幻の六人目





「昨日何を話していたのかくらい教えてくれたって良いじゃない。黒子テツヤのケ〜チ」
「ボクが火神くんにバスケを辞めろとボロクソ言われた事実に先を求める苗字さんは正直相当イカれてると思います」
「えっ、そんなことを言われたの……?」
「その顔、やめて下さい。ボクは自分の意思以外でバスケを辞めるつもりはありませんし、ボクだって嬉しいんですよ。キミと、ちゃんとチームメイトになることが出来て」



 苗字名前が黒子テツヤの横で幸せオーラを放出させて、ふわふわとしている その様子を後ろから眺める火神大我は「(別にそこまで言ってねーし、優しさじゃねーか)」と、若干ふてくされながら部活動へと向かう為の準備を進める。因みに、火神大我は『優しさ』で言っているつもりのようだけれど、その優しさは受け取る側からしてみれば『バスケットボールをやめた方がいい』よりも、余程キツイ言葉だっただろう。

 受ける側に黒子のような諦めの悪さがなかったのならば、相当こたえたに違いない。



「そういえば、昨日帰りの電車で黒子くんと一番仲良しだったっていう人と会ったよ」
「聞く限り、青峰くん達じゃないですよね。全然思い当たらないんですけど、誰ですか」
「名前は分からないんだけれど、苗字は『黄瀬』で合っていると思うよ。私が呼んでも特に可笑しな反応はしなかったし……」
「全く想像がつかない組み合わせなんですけど、あの人と関わりあったんですか?」
「殆ど はじめましての筈なのだけれど、初対面にしては妙に嫌われていたんだよね」



 確かに気に入らない事を言った自覚はあるけれど、あそこまであからさまに嫌いを前面に出されたのは初めてだよ、と言って頬をかく名前を見て黒子は、まあそうだろうな、という表情を浮かべた。黒子は黄瀬涼太が名前の事を好いていないという事を知っていた。具体的にいつから黄瀬が名前に嫌悪感を抱いたのかは不明だけれど、『青峰大輝』『桃井さつき』等と昼食を囲んでいた時に見た黄瀬涼太の瞳を黒子が忘れる事はないだろう。

 特に青峰大輝は あの頃、その4人で昼食を取る時間を大変大事にしており、名前が灰崎を連れてきた時を除いては誰も近付けさせなかった。だから、何度も昼食の誘いを断られる黄瀬涼太の姿を黒子は何度も見ていたし、その度に苗字名前と桃井さつきを嫌悪していた事を知っている。そのうちに桃井さつきの方とは馬が合うのか名前が学校を去った時くらいから仲良くしていたけれど、名前に対しての記憶は、きっとあの頃のままの筈だ。逆に『苗字さん? 好きッスよ!』なんて言葉を今更言われる方が色々な意味で怖い。



「彼がキミを嫌いな理由は80%逆恨みなので苗字さんは10%くらいしか悪くありません。あんまり気にしない方がいいですよ」
「残り10%が凄く気になるんですけど……」
「決まってるじゃないですか。そんなの『今の苗字名前が嫌い』の一択しかないですよ」











 苗字名前が体育館に誠凛ジャージを身につけて体育館に現れた時の1年制の肩の落とし方はあまりにも酷かったと一連の光景を遠くから見守っていた相田リコは名前に語るけれど、名前の隣にいる黒子テツヤはカケラ程のガッカリ感も見せておらず、同様に同じクラスの火神大我の方も自分に目もくれずバスケットボールに打ち込んでおり、名前はリコの言葉を受け流すが、黒子テツヤの方の視界にはあからさまに肩を落としている1年、2年の姿がしっかりと写っていた。

 その光景を見た黒子は名前の隣で「すみません、ボクが提案しました」と男子バスケットボール部の皆に頭を下げる。その光景を見た火神大我を除く1年生一同は口にはしなかったものの、黒子テツヤの提案云々の発言よりも、1年生の高嶺の花と評判の苗字名前の隣に当然のように立っている黒子テツヤに腹が立った。



