轟という男


「なぁ、名字」

『んー?』

学校の図書室。
放課後にデートも兼ねて、ふたりで復習。

「俺って格好いいのか?」

『はぁ?』

真面目な顔してなんのことかと思えば!

「いや、クラスのやつに言われて…」

(…女か)

「気になったんだ」

『なにが(…どこの女だムカツク)』

「果たして俺の左右どっちが格好いいと言っているのか」

『…………は…?』

ん?
なんだろう。どういう意味だろう。
あれかな、たまに出てくる天然ショート君タイムなのかな?

「俺は右と左で髪の色も違えば目の色も違う」

『…うん…』

「名字はどっちが好きなんだろうって考えたら気になっちまって」

なにこの可愛い生物、タスケテ。
萌え死にそう。

『ぷっ…あははは!』

「なんで笑ってんだ?」

『いや、ごめんごめん。ふふ』

頭にハテナマークを浮かべているであろう彼は首を傾けて目を丸くしていた。

『そんなのどっちって訳じゃなくてそのままのショートが好きなんだよ』


「そ、そうか…」

頬から耳まで真っ赤にする彼に、そっと近づく。

チュッ

『私のこと以外、見ちゃダメだよ』

「っ!…当たり前だ」


(おまけ)

『ショートって大人になったら半分だけパパみたいに髭できるのかな?』

「半分だけとかキモいな」

『…(たしかに)』