08
あの高台での日から、リヴァイ兵長とあまり会わなくなった。と言うよりは私が極力避けているのだ。
くだらない理由だけど、弱い部分を見せてしまった恥ずかしさからずっと逃げている。
しかし私はリヴァイ班に所属する身。全てから逃げるのには無理がある。
今もハンジさんから兵長宛てに預かった書類を眺めながら、誰かが通らないか、あわよくばリヴァイ兵長に渡すように頼めないかと動かずに突っ立っている。
「やっぱり自分で行くしかないよね・・・」
決心した私は兵長の部屋へと向かう。
扉を前にして、深呼吸して、ノックする。
「入れ」その一言で胸がどきりとする。
「失礼します。ハンジさんから書類を預かってきました」
「あぁ、そこに置いといてくれ」
私に対する態度は意外にもいつも通りだった。
あからさまに兵長から逃げ惑う私の態度について、怒られると思っていた。
けれどそれは思い過ごしだったのか。
「ルイーサよ、お前が俺を避ける理由は分からねぇ。だがな、お前が俺の班にいる限り俺から逃げられると思うな」
「あ、あの、逃げてたのは事実です。でも兵長が嫌いだとか、そう言うのではなくて、単純にあの時の事を思い出すと恥ずかしくて・・・」
「・・・は?」
「いや、だから、あの時・・・っ、泣き喚いちゃって、それで・・・」
いい大人が子供の様な言い訳をする。
それ程こちらも必死なのだ。
リヴァイ班にいる限り、避けて通れぬ道だから。
否、兵長とぎくしゃくするのが嫌だったから?
兎に角、誤解を必死に解いていた。
「あの時、お前の班長は俺だから俺に縋ればいいと言った。だが本心は"お前だから"助けてやりたかったんだ」
兵長の発言に困惑していると
「俺の言っている意味が分かるか?」
「わかりませ、ん・・・」
正直な気持ちを伝えると、腕を引かれ強引なキスをされた。そして顔を真っ赤にして震える私を抱き締めた。
「嫌だったか?」
たったその一言に緊張が走る。
何故ならば、嫌ではなかった。寧ろ心地よかったからだ。
「嫌ではなかったです・・・っ」
「質問を変えてやる。誰とでもキス出来るのか?」
「出来ませんよ!!」
そう言って、ハッとした。まるで兵長に告白しているみたいじゃないか。
他の人とは出来ないけれど、貴方とのキスは嫌ではなかったと。
「ルイーサよ」
"俺の女になれ"耳元で囁く兵長が少し赤くなっていて可愛い、と思ってしまった。
「いいですよ。だけど絶対に私を置いていくのはやめて下さい、約束してください!」
兵長は少し驚いた表情を浮かべ、にやりと笑う。
そして私の手をとると、甲にキスを落とした。
そしてそのまま私を見て「当たり前だ」と答えてくれた。
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