私を見てくれる人 2

そんな高校一年の夏休み前日の夕暮れ、私はいつもの場所で、いつもの様にしゃがんで泣いていた。

足音がした。いつもは誰も通らない場所で、どんな人だろう、と顔を上げた。とても背が高くて、すらりとしているけれど、鍛えられていそうな体躯。歩く度に揺れる銀色の長い髪。ぞっとする程に鋭いグリーンアイ。体を雷が貫いたかのような衝撃が走った。こんな綺麗な人、見た事が無い。だんだん近付く彼からは煙草と、何かの匂いがして、近付く度に感じる鋭い、危険そうな空気にすら心が奪われていく。心臓がバクバク煩い程だ。
ずうっと見ていた彼が、私の側で私を見下ろして目が合った。その目に見られるだけで、体中が、かあっと熱くなっていく。きっと顔まで真っ赤だ。
(ああ、この人になら、私……殺されても良い!)
いつもなら思わない様な事を考えてしまう程に、この黒い衣服に身を包んだ男との邂逅は私にとって衝撃だった。
彼が私を見て口を開いた。
「来るか?」
行きたい!この人のところに!
頷いた私に伸ばされた手を躊躇なく取った私に、彼は口角を上げて笑っていた。

***

いつもは余り使用しない道を通った夕暮れ時、俺から全く逸らされない目線を感じて目線を落とせば、潤んだグリーンの強いヘーゼルが俺を見ていた。目が合った瞬間に耳まで赤く染めた女は、セーラー服のガキだと言う事を忘れさせる程に、艶のある色を目の奥に光らせた。
「来るか?」
そう聞けば、女は頷いて、長く伸ばされたダークブロンドが柔らかく揺れた。
手を出してやれば、迷う素振りすら無く、その歳の割に手荒れの有る手のひらが俺の手を取った。

セーラー服で隣を歩かせるのは目立つ。コートで包んで横抱きにして運んでやれば、吊り目がちな目を見開いて、俺のシャツにしがみ付いて身を寄せて来る。
(猫みてえな女だ。)
愛車に乗せてやると、助手席で物珍し気にヘーゼルの目を瞬かせている様など、本当に猫の様だ。
「これ着てろ。その格好は目立つ。」
「はい。」
サイズの大きなコートを羽織って、セーラー服が見えない様に、襟元や胸元を気にしている姿は、余りにも其の辺りに居る羊と変わらない様に見える。だが、コートに染み付いた俺の煙草と硝煙の匂いと、其れを嗅いで微笑む姿が、感性が羊とは違うと言っている様に見えてしまう。
「何だ、匂うか?」
「知らない匂いがするから、何だろうって……煙草?だけじゃあ、無いと思うんですけど。あと、何だか良い匂いもするんです。」
良い匂いってのには、思い当たる物が無い。まさかシャンプーか?分からない。
「知らない匂いは、いずれ分かるだろうさ。煙草は俺のだな。後は知らねえ。」
「そうですか。じゃあ、良い匂いはお兄さんの匂いかな。」
セーフハウスの一つへ着いた頃に自然と言った様子に、男を煽るのが上手い女だと笑いが込み上げた。
「変な事言いました?」
「くく、分かってねえのか?まあ、良いさ。俺が教えてやる。」
ガレージに愛車を入れて、降りる様に促す。コートを引き摺らないよう、たくし上げて降りて来た女に、着いて来るように言えば、素直に後を追って来て部屋に入ると、コートを脱いで、部屋を見渡し、ハンガーを見つけて勝手にコートを掛けた。其れから警戒も無く俺の側へ寄るものだから、加虐心からゾクゾクして来てしまう。
「お前、名前は?」
「あれ?そう言えば自己紹介、忘れていましたね。私は妃理香です。よろしくお願いします。」
「ああ、よろしくしてやるさ。俺は黒澤陣、陣と呼べ。」
よろしくしてやる、の意味も分かって居ないだろう女の頬に左の掌を添えて、唇を奪おうと近付いた時、俺の掌にそのまま頬を擦り寄せて微笑んだ。
「陣さんの手、男の人の手ね。大きくて温かい。」
「ああ……そしてお前は女だ。」
添えた掌を首筋に下げ、右手も反対に添えて母指球で顎を上に押し上げ、唇を合わせた。見開かれたヘーゼルの目が揺れて、閉じる。そろりと自ら開かれた唇に舌を捻じ込んで、何度も角度を変えれば女は、応えようと背に腕を回して、舌を差し出して来る。
セーラー服の裾から腕を入れ、キャミソールをたくし上げ、ブラジャーのカップの上から、胸を撫でる。
「んっ!んむ、あっ、や、はう!」
唇を離せば、声は既に艶めいていた。だが未だだ。柔らかな双丘を撫でながら、女の素性を暴く為の尋問を始める。

