相澤という男

ダダダダダダッ

ガラァッ
『相澤くん!!』

「っ…名字か」

全身ボロボロで、真っ白なベッドに弱々しく横たわる彼。
その姿を見て思わず息を飲んだ。
(こんな……)

彼の勤める雄英高校に、襲撃があったときいたのはついさっき。
それと同時にそこで教員をしている彼が大怪我をしたと聞いて駆けつけた。

『…バカ。なんで教師がこんな大怪我すんの』

「悪い、心配かけたな…」

ベッドサイドにゆっくりと腰かけて、
ボサボサの髪の毛にゆっくり触れる。

起き上がる事のできない彼の顔をジィっと見つめ、その唇にゆっくりと近づく。

ガラァ

「Hey!!イレイザーヘッド、調子はどうだー?!」

思わぬ人物の(派手な)登場に、ピタリと動きが止まる二人。

「なぁんだ、名字も来てたのか!!わりぃ!こりゃ邪魔しちまったな!」

ハッハッハという笑い声がむなしく響く。

「…名字落ち着け」

『私は至極冷静よ?』

口から冷気を吐き出しながら、にっこりと微笑みいまだ高笑いをしているマイクのもとに歩み寄る。

『マイク?』

「…名字?いや、名字さん…?」

「…(あいつ死んだな)南無阿弥陀仏」

全身に冷気を巡らせて、
マイクの肩に手をポンっと置くと同時にたちまち氷付けになっていく。

「ギャァァーーーーー」

まるでもとからそこにあったオブジェの様に立ち尽くす氷付けマイクの姿を後目に再びベッドへ歩み寄る。

「ちゃんと元に戻してやれよ」

『少しはあれで頭冷やせばいいんだ』

「至極冷静な判断だ」

側に寄ってきた彼女の腕を強引を引き寄せる。
『ちょ…んぅ…んん』

痛む腕を彼女の頭の後ろに回し、
離れないようにしっかりと抑えたまま深く口付ける。

『…ん、もうっ!』

「悪かったよ、もう心配かけねぇから」

『当たり前だ、バカ!!』



(おまけ)

「……ちょ、動けないままこの姿見せつけられてる俺の身にもなってくれヨォ」



『あ、マイクがいたの忘れてた』