「相田先輩、私は今日何をしたら……」
「名前ちゃんはマネージャー未経験だから、今日は私が教えます。仕事は結構多くて大変だから慣れるまでは名前ちゃんへの負担が少ないメニューでやっていこうと思ってる」
「ありがとうございます……!」
「気にしないで。こっちも事情があって、折角確保できた可愛くて貴重なマネージャーを失う訳にはいかないのよ……」



 物凄く深刻な表情を浮かべる相田リコに名前は「(一体どんな事情があるのだろう……)」と気が気ではない。因みに相田リコのいう『事情』というのは、新設校の誠凛高校においては結構重大な問題である。男子バスケットボール部は元々誠凛高校に存在する部ではなく、バスケットボール部員が独自に立ち上げた部の為に部活動を行う経費が他の部活動に比べて 極端に少ない。それもこれも、去年までの情報だから今年はどうなるか分からないけれど、それでも部費の節約の為に費用はなるべく抑えたい。そうすると問題が浮上する。

 『料理できる人間がいない』。厳密には料理が出来る人間がいないわけではない。例えば、選手には負担を掛けることになってしまうが 試合時は『水戸部凛之助』が用意した『はちみつレモン』で乗り切ることが出来る。だが、合宿時には そうはいかない。あの量のメニューをこなした後に料理までやれというのは、あまりにも酷……。だからこそ、相田リコは苗字名前にマネージャーを辞退される可能性を出来る限り潰しておきたかった。因みに、リコの意見に部員は誰も文句を言う事はしなかった。なんなら、大賛成だった。



「だから暫くは出来る事は各自自分でやってもらうつもり。その辺は皆慣れてるし、2年生は全員承諾済みだから安心してね」
「……それなら、先輩方に負担を掛けないように早く仕事を覚えないといけませんね」



 一瞬驚いた後に何かを決意するように拳を握った名前は、すぐに相田リコに向けて、ふんわりと微笑んだ。何故か、罪悪感に心が押しつぶされそうになった相田リコは選手にホワイトボードのメニューを行うよう指示をした後にクリップボードに挟んである二枚にも及ぶ紙を名前に手渡した。

 その紙には名前が これから1人でこなさなければならない内容が隙間なく記されている。正直、全部読むのが嫌になるくらいの文字数である。リコ自身も4周したところで頭が痛くなったし、今まで選手に負担させていた分の雑務等を見て、選手にも、これからマネージャーとして これらを1人で行うことになる名前にも申し訳なくなった。



「貴方には最終的に、この紙に書いてある仕事を全部一人でこなせるようになってもらうから覚悟しておいてね、名前ちゃん」
「任せてください。頑張ります」



 本当に大丈夫だろうかと相田リコは分かりやすく不安そうな表情を浮かべるけれど、その心配は直ぐに杞憂へと変わる。

 苗字名前という人間は人並みか それ以上に記憶力が高く、備品の収納場所くらいならサラリと記憶してしまえるくらいのスペックを持っていた。流石にスコア記入や審判のような仕事を今すぐに一人でこなすのは難しいけれど、この調子なら大会までには何とかなりそうである。まあ元々、スコア記入くらいならば大体1、2週間くらいで何とかしてもらうつもりだったけれど、この調子ならば審判だって1ヶ月もあれば可能だろう。リコは名前の後ろ姿を見つめて、胸のあたりで小さくガッツポーズをする。



「ーーーロードワーク削った分、練習時間が余るな……どーする? カントク」



 日向順平は体育館の外に視線を向けながら名前の後ろに立っていた相田リコの方に歩いてきて、そのように尋ねた。

その問いかけにリコは口元に手を添える。



「ちょーどいいかもね」



 一年生の実力はみたかったし。そのタイミングとして今日は丁度いいタイミングであると言えるだろう。けれど、名前に情報を詰めすぎた自覚がリコにはあった。だって仕方がないじゃあないか。リコは心の中で自分の行動の正当化を図る。あれだけ物覚えがいいと、あれもこれもとなってしまう。実際に本来三日はかけて教えていこうと考えていた内容を今日全て詰め込んでしまった。これじゃあ、マネージャーの辞める要因を潰すどころか率先して作りにいっている……。相田リコは額に手を当てて肩を落とす。その肩を叩いたのは日向順平ではなく、苗字名前だ。