呆気ない程に簡単に口を割った。尤も、この女には、そんなつもりは無さそうだったが。
名前は妃理香、年齢はもう直ぐ16歳で父と姉が居る。姉は結婚しているが旦那と別居中で、小学生の娘を置いて行った。その時から今までその姪の家に、家事をしに行っている。その影響で友人は居ない。一人になりたくて、あの場所で泣いていたが、今年から一人暮らしになっても、ついあの場所へ行ってしまう。

後はもう勝手に調べるのは簡単だ。頃合いだと、腕を服から引き抜き、女を抱き上げベッドへ移動した。
ベッドに仰向けにさせ、セーラー服のリボンを引き抜き、腕を頭上で拘束した。服の上から胸の形を確かめる様に、撫でて揉んだだけで、女は腰を捩って甘い声を上げた。
「陣さんっあ、うう、待って、ああ、うあっ、やだ、恥ずかし、ああ!」
その反応に、まさか、キスとこの程度の事で濡らしてんじゃねえのか?とショーツに指を這わした。
「おいおい、もうグチャグチャに濡れてんじゃねえか。ハハ、もう下着の意味ねえなあ?」
ショーツを脚から引き抜き、粘膜を晒して、勃ち上がったモノを擦り付けた。
「うう、陣さ、あっ、うあっ、っふ、ああっ、お腹、ヘンなの!」
「どう、ヘンなんだ?」
「っひあ、奥が、キュウって、っふ、切ない、感じ……?」
もうぶち込んで、犯し尽くして良い具合いだろう。こんなに俺を煽る女が初めてだとは思えなかった。
「っあ、や、うう、痛い、っう、ひぐっ!」
だから、突き立てた其れが全く入って行かない上に、わずかに血の匂いがして、一瞬だが戸惑った。コイツは処女のクセして、俺をここまで煽るのか。其れが無意識だとでも言うのか。
「っく、未だ全然入ってねえぜ。これじゃあ、お前に俺のモノを全部入れたら、壊れるかもなあ?」
「うう、陣さん、っふ、陣さんを、いっぱい感じたい、っはあ……壊れて、良いから、っあが!いっ、う、ひあっ!」
痛みに涙を流しながら、壊れても構わないから全部挿れて欲しいと懇願する女に遠慮など、必要無い。なかなか進められない膣内を、半ば無理矢理に拓いて行けば、痛みからの喘ぎが響く。
全てを埋め込んだ時には、声さえ出せず、はくはくと唇を震わせて、涙を流していた。
「喜べ、お望み通り、全部入ったぜ。」
囁いてやれば、驚いた事に、ふわりと女は笑んだ。
「すごい、なか、いっぱい、うれしい」
途切れ途切れに言う女の中を、気付けば思うままに蹂躙していた。



何度も打ち付け、最深部に吐精し、締め付けの強い膣壁に、再び勃ち上がり、打ち付ける。その間にも理香は幾度も絶頂に震えていた。いつしか意識を手放した理香の中へ、更に精液を注ぎ込み、俺も気を失なう様に意識を手放した。



起きたのは俺の方が早かった。
犯し尽くされ、精液に塗れた理香の寝姿に、昨夜のセックスが思い浮かんで、喉で笑った。こんなにも無意識に俺を煽る言動が出来る女は、そう居ない。声さえも俺をたぎらせる要因となり、その目にも唇にも求められるのは満更では無かった。
セックス、外見、声、全てが自分に刺さるものだった。性格など、未だ分かりはしないが、そんなもの躾けてやればどうにでも成る。既に一晩で手放してやる気は失せていた。

***
2020/03/31