のように人気でそう……。とりおなんて嵐山さんが卒業した後に入れ替わりで入ったじゃん?? だからかわからないけれど、入学式とか在校生の女の子達滅茶苦茶肩落としてたのに とりお見た瞬間に目が輝いたからね。
出水先輩と米屋先輩も私が普通校に入るとは思っていなかったみたいで教えてくれなかったけれど、嵐山さんが卒業して あの時の女子達のテンションは地に落ちていたと入学式の終わりに「お前うちの学校かよー!」と言いながら教えてくれた。尚、私はちゃんと三輪先輩には事前に報告していたのだけれど伝わっていなかったらしい。米屋先輩は知っているものだと思っていたから私も先輩達の反応に凄くビックリしました。
「そういえば、遊真と緑川くん あの流れから仲良くなったんだね。男の子ってわからないな〜〜。私も二人みたいに香取ちゃんと仲良くなりた〜〜い」
「遊真先輩は強いし戦ってて面白いからね〜〜。先輩も意外とランク戦やってたら仲良くなれるんじゃない?」
「私は狙撃手なのでランク戦はパス」
「オレの時みたいに射手でやってポイント稼いだらいいんじゃないの?」
「射手は疲れるし、しんどいからやだ」
「絶対嘘じゃん。だって先輩もう射手でポイント6500もあるじゃん。荒船さんみたいに完璧万能手目指したらいいのに」
「それは流石に無理だよ。そもそも攻撃手は私のサイドエフェクトと相性が悪すぎるんだもん」
「そんなのなくても滅茶苦茶動ける癖に先輩って本当宝を腐らせる天才だよね」
「酷すぎて 私泣いちゃうかもしれない」
先輩本当に嘘泣き得意だよねー。素で私の心からの訴えをサラリと交わす緑川くんは中々酷い少年だと思う。昔もなんだか知らないけれど、初対面で凄く挑戦的にランク戦を挑んできた凄い子だし、今更もう驚いたりなんかはしないけれども。
「あっ、私ブースに来たの あの日以来かも」
「先輩は死ぬ程ムカついた時か、オレ達に無理やり連れてこられた時しか来ないもんね」
「前に自ら来たのはゲームで15万円溶かした時だから……半年前だっけ?」
「そうそう。あの日は久しぶりに射手のトリガー使ってる先輩と戦ったけど相変わらず反則級の分割だったよねー」
「やっぱり やるからには その
「えっ? じゃあ、今は?」
「言ってなかったっけ?
それなら言わない方が有利だから秘密〜」
まあでも私、緑川くんと一対一でやる時は射手トリガーでやっているし、最近はサイドエフェクトも それなりに戦闘中に使えるようになってきたから、言われてみれば 私が狙撃手として極めたソレを披露したことなんてないかもしれない。元々は技術力では絶対に上回ることが出来ないだろうと私が勝手に諦めた鳩原先輩に私が狙撃手としての価値で上回る為にと死ぬ程の努力をして身につけたものなのだけれど、私が極めたソレは私のサイドエフェクトとは少し相性が良くなかったから 結局対ボーダー隊員との戦闘で役に立った試しはない。
けれど、対ボーダー戦で役に立たないというだけで遠征の時には これ以上になく役に立っているのだから やはり苦労して身につけた甲斐はあった。それにいざという時に相手の不意をつくことができるという点を考えれば、いま私のその力が緑川くん達に知れ渡っていない事は間違いなく良いことなのだ。少なくとも、私や私達 冬島隊にとっては。
「いたいた。遊真先輩、こっちこっち」
「おお、ミドリカワと名前」
「……は? 名前? 何で先輩達呼び捨てにしあってんの? オレの方が付き合い長いのにオレは『緑川くん』で遊真先輩だけ呼び捨てなんてずるいじゃん!! そういえば双葉の事も呼び捨てにしてるし、オレは!!?」
「双葉ちゃんは女の子だし」
「遊真先輩は どこをどう見ても男じゃん!」
「……か、可愛くない?」
「どう考えてもオレの方が可愛い!!!」
「自分でいうの!!? ていうか、今更名前を呼び捨てで……えっと……駿、くんとかって呼ぶのは流石に恥ずかしくない……?」
「全然恥ずかしくないじゃん!! なんならオレも先輩の事 呼び捨てで呼ぼうか!?」
「や、やめて!! 恥ずかしい!!!」
両手で顔を覆った私の横で緑川くんが、遊真先輩ばっかりずるい!! その年になって、こちらが恥ずかしくなるくらい大きな声を上げて小学生みたく騒ぎ立てるから私が折れるべきなのかと手をの隙間から遊真に助ける求める視線を送る。すると、遊真は『閃いた』とでも言うかのようにポンと手を叩いて得意げな表情を浮かべて緑川くんの肩を叩く。
緑川くんも遊真の その得意げな表情を確認すると、粘りつくような視線を遊真に送って、私同様に次に遊真の口から発せられるだろう言葉を黙って待っていた。
「それなら おれも名前の事を名前ちゃん先輩って呼んだら全部解決だ」
「いや、最悪そっちは二の次なんだけど」
「なるほど、名前が おれを呼び捨てにするのが気に食わなかったのか。ミドリカワ、おまえ結構わかりやすいね」
「ちょっと、遊真先輩。もう先輩の事呼び捨てにしてんじゃん!! 約束は!?」
「気に食わなかった割には おれの発言は有効だったのか。それは流石に よめなかった」
それで、今日は個人戦やらないの? うっすらと笑いながら緑川くんに確認した遊真に緑川くんは「あー……」と曖昧な返事をしてから私の方に視線だけ向けて「今日は惨敗の気分じゃないから別件」と遊真に言葉を返していた。
別件? それに私は必要だったのだろうか? その疑問を抱いたのは私だけではなかったようで遊真も遊真で私の方に視線を寄越して不思議そうな表情を浮かべている。
「ああ、ごめん。名前ちゃん先輩は関係ないよ。本当にオレ個人の用事だし、先輩はオレのモチベーションを上げる為のオマケでラウンジから拾ってきたんだ」
「拾ってきたって……」
「それに 遊真先輩達、次は諏訪隊と当たるんだよね? ボコボコにしてほしい人が出来たからタイミング的には今かなって」
「私にはキミが何をするのかということが これっぽっちも想像もつかない」
「あー、うん。 遊真先輩に このあたりでグラスホッパーを教えておこうと思って」
「……へ? み、未来の敵に そんな事をするの!? 緑川くんってば凄い大人……」
「先輩は自分より性能が良い狙撃手を直ぐに目の敵にするのよくないんじゃない?」
「だってムカつくじゃん」