「私も皆さんの実力が見てみたいです」


 相田リコは目を丸めた。そして、なんて凄まじい観察力なのだろうと思う。けれど、けれどね。己はエスパーか!!! いやね、正直滅茶苦茶ありがたい。有難いし、自分だって一年生の実力は見てみたいものだとは思う。だって、帝光中学の1年生と、あの恐ろしいまでの才能を持った1年生。両方のスペックを確認できるのだから。


「(いやしかし、エスパーかよ!!! )」


 相田リコは名前の方に首を動かして、そしてそのキラキラとした笑顔に諦めたようにため息を吐く。だって提案としては有難いし、それに多分。その観察力は、いつかきっとーーーチームに必要なものになっていくから。確信はないけれど、自信はあった。だって彼女は今、こんなにも楽しそうだから。



「そうね、私も見てみたいし……5対5のミニゲームをやろう! 一年対二年で」



 わあと歓喜の声をあげる名前は物凄く嬉しそうに溌剌とした笑顔をわかりやすく浮かべて「試合だって! 楽しみだね!」と黒子テツヤに笑いかけるが、その一方で他の1年生達は2年生の去年の実績も考えて、わかりやすく肩を落とす。そんな様子を見て、リコも「(あの子くらい度胸があればいいんだけどねー)」と温かい瞳をして名前を眺める。

 そうして、名前の目の前にいる火神大我を見つけ、やはり火神大我が苗字名前をバスケうちの部に入れてくれたのだと確信して、ナイスアシスト!と小さくガッツポーズをする。



「(…さ〜て。
 ルーキー達はどこまでやれるかな?)」











 あ〜〜、よかったあ〜〜〜。

 苗字名前は黒子テツヤの隣で、ふう、と息を吐いた。その様子に黒子テツヤも これは触れたほうがいい反応だろうかと思考して「なにかあったんですか? あの数秒に」と少しだけ後半を強調しながら尋ねる。監督の相田リコと苗字名前が業務内容以外でした会話は見ていた限りでは本当にあの数秒だけだった。あの数秒の会話の中に彼女が今の反応をするような会話があったとはとても思えないけれど。そういう意味での強調だ。それが名前に伝わるかどうかというのは黒子本人にもわからないけれど。


「私のせいで、先輩や皆が本来やるべきことをやらないなんて そんなのは嫌だから。だから''よかった''って思ったっていう数秒だよ」


 相変わらず よくわからない回答に黒子は「気にしすぎじゃないですか?」と本心をそのまま伝える。だってあの監督。失礼だとは思うけれど、見てきた限り、たった1人のマネージャーにそこまで気を使うとは思えない。

 これは貶しているとかそういうことではなくて、単純に全てが的確だからだ。アドバイスも何もかも。だから本当にやるべきことであれば、新入りのマネージャーが例えば本当に必要であったとしても、逃げられる覚悟で必要な事を『未来のために』やるはずだ。そうでなければ、新設校のこの学校が去年1年生だけで決勝リーグに行けるはずがない。



「気にしすぎじゃあないよ。私もきみには及ばないけれど、人間観察は得意なつもりだしね。だから青春の数秒、数分がどれだけ大切なのかも分かっているつもりだよ」
「そうですか」
「だから迷う数秒が無駄だと思った。でも私が先手を打てば、効率重視のあの人はきっと迷わない道を選ぶよ。先読みの勝利だ」



 そんなこと普通は考えない。それでも彼女がそれを考えてしまうのは、今日までの彼女の人生を彼女自身が一番無駄であったと呪っているからだろう。黒子テツヤは「きみのそういう考え方は自分を不幸にしますよ」と、敢えて伝えた。本当に本心で彼女がそう思っていると知っているから。そしてそれが本心であるのならば、それはその分だけ彼女の過去を呪い、不幸にする上に、今あるこの時間さえも暗くしてしまう。今はいいだろう。けれど、何かあったときに、その感情はきっと彼女を覆い、今のこの時間さえも呪いに変えてしまうのだろう。だから敢えて・・・伝えておいた。伝えなければならない言葉だから。

