原作を読んでいた頃から、色々と考えていた。ハリーの置かれた境遇をダンブルドアが把握していない筈が無いのに、近所に住むニーズルのブリーダーをするスクイブの女性に、文字通り「見てるだけの監視」と言う意味の無い事をさせて、魔法に対処出来ないマグルの、赤ちゃんの世話で大変な新婚夫婦だろうダーズリー夫妻の家の前に、手紙1つで置き去り。しかも既に寒いだろう10月31日だかの夜に、放り出した……更に、魔法が抜群に出来るとは言えないと言うか、使ってはならない大男に空飛ぶバイクで運ばせた。つまり、風に晒されて凍えた体の1歳児を、寒空の下に置き去り。ダーズリー夫妻は置き去りの赤子にさぞかし驚いただろう。しかも忌避していた魔法使いの親族の子で、両親が死んだからと手助けも養育費も無しに押し付けられた。魔法族の幼な子は、もし大きな魔力を持つ場合、早々に魔法を発現させる。あのマクゴナガル教授だろうと、幼い頃は、魔法で物を浮かべたりしてニコニコ喜んでいたらしい。ハリーだって同じ様に早いうちに、魔法を発現してグズったら家具がポルターガイスト状態でも不思議じゃ無い。壊れた家具の買い直しに家屋の壁紙の貼り直しだって、巻き込まれての怪我だって、有っただろう。その費用は、バーノン・ダーズリーが小さいながらも会社の社長で、そこそこのお金が有る家だった故に工面出来た。そうじゃなくて、もしも、スネイプ教授の幼少期の様に貧しい暮らしだったなら、一家離散となっても可笑しく無いレベルだろう。そう、強く思うのは、我が二卵性の双子ジニーの様子からだった。
ぎゃんぎゃん泣くのは仕方ないさ、赤ちゃんだもの。そうしなきゃ、要望は伝わらないんだから。だからって、大泣きの度に、側で寝てる私にまで木片が刺さる程にベッドや家具を破壊されるのは、辛い。痛みに耐えられない肉体は、あうあうと言葉にならない声を発してボロボロ涙を流した。
赤毛遺伝子が顕著に出た人間は、痛みに弱いとは知っていた。けれど、この時は赤ちゃんだからかな?と思っていた。それでも、我慢して我慢して、もう耐えられないと感じてから、感情を解放していた。じゃないと、私の泣き声につられたジニーが、更にギャン泣きするのを経験済みだった。
ギャン泣きするジニーを、母モリーがあやしている間に、私は大抵の場合、再び眠りに落ちる。赤ちゃんは寝るのも仕事である。
しかしなあ、ジニーは愛称で名前はジネブラ。グイネヴィアが元になってる名前だったと読んだ事があった。不倫の王妃の名前はちょっと……不憫じゃなかろうか?せめてジェニファーにしたげて、そうこの時は呑気に思っていた。
私は
長兄ビルは、私をあやしてくれながら、ジニー以外は皆、ウィーズリー家かプルウェット家の親族から名前を貰ったんだと、言っていた。ジニーだけ親族から貰った名前では無いのは何故なのだろう?其れが引っ掛かって、漠然とした不安に苛まれた。
***
ああ、また泣いているなあ、と働かない頭で考えた。ぼんやりするのは、眠いからだろう。頬が痛いけれど、今回は泣くより意識が沈む方が早かった。
次に目が覚めた時、ビルの腕に居た。ふにゃふにゃとしか喋れないけれど、起きたと知らせるには十分。今日はビルがかまってくれるらしい。凄く久しぶりに人に構われた私は、嬉しかった。モリーママはジネブラに夢中で、ミルクくれてオシメ変えたら直ぐにジニーを抱いてベッドから離れて行く。ミルクくれて魔法で清潔にしてくれるだけマシって状況だった。でもそれは1歳上のロンだって同じ様に放ったらかし。
もう一つ有り難いのは、私とロンの上には4人の兄が居て、面倒見てくれるって事だろう。いつもはジニーと私とロンは夫婦の寝室の直ぐ近くの部屋で、それぞれのベッドに居る。ロンは直ぐに抜け出して、兄達に遊んでもらっている。でも私は未だ抜け出せない。
「なあ、ビル。母さんはジニーだけ連れて出掛けたって事?」
ロンにおそらく離乳食を食べさせていたチャーリーが、食べ終えたロンを抱えて近くに来て言った。
「そうだな。多分いつもの事だったんだろうな……まさかロンだけじゃ無くて、セディまで放ったらかし何て思いもしなかった。」
「俺もだ。セディは女の子だから、喜んで連れ回してるものだとばっかり思ってた。」
ああ、やっぱり育児放棄気味だな、と思っては居た。でもロンはガチの育児放棄されてるって事だろう。ミルクまではあげてたのかな。私にはくれてるから、そうなのかも。でも離乳食からは無かったと言う事なのかな。ハイハイも出来ない私にロンがハイハイで近付いて、じっと見つめ合った。未だ小さな私にはあまり良く見えないけれど、3人とも同じカラーリングで、ウィーズリーの血って凄いと思った。
「ビルー!セディいたの?」
「あ!いるよ!なんだジニーとお出かけじゃないの?」
元気いっぱいで現れたのは、フレッドとジョージ。こちらの双子は一卵性でそっくり。それを助長するのが、お揃いの衣服と同じ髪型。そして、たまに逆の名乗りをすることだろう。
「セディは俺たちとお留守番だ。」
ビルが答えれば、ぱっと顔を見合わせたフレッドとジョージが「マジかよ、パーシーも呼んでこようぜ!セディが居るの初めてだし!」と言うや否や駆けて行った。
2020/05/02