赤也の好きな私


「どうぞ。」

「お邪魔します。」


少し緊張した面持ちで、ゆっくりと部屋に入る赤也を見てクスりと笑ってしまった。
その声に赤也が不服そうな顔をして振り返る。


「何で笑ってんの?」


ご飯を食べていると、赤也が敬語から少しずつタメ口に変わっていた。
今までは、タメ口を躊躇う程の関係だったのが、私が少し歩み寄った事で赤也はほんの少し気持ちが楽になったようだった。


「赤也が緊張してるから、つい。」

「別に緊張してねーし。」

「適当に座ってね。」


横目で可愛い赤也を見ながら冷蔵庫へ向かおうとすると、後ろから伸びてきた腕にぎゅっと締め付けられた。


「後輩扱いばっかしてんなよ。」

「してないよ。」

「嘘ばっか。可愛いって思ってる顔してる。」

「そうかな?」

「俺だって男なんスよ?」


後ろから抱きしめられたまま、耳元で赤也が囁く。熱い息が耳にかかり、赤也が興奮しているのがわかった。すると、かたくなったペニスを腰に押し付けてきた。


「赤也、ちょっと、」

「なまえさん、いい?」


服の裾から冷えた手が入り込んでくる。冷たさに体が跳ねた。赤也の手を握り締める。


「ダメだよ、」

「ダメなの?じゃあ、嫌?」


声色からして、捨てられた犬みたいな顔をしてるんだろうと容易く想像がついた。声に反して、赤也の手はごそごそと動き回っている。


「嫌じゃないけど、ダメ、」

「嫌じゃないならいいっすね。」


言うが早いか、ブラのホックがプチンと音を鳴らして外れた。急いで、胸を隠すものの赤也の手が胸に触れる。


「赤也、真っ暗がいい、」

「えー、見えねえじゃん。」

「恥ずかしいからお願い。今日だけ。」

「今日だけっスよ。」


部屋の明かりが暗くなる。これで仁王に付けられた痣は見えない。そう冷静に考える辺り、最低な女だと思った。赤也の前では赤也が好きな私でいて、赤也の気持ちに応えようと決めたのだ。