 だって黒子テツヤは知っているのだ。
 過去と今を呪い続ける その道を。



「さて、この空気を作ったのは私だからマネージャーとして1年生の皆に謝罪の気持ちも込めて激励の言葉を送らないといけないね」
「そういうことは苗字さんが苦手とするところだったと記憶していましたが、もう克服していたんですね」
「………火神くん、ガッツだよ!!!」
「はぁあ!? なんでだよ!!? あんた もうちょっと自分の発言に責任持てよ!」



 黒子だけ偉く贔屓するなと名前の方をなんとなく眺めていた火神は、あまりにも急な無茶振りにギョッとして後退したけれど、頭の上で手を合わせて「おねがい〜」と嘆くマネージャーの頼みを断るのも可哀想な気がして頬をかく。

 そもそも、マネージャーはあくまでも選手の為に行動したのであって無茶苦茶な提案をカントクにしたというわけでもない。どちらかといえば、チームの実力を知れると言う意味でも少なからず自分にとっては有益な働きをしてくれている。多分自分だけではなく、チームにとってもそれは今後のポジション決めの役に立つだろうし……。



「ビビるとこじゃねー。相手は弱いより強いほうがいいに決まってんだろ! 行くぞ!!」



 今のフリからそれは少し格好良すぎ、誇張しすぎ、という黒子の視線をチクチクと頬に感じるとはいえ、話題を振ってきた名前の方が「おー」と愉しそうに右手をグーにして上にあげている様子を見る限りでは、これくらいが正解だったのだろうと思う。








 試合開始のジャンプボールは長身の火神大我に圧倒的に有利で当然火神の手にボールが渡った。その長身と跳躍力を利用する。それは一見簡単なことのように見えるし、あれくらいの身長があれば当たり前と思うかもしれないけれど、実際のところ、想像よりもずっと難しい事だ。彼はスポーツーーーバスケットボールーーーを経験しているから、バスケットにおいて、ジャンプボールの権利を得ることにはなれているかもしれないけれど、自分の身体を理解して操る。その力を利用して理解して初めて成せる技である。きっと相当経験しているのだろうな。名前は、あっという間にゴールにダンクシュートを決め、先制点を獲得した火神大我の実力に改めて鳥肌が立つ。

 ボールをもってから今まで。たった数秒だった。授業なんかとはレベルもスピード感も全然違う。これがバスケットボールの試合なんだ。青峰くんや灰崎くん達の試合の様子も何度か見たことがあったけれど、ここまで近くで見た事は数回しかないし、そのうちの殆どが1on1だった。あのときも確かに凄かったけれど、ボールを持ってからゴールに運ぶまでのスピードが異常すぎる。


「(改めて見ると本当にすごい……!!!)」


 こんなの間違いなく即戦力だ。2年生の先輩達だって凄いはずなのに、それでも火神くんの圧倒的なセンスと存在感に霞んでしまう。それは私が初心者だから視線が向いてしまうと言うのも間違いなくあるし、それでいくと私は初心者すぎて他の仲間に視線を平等に回さないっていう弱点が既に見えてきてしまうけれど、火神くんは全く逆。

