03


目を覚ますと見慣れない天井が視界に写る。
ぼーっとする頭が徐々に覚醒していき、調査兵団に入団した事を思い出す。
取り敢えず身体を起こし、シャワーを浴びようと浴室へ向かう。

兵団服に着替えて朝食をとりにいく。昨日食べ損なったから余計に腹の虫が元気だ。

今日は実戦訓練。それ次第でどの班に配属されるかが決まる。実戦と言えど、戦うのは人だったり、巨人の模型だったり。

ヒソヒソを噂をしている人達を横目で見ながら、どうせ今日の事だろうと気にも止めず先程まで食事が乗っていたトレーを片付ける。


ーーー・・・


「これより訓練を開始する!2人1組となり各々好きな戦いをしてくれたまえ!」

では、始め!!

言い切った瞬間に、男に蹴りを入れる。相手が面食らっている間に素早く背後に周り、背中を思い切り蹴った。
軽く吹き飛んだ相手は「降参だ」と言い残して、医務室に運ばれて行った。

「リヴァイ〜!凄いねあの子!あんな小さい身体なのに屈強な男を無傷で医務室行きだよ?!ほんと凄いよね!ね、エルヴィンもそう思うだろ?!」
「ああ、そうだな」
「うるせぇ、クソメガネ」


全員が終わらないと次へは進まない。だからと言う訳ではないが他の人達の戦いを観戦していた。
だが、私にとっては完全に期待外れだった。
自分の相手が弱かったのではなく、全員がその程度のレベルだったということだ。

「さて、次は巨人型模型を使った訓練だ!訓練生の時にもやっただろう?それをより難しくしたものだよ」
「模型だからと言って油断はすんじゃねぇ」
「そうだね!じゃ、まあ移動しますか!」

森、と言うのが正しい、か。確かに立体機動を駆使した訓練にはもってこいの場所だ。
予め、スタート地点とゴール地点が書かれた地図を渡された。行き方は自由と言うことを意味するのか。


「準備はいいかな?じゃあ一斉に行くよー!」


スタート!!の掛け声と同時に皆が一斉に掛けて行く。
勿論私もその中の1人だが。
ある程度のスピードは必要かもしれないが、別に早くゴールしたら勝ち、という訳でもない筈。

立体機動を駆使し、木から木へと素早く移動する。
不意に出て来る巨人模型、アンカーを上手く使って項を削いで、また次へ。
時折遠くで叫び声が聞こえたりする。でも本物の巨人で訓練をしている訳ではない。きっと無事だろう。
巨人型の模型も様々な工夫はしているのだろうが、私からしたらワンパターンにしか過ぎない。

何度も同じ事を繰り返し、ゴール地点へ辿り着いた。
割とのんびりやっていたから(決して言えないけど)誰か居ると思っていた私は拍子抜けだった。

「君以外は皆、此処にたどり着く前に負傷したり、たかが模型の項が削げなかったりで失格になったよ。まあ、失格と言ってもこれはあくまで個人の能力を見るための訓練だから!調査兵団をやめろー!なんて事にはならないよ!」
「そうですか・・・。」
「にしても君凄いねえ!!こんな華奢なのに体術も立体機動も文句なし!ベテラン兵士と並べるくらいだ!」
「うるせぇよ、クソメガネ。さっさと説明しやがれ」

「これにて訓練は終了とする!結果は明日発表だ、それまで各々好きに過ごしてくれ!解散!!」

流石にこの時間まで訓練するとは思っていなかったから、結構な疲れがきている。
早く自室に戻ってゆっくりしたい。

「おい、そこの女、止まれ」
「もしかして、私ですか?」
「あぁ、そうだ。聞きたいことがあってな」
「何でしょうか?」

"何故手を抜いた"そう耳元で聞かれた。

「力と言うものは必要な時、そうでない時がありますよね。確かに悪く言えば手を抜いたと思うかもしれません。ですが、体力を温存できる時にする、ガスを無駄に使わないようにする、という事も必要だと思います」

私がそう言い切ると、リヴァイ兵長は一瞬黙った後また口を開く。

「お前一人なら確かに聡いやり方ではあるがな、"仲間"が居ることを忘れるな」

それだけを告げるとリヴァイ兵長は兵舎へと戻って行った。


- 3 -

*前次#


ページ: