06
遂にこの日が来た。別に待ち望んでいた訳ではない。死傷者だって沢山出ると分かっているから。
しかし、初めての壁外。どんな世界が待っているのかと、胸の鼓動が早くなる。
エルヴィン団長の掛け声と共に、一斉に外へと駆け出す。
広い大地に胸がぎゅっとなる。それと共に巨人に対する好奇心。つくづく兵士に向いてないなと思った。
私はリヴァイ班だから前線で戦うことになる。
緊張はあったが、恐怖は感じない。
そのまま隊列を乱さぬ様に馬を走らせる。
右翼側より黒い煙弾が上がった。奇行種だ。
打ち上げられる煙弾が近付いてきた。
遠くに三体の巨人が見え始めた。うち一体は奇行種。
逃げ切るか、ここで殺すか。
答えを出したのはリヴァイ兵長だった。
「こいつらは俺らが片付ける!エルヴィン、お前は先に行け!!・・・お前の腕前も見ておかねぇとな」
「初めて見ましたが、中々の気持ち悪さですね」
至って冷静なルイーサに少し驚きを感じたが、今それに対する突っ込みもしている場合ではない。
「俺が奇行種を殺る。お前は残りの通常種二体だ、いけ!」
「了解です」
リヴァイ兵長が奇行種の項を素早く削ぐ。
私も続いて一体の項を削ぎ、そのままの体制から二体目の項付近にアンカーを刺し、近付く。
しかし巨人の大きな手がこちらを遮った為、一旦体制を建て直し、まず邪魔な腕を切り落とした。
また面倒なのは嫌なので、ついでにアキレス腱を切ればその巨体は跪く形で倒れる。
すかさず狙いを定めアンカーを刺し、項を削いだ。
巨人の血に嫌悪感を抱いたが、巨人の血は死ねば蒸発するからまだマシだなと思った。
蒸発していく巨人の傍らで自分の馬を呼ぶ。
駆けてきてくれた馬を撫で、跨ると直ぐにリヴァイ兵長の元へと走った。
終わりましたよ、とリヴァイ兵長に報告すると、一瞬目を見開いて「そうか」と言った。
それからも何度か巨人との交戦はあったものの、少なくとも私は問題なかった。
何度も同期の人達や先輩が食べられそうになるシーンに出くわすが、いつもギリギリで間に合わない。
千切れた手足や、頭部だけの死体に何度も謝った。
もう少しだけでも来るのが早ければ、と。
今回の壁外調査はこれで終わった。
被害は誰が見ても酷いもので、遺族や一般人の怒りは計り知れない。
突然大切な人が失くなる悲しみを、罵声でぶつける事しか出来ないのだ。
それを深く受け止める事しか、私達には出来なかった。
そして私達は無言で兵舎へと戻った。
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