 初心者の私でも視線が持っていかれる。
 釘付けにするだけのセンスがある。
 それは所謂『才能』と呼べるものだ。

 彼は、きっとすごい選手になるのだろうなあ。けれど、それは一個人として凄いというだけ。チームとしての経験で言うのならば、当然今この場において上なのは2年生の方。


「(今の得点は既に11対8……)」


 既に3点のリードを許している上に、火神くんは止められない。でもこの状況で火神くんをそのまま放置するなんていうのは

 ーーーーきっと、三下のする事だよね。










「三人!? そこまでして火神を…しかも…ボールを持っていなくても二人…ボールにも触れさせない気だ!」



 如何なる戦闘においても大切だと言われる項目が大きく分けて三つ存在している。1つは地形。もう一つは時間。

 ーーーそして最後が『数』ーーー

 この項目をうまく利用し、制したものが勝者になる。これは戦闘における鉄則。けれど、バスケットボールは平面で行うスポーツだから地形は考えない。そうなると対策は時間と数になる。先輩達はチームとして1年生チームよりも完成されているのだから、この2パターンのどちらでも対応が可能なのだと思う。けれど、スピードでの勝負は足の長い火神くんとの戦いには向かないよね。ならば、数で勝負を仕掛ける方が有益で確実。私でもそうするかなあ。そしてきっと、さつきちゃんでもそうやって対応するに違いない。さつきちゃんの事を凄く理解しているわけではないけれど、彼女と話していた記憶の限りではきっと似たような考え方をする。まあ多少のズレは誤差としても。


「(でも1年生チームには
 黒子くん・・・・がいるからなあ……」


 今日の試合、今まで火神くんに視線を持っていかれつつ、黒子くんのことも見るようにしていた。実際に影が薄すぎるせいで、見失うこともしばしばあったけれど、それでもバスケットボールのプレイは素人レベル。もしかしたら、私でも勝てるかもしれないと思う程だった。

 けれど、彼の強さはそうじゃあない。

 一般的に言われる『強い』とは異なった異質の強さなのだ。イレギュラーな強さ。気持ちの悪い強さ。常識的には考えたくもない強さ。それが黒子テツヤという人間の持つ『プレイスタイルつよさのかたち』だ。いうならば、ないはずの地形戦を完成させ、その上で時間も制す。そういう気持ちの悪い強さ。だから、私は彼のバスケットボールが大好き。



「(点数の差は15対31。絶望的だけど 残り時間を考えるのならば、覆せないこともない)」



 きみのそういう強さが私は大好きだよ。

 口に出したのか、出してはいなかったのか。それは本人のみぞ知る話ではあるけれど、相田リコは苗字名前の視線の先にいた黒子テツヤを見て、苦笑いを浮かべる。審判である自分でさえも、途中から黒子テツヤを忘れていた。そう考えて苦笑いを浮かべながら、苗字名前の黒子テツヤを見る視線をもう一度だけ見て、動きを止めた。


「(あれ? マジでいつからだっけ!? …まさか……この違和感は何…? もしかして、とんでもないことが起きてる…!?)」


 一瞬だ。パスされたボールがそのまま軌道を変え、全く別のプレイヤーに渡った。そんなまさか。あり得ない。彼は一体いま、何をした?存在感のなさを利用してパスの中継役に!? しかもボールを触っている時間が極端に短い。



 …じゃ、彼はまさか……。

 元の影の薄さを
「(ーーーもっと薄めたってこと〜!?)」




 『ミスディレクション』。手品などに使われる人の意識を誘導するテクニック。ミスディレクションによって、自分ではなくボールや他のプレイヤーなどに相手の意識を誘導する。

 つまりーーーー

 彼は試合中『影が薄い』というより、もっと正確に表現すると自分以外・・を見るように仕向けている。



「(元帝光中のレギュラーでパスに特化した見えない選手…!! 噂は知っていたけど実在するなんて……!!)」

 『キセキの世代』
 ーーー幻の六人目シックスマン!!ーーー



 縮まっていく点数の差を眺める彼女の脳裏に、ふと、ある言葉がよぎった。相田リコは、つい先程まで本気で彼女は火神大我に魅せられて入部したのだと思っていた。

 けれど、それは多分実際には違う。

 それを彼女のコートを見る視線と、その先にいる人物が違うと言っていた。



「先輩。私、最初は見学からと思っていたのですが、やっぱり入部したいです……!!」
「えっ!!? なんで?」
「一緒に部活をやりたい人がいます」




 なるほどね、苗字名前このこバスケ部うちに連れてきてくれたのは、きみだったのね。

 ーーー黒子テツヤくん。











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